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サンライズ作品のメカをプラモで再現! 『無限のリヴァイアス』より、アオシマの「黒のリヴァイアス」プラモ作例をお届け!

2022.04.17

サンライズ・メカニック列伝 第40回 黒のリヴァイアス【青島文化教材社 1/4000】 月刊ホビージャパン2022年5月号(3月25日発売)

サンライズ作品のメカをプラモで再現! 『無限のリヴァイアス』より、アオシマの「黒のリヴァイアス」プラモ作例をお届け!
黒のリヴァイアス メイン画像

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は1999年の作品『無限のリヴァイアス』から、外洋型航宙可潜艦「黒のリヴァイアス」の1/4000作例をお送りしよう!
 西暦2225年、太陽系は太陽フレアの異常放出によって生まれた海「ゲドゥルト」に覆われていた。人類はゲドゥルト内に生息する生命体「ヴァイア」を利用した6隻の航宙艦「ヴァイア艦」を建造。その1隻が黒のリヴァイアスである。航宙士養成所で何者かによる破壊活動に巻き込まれた487名の少年少女たちは、施設に隠されていたリヴァイアスに乗り込み、救助が来るその日を待ちながら宇宙の航海を続けるのだが…。
 作例は田仲正樹が製作。キットのフォルムを最大限に活かしつつ細部のディテールアップを行い、各部のギミックを補強。加えて、氏が2000年秋のキット発売時に製作したモデルも投入し、ストレート組みの状態とは一味違ったディスプレイ方法を提案している。

黒のリヴァイアス 左斜め後ろ
黒のリヴァイアス 左斜め前

黒のリヴァイアス

黒のリヴァイアス 上正面

 航宙士養成所リーベ・デルタに秘匿されていたヴァイア艦。重力制御をはじめとした、人類が外宇宙に出ていく際に必要となる特殊能力を備えている。全長996m

製作途中状態

黒のリヴァイアス 左側面
黒のリヴァイアス 右斜め後ろ

 キットは良好なフォルムでリフト艦の分離ギミックも申し分ないが、全体的にディテールが少なめでややシンプルな印象がある。作例は秀逸なキットを最大限に活かしつつ、設定画や各種版権イラストに描かれているディテールを追加し、精密感をより向上させたもの。製作途中画像における白やグレーの部分が追加されたディテールや改修箇所だ。また、ネオジム磁石ギミックの補強案は改めてこのキットを製作する際に必ず参考になるだろう

細部ディテールアップ

黒のリヴァイアス 前先端
黒のリヴァイアス 後ろ先端

 0.25mmプラ材やスジ彫り等で省略されているディテールを追加。上面のアンテナ状のディテールは極細の真鍮パイプに交換した。船体後部の各エンジンは円錐状のディテールをプラ棒で作り直し、ノズル部のフチを市販パーツ等でシャープ化している

バルジキャノン

黒のリヴァイアス バジルキャノン

 主武装のバルジキャノンは着脱時の破損防止のため、軸を短く削りネオジム磁石接続に変更。飾り台にも磁石で接続させている。「ここは船体ではないので、追加のディテールを控えめにしてリヴァイアス本体と差が出るようにしました」とのこと

船体の前後接合部

 キットの機構だとここにどうしても隙間が生じるため、ネオジム磁石で接続して前後を密着させている。「塗装が猛烈に難しくなるので前後を接着しないようにしてください」とのこと

電飾

黒のリヴァイアス 先端正面
黒のリヴァイアス 右斜め前

 GSIクレオス「VANCE ACCESSORIES」の砲弾型3mmLED【青】をクリアーイエローで塗装して仕込み、クリアーパーツを青緑に発光させている。点灯と電池交換は、船体下面の一部を切り取ったフタ(ネオジム磁石による脱着式)を開けて行う

ヴァイタル・ガーダー“アインヴァルト”/リフト艦

黒のリヴァイアス ヴァイタル・ガーダー“アインヴァルト”/リフト艦 1

 ヴァイア艦の主動力源でもある「ヴァイタル・ガーダー(VG)」とは、ヴァイアに装甲等を取り付け、兵器としてコントロールできるようにしたもの。リヴァイアスのVGアインヴァルトは人型で、バルジキャノンを連結し運用することも可能。全長200m。そのコントロールルームを有するリフト艦は、リヴァイアスから分離後、数万本のパペットワイヤーを使ってアインヴァルトを制御する。全長170m

VGとリフト艦の工作

黒のリヴァイアス ヴァイタル・ガーダー“アインヴァルト”/リフト艦 2

 VGは片方の脚をいったん切り離すと合わせ目を消しやすくなる。作例はエポパテでふくらはぎ内側の形状を変更し、足首周辺のノズル類のディテールを追加した。また格納用とは別に、田仲氏が以前私的に製作したVGも投入。対「青のインプルス」戦をイメージしたものにポーズ変更した。台座の支柱はVG用をボールジョイントと真鍮線を組み合わせたもの、バルジキャノン用をネオジム磁石とボールジョイントを組み込んだものに交換し小型化している。リフト艦内壁はスリットやパイプ類に見立てたスジ彫り入りのプラ板やプラ棒等を接着してデコレート。スケールに合わせてそれらしくするという程度にとどめるのが健康的だろう。リフト艦の台座への接続や、VGのリフト艦への格納はネオジム磁石を使用し、着脱を容易にした。また、展示の際に下部ハッチが定位置に納まるように台座の形状を変更している

可潜艇タンデル

「黒のリヴァイアス ラストバージョン」に付属のレジン製1/4000ゲシュタル型可潜艇タンデル。立体化の機会が少ないだけに貴重なキットと言えるだろう。作例は一部を金属線に置き換えた他はほぼストレート組み。飾り台は1/600ギル・バウのものを流用した

■くろいふねをつくる
 風呂敷を愛用しているサンライズメカファンのみなさんは、「自分が乗るなら、どの作品のどの船がいいかな…」と考えたことがあるはず。ジジイが子供のパンを盗む船、ジジイが高校生を踏んづける船、ゴステロがいる船等、積極的に乗りたいとは思えない船が多い中で、このリヴァイアスも乗りたくない船のベスト(ワースト)5くらいには入るのではないでしょうか。それはともかく『リヴァイアス』という作品それ自体は、いったん観始めるとまったく目が離せなくなるほどの面白さを持った、文字通りの力作です。特に学生の皆さんには若いうちに必ず鑑賞してもらい、「これが社会の縮図か…」と辛い気持ちになったところから立ち直って再び勉学に勤しんでいただきたいと切に願う次第です。
 さて1/4000リヴァイアスですが、少なめの部品数ながら良好なフォルムとギミック、切り跡が目立たないゲートにより、普段は模型を作らない層でも見映え良く完成させられる好キットです。眺めながら「艦内に電車とかを走らせたほうが良いんじゃないか」「あいつ人の弁当を勝手に食いやがって」等と作品を反芻してさまざまな感情に浸るのにもってこいですが、設定画からディテールが省略されていることや、分離させたリフト艦やVGが意外に飾りにくいのも気になります。
 そこで作例は、省略されているパネルライン(?)はスジ彫りで、凸ディテールは細かく刻んだ0.25mmプラ材でそれぞれ再現。リヴァイアス本体(ブラティカ)とリフト艦、VG、バルジキャノンの接続と、台座への着脱はすべてネオジム磁石による接続に変更し、破損や脱落を防止します。VGはキットのままでもいいのですが、祐希のイメージを投影したディスプレイをしたかったのでポーズと脚部の形状を変更しました。このサイズでディテールの完全再現をしようとすると完成しなくなるので、それらしく見えていればいいや、というくらいの気持ちで作るのがよいと思います。

■くろにはぬらない
 角川書店刊(現KADOKAWA)「NEWTYPE100%COLLECTION39 無限のリヴァイアス えがかれたあした」に掲載のカラーイラストを参考に塗装。
本体=インディーブルー+ハーマンレッド+純色バイオレット+ウイノーブラックにスカイブルー少量
リフト艦内部=オレンジにピンク、ブラウン、ハーマンレッドを各少量、本体色微量
 成型色の真っ黒も悪くないのですが、そこへ茶系でスミ入れしたりすると錆が浮いた感じになって未来の宇宙船ではなくなりそうなので、明度の低い青紫(肉眼でうっすらわかる程度のグラデーションをかけています)に暗い紫でスミ入れをして、彩度を高めにしています。バルジキャノンの弾頭は本体色に近いグレー。VGは白に近い暖色系のグレーとピンクに近い茶色を筆塗りしています。
 次回は白いボディのメカが登場する予定です。

青島文化教材社 1/4000スケール プラスチックキット

黒のリヴァイアス(ラストバージョン)

製作・文/田仲正樹

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©サンライズ

田仲正樹(タナカマサキ)

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