ペーパープランで終わったドイツの幻の機体がキット化!「ヴェーザーフルークP.1003/1」を箱絵に沿って仕上げた作例でキットレビュー
2022.04.30WWIIドイツ空軍が計画したティルト・ローター機
2010年代にようやく実用化されたボーイングV-22オスプレイと同様のメソッドで垂直離着陸を実現しようとするアイデアは、第二次大戦前にすでに生まれていた。1938年に計画されたヴェーザーフルークP.1003/1は、主翼両翼端のプロペラ2基により垂直離着陸を可能とする野心的なデザインだったが、技術的な問題により計画は放棄された。「トリープフリューゲル」でWWIIドイツ計画機のモデル化に挑戦したアミュージングホビーから、同じく1/48スケールでこのティルト・ローター機の先駆けをリリース。プラモデルなら垂直離着陸の悲願を実現できる!
■WWIIドイツのVTOL計画機
アミュージングホビーよりまたおもしろいキットが発売されたので、さっそく紹介したいと思います。第二次大戦末期のドイツ軍の計画機・試作機はおもしろいものばかりですが、前回の「トリープフリューゲル」に続き、今回は垂直離着陸機ヴェーザーフルークP.1003/1です。
この形態を見ればわかるように何かMV-22オスプレイに似ていますね。この機体、単発エンジン装備で多くを詰め込み過ぎたせいか試作機は作られず、ペーパープランで終わることとなりました。
■胴体の工作
さっそく作っていきます。胴体内部から組み立てますが、左右胴体の合わせのダボが合わないところがあるので事前に調整し、主脚庫、コクピットを組み込んでおきます。
計器盤はデカールが付属しませんので、ストックのデカールを利用するか、塗装で何とかします。作例では余りのデカールでそれらしくしておきました。
尾脚も事前に組み込むようになっていますが、箱型のモールド下側を削ることで後からセットできるようになります。
■主翼の工作
次に主翼の組み立てですが、キットの指示通りですと、左右の外翼を同時に回転させることができません。そこで主翼内翼を組み立て胴体にセットする前に外翼をセットし、余ったランナーを利用して左右を繋いでしまいます。これで左右同時に動かせます。しっかりと繋いでおきましょう。
プロペラはパーツB17(B26)をナセルにセットしておけば、組み立ての最後に取り付け可能です。主脚、尾脚とも別途組み立て塗装をしておき、本体塗装後に組み込みます。胴体、主翼、尾翼を組み立て塗装に備えます。キャノピーもマスキングを済ませ胴体にセットしておきます。
■塗装とマーキング
計画機ですからどんな塗装でもマーキングでもOKですね。作例では箱絵に沿って仕上げてみました。やはりデカールがあるほうが助かります。ただ胴体の黄色と赤の帯は塗装にしました。
まずガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで全体を塗りつぶします。この塗料は下地の処理が不充分なところがわかりやすいし、表面もしっとりとした感じに仕上がります。ただ今、メーカーで欠品していて残念です。早く再生産してほしいものです。
本体の塗装はGSIクレオスのMr.カラーです。下面はC118ライトブルー、上面はC119サンドイエローとC120オリーブグリーンの迷彩です。インクスポットの部分も同じ色です。
塗装後、スミ入れ、ウェザリングをタミヤ製スミ入れ塗料黒で行い、デカールを貼ります。乾燥後、3/4ツヤ消しでオーバーコートします。後は脚、プロペラを取り付けて完成です。
■最後に
このキットは実機もありませんし、変にこだわる必要もないので、想像を膨らませて自由に組み立て、塗装をするのもよいと思います。
アミュージングホビー 1/48スケール プラスチックキット
ドイツ ヴェーザーフルーク P.1003/1
製作・文/山田昌行
ドイツ ヴェーザーフルーク P.1003/1
●発売元/アミュージングホビー、販売元/ビーバーコーポレーション●3520円、発売中●1/48、約17.3cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
試作機や計画機が多くリリースされる昨今、実機が存在しなくても机上で楽しめるのがプラモの良いところですね。