タミヤ「KV-2」をディオラマ仕立てで製作&キットレビュー
2022.05.10ソビエト重戦車 KV-2【タミヤ 1/35】 月刊ホビージャパン2022年6月号(4月25日発売)
待望のフルリニューアルとなったKV-1をベースに、箱型の巨大な砲塔を備えた個性派重戦車KV-2がMMシリーズに帰ってきた。2022年3月発売のためすでに製作された方も多いことと思うが、今回はこちらのキットを山田卓司が製作。付属のフィギュアから着想したというディオラマ仕立てで仕上げた。
KV-2は昔から大好きな戦車で、タミヤの旧キットはもちろんトランペッター、ズベズダキットもストックしています。先の『KV-1 1941年型 初期生産型』リリースの時からバリエーションキットのひとつとして待ち望んでおりました。すでに1/48、1/16ではリリースされていたので1/35版もいずれリリースされるだろうと確実視しておりましたが、意外と早めのタイミングでのリリースに喜んでおります。
■キットについて
車体そのものはKV-1と同一ですが、転輪、誘導輪、上部転輪など別タイプとなっており、伴って誘導輪基部も新しいパーツが用意されています。
特徴的な巨大な砲塔は各面ごとの貼り合わせ式。車体同様、装甲板端面の切削跡や溶接ビートなど精密な彫刻が冴えています。特に装甲板表面の緻密な彫刻はタミヤ製品ならではで、見ていて惚れ惚れします。巨大な152mm榴弾砲は砲身にラインが入り、砲口内にはライフリングも彫刻。KV-1同様、ピストルポートのプラグは別パーツ化されています。
砲塔後部の巨大な砲交換用ハッチは裏側も再現されていますので、捕獲時に開けられた状態も再現できますね。
フィギュアは先のKV-1譲りの半身像に加えて、新たに立像の戦車兵が加わりました。こちらはMM No.63の旧キットに付属していた、通称「ガッツポーズおじさん」へのリスペクトが感じられるポージング。今回は考証も新たに大戦初期に着用されていたシャツ襟の軍装となって、階級章のデカールも付属して新時代に相応しい物になっております。
■作例について
今回はニューキットレビューということもあり、全くのストレート組み。追加工作は雑具箱の蓋を少し歪ませたぐらいです。
キット指定のイエローグリーン(XF-4)とオリーブグリーン(XF-58)を等量混合した基本色としたカラーモジュレーション塗装。ハイライト部分にホワイトをスプレー塗装してからイエローグリーン。シャドー部分にオリーブグリーンを、それぞれ薄く塗装して調整しました。
汚しはGSIクレオスのウェザリング塗料や各種ピグメント(顔料)、色鉛筆を使用。ハードな汚しが似合うソ連戦車ですが、錆やレインマーカー(雨垂れ)は控えめにしています。ライトの凹面はガンダムマーカーのメッキシルバーを使うと完成後の良いアクセントになりますね。
■ディオラマについて
いつもならタミヤ製品の中からディオラマを作るのですが、今回は新規に作られた「ガッツポーズおじさん」から物語を考えてみました。
すぐに思い付いたのが「農民たちからの窮状の訴えに、決意を新たにするソ連兵」で、ストックしていたマスターボックスの『Farmers Cart (MB3537)』『Eastern Region Peasants(MB3588)』を採用。
馬車は戦場写真などでよく見かけるタイプで、車体裏側やステアリングなど細かく再現されています。無傷で放置されているのも面白くないので、破損させて車輪もひとつ外れてしまった状態です。破損部分は木製ゆえのササクレをナイフで切り込んで表現しています。農民は農婦、女の子、男の子をチョイス。女の子のみ腕を自作して怒っている表情としました。頭巾もエポパテで加工して三角巾とし、鉛線で三つ編みを作って付けてあげました。ベースはいつも通りスタイロフォームから切り出し、ダイソーの『ふわっと軽い粘土』で地表を造形してから赤玉土を砕いて接着。側面はタミヤの情景テクスチャーペイントで仕上げています。
草地はスタティックグラス(ディオラマ用草素材)とグリーンスタッフワールドの『Grass Mats Cut-Out』(芝マットカット版 新緑の牧草地)を使用。ディオラマのアクセントとして野ウサギを茂みに紛れ込ませました。戦場写真を見るとロシアはだだっ広い荒野の印象が強いので、KV-1ディオラマとは変えて立木は止めておきました。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
ソビエト重戦車 KV-2
ディオラマ製作・文/山田卓司
ソビエト重戦車 KV-2
●発売元/タミヤ●4950円、発売中●1/35、約20.4cm●プラキット