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ミニアートの軍用トラック最新キット作例! アメリカ陸軍 G7107 4X4 1.5t カーゴトラック

2022.05.17

アメリカ陸軍 G7107 4X4 1.5t カーゴトラック【ミニアート 1/35】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)

ホコリや泥にまみれて働く四輪駆動トラック

 戦闘部隊を後方で支援する「兵站」において、食料、燃料、弾薬などあらゆる物資の搬送に欠かせないのが輸送用トラック。第二次大戦アメリカ陸軍は1.5トントラック、シボレーG4100/G7100シリーズを総計約15万両生産、うち約5万両が旧ソ連で使われるなど、GMC CCKWなどとともに連合国勝利の原動力といっても過言ではない働きを見せている。今回ミニアートが1/35モデル化したG7107は約7万両が生産された主力タイプで、ボンネット型の丸みを帯びたキャブはもちろん、エンジンや四輪駆動の足周りまで完全再現。懐かしくも頼もしい「働くクルマ」を作る!

▲ミニアートの1/35キットはプラパーツを中心に一部エッチングパーツおよび金属パーツを交えた構成。アクセサリーは荷台に乗せるドラム缶8個、ドライバーの立像フィギュア1体が付属。マーキングはアメリカ陸軍4種類から選択可能
▲シボレーG7100シリーズ(当初はG4100と呼称)は軍用中型四輪駆動トラックとして1940年にアメリカ陸軍および陸軍航空隊が採用。貨物輸送型のG7107およびG7117が主生産タイプとなるが、その他にもさまざまな派生型が生まれている
▲ドラム缶は8個が付属。メーカー名のモールドが入ったフタやデカールなどで単調にならないよう配慮されている。塗装でもさまざまな色で塗り分けてみた
▲ボンネット前方のフロントグリルおよびライトガードはエッチングパーツでシャープに再現。グリル奥のラジエターや内部のエンジンも再現されている
▲丸形キャブのドア、フロントウィンドウ、ボンネットは開閉選択式。ドアのウィンドウも上下を選択可能で、作例では右は閉状態、左は開状態とした
▲ドライバーのフィギュアはポーズを微調整。サングラスは0.2mmプラ板とリード線をほぐしたもので自作。レンズ部はラッカー系ブラックをポテ塗りしている
▲ミニアートでは作例のG7107の他、幌フレームとフィギュア3体が付属するもの、木製荷台のソ連軍タイプ、車体前部にウインチを装備したG7117、民間型G506などのバリエーションキットを発売中だ
▲エッチングのフロントグリル、ライトガードはプラ製の冶具が付属。外周形状をきちんと決めるのがコツ
▲各ユニットが揃った状態。内部の塗装をしやすくするため、キャビンは上部パーツを窓枠部から切り離した
▲キット付属の荷台後部チェーンはリンクの径が少し大きく感じたので、市販の0.3mm銅製チェーンに置き換えた
▲エンジンやトランスミッション、ドライブシャフトなどはていねいに塗り分けるだけでリアルに仕上る
▲座席の荷物としてヤンキーらしく野球道具を自作。グローブ、ボールはエポパテ、バットは爪楊枝から作成
▲フィギュアは腕の関節を切り離し、手を掛けるドアの角度も決めながら慎重にポーズを微調整している

■身近で重要なトラック
 AFVモデルの中でもトラックはどちらかというと地味なアイテムです。しかし、私たちにとっては身近な車だったり、戦場では補給という重要な役割を担っていたりするためか、昔から各メーカーが多々キット化していますね。今回ミニアートがリリースしたのは米軍のG7107トラック。無骨で、でもどことなく愛らしい、いかにも「アメ車」といった姿をしっかり再現した好キットです。

■キットの製作
 キットは精密なモールドのプラパーツ多数にエッチングパーツ少々という、ミニアート・スタンダードな内容。シャシー、エンジン、駆動部、キャビンなどすべてがきっちりと再現されています。組み立てに時間は掛かりますが「粛々とていねいに工程を進めればちゃんと完成する」のもミニアート・スタンダード。エンジンを含むシャシーは、ドライブシャフトなど各部と繋がるパーツが多いので、随時組立説明書の先の工程を見ながら「このパーツは後で付けたほうがいい」「先にここをすり合せよう」など、先読みをするのが作業をスムーズにさせるコツです。
 工程45の、エッチングパーツのフロントグリル(PE30)とライトガード(PE13)の組み立ては少し難しいです。プラの曲げ用冶具が用意されていますが、注意して取り組んでください。コツとしては、まずライトガードの外周の形状をきちんと出すこと。ライト部の格子部分はいったん切り離し(切り離さずとも、パーツを曲げていたらすぐ折れて外れてしまいますが……)、ガード部をボディに固定してから接着したほうがいいです。接着には瞬間接着剤を使用しました。まず要所要所を点付けして形を決めていき、最終的に全体を固定するイメージでいけば上手くいくと思います。ありがたいことに、この2パーツはスペアが準備されてます。最初は失敗覚悟でとりあえずやってみて、2回目で1回目の反省点を踏まえながら作業することをお薦めします(私はなんとか1回目でできましたが……)。可能ならインジェクションパーツも準備して、選択式にしてほしかったですね。
 キャビン上部のパーツも精密なのはいいのですが分割が少し複雑で、インパネ部など内部塗装と組み立ての工程を細かく分ける必要があります。そこでキャビン上部を一通り組み立て、フロントウィンドウの枠の左右で切り離し、まとめて塗装できるようにしました。
 キャビン、ボンネット、フェンダーなどはところどころデザインナイフなどで凹みの表現を施しています。荷台のゲートも少し曲げるなどしています。輸送車両ということで、戦闘車両のような激しいダメージにするとウソっぽくなるので、ほんの少しにとどめていますが、少しでもそういう変化を付けると個性が出せるのではないかと思います。
 キットは車両本体に加え、荷台に積むドラム缶が8個準備されています。メーカー名のモールドが入ったフタやデカールなどでバリエーションを持たせるなど、単調にならないよう配慮されています。フィギュアはドライバーが1体付属。そのまま組み立てるだけでは車両とのフィッティングがいまいちなので、関節などを微調整しました。

■塗装と仕上げ
 塗装は4パターンが準備されています。今回は箱絵に描かれている塗装例4の「US ARMY SERVICE FORCES」の車両を選択。GSIクレオスのMr.カラー(オリーブドラブ2)で基本塗装し、油彩でウォッシングやドライブラシを行い色調の変化を付け、ミグのピグメントで泥ホコリの表現をしました。

■おわりに
 完成した姿を眺めていると、今となっては懐かしいボンネットや、丸っこいキャビン、丈夫そうな足周りなどなど「いかにも昔かたぎのトラック!」という佇まいで実にカッコイイです。荷台の荷物を変えたり、民間仕様で明るい色を塗ったり、内部パーツを生かして壊れて路肩に放置された状態のディオラマを作るなどなど、作っているとやりたいことがあれこれ思い浮かんできました。また機会があれば挑戦してみたいですね。

ミニアート 1/35スケール プラスチックキット

アメリカ陸軍 G7107 4X4 1.5t カーゴトラック

製作・文/松本森男

アメリカ陸軍 G7107 4X4 1.5t カーゴトラック
●発売元/ミニアート、販売元/GSIクレオス●6600円、発売中●1/35、約16.1cm●プラキット

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松本森男(マツモトモリオ)

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