小森陽一のクリエイトの旅とは【コモリプロジェクト】
2022.03.21 そもそも僕がガレージキットにのめり込むようになったきっかけは、欲しいものが目の前に現れたという衝撃からです。
それまでの怪獣の立体物というとソフビやプラモデルが主流でした。リアルさを狙うのではなく、親しみやすさが全面に出ていて、いかにも子供のおもちゃという感じでした。もちろんその事を否定するつもりはまったくありません。ただ、僕はひねくれた子供だったので、子供じみたものには手を出さず、そっぽを向き、怪獣のソフビやプラモデルはひとつも持っておりませんでした(友達の家ではソフビで怪獣ごっこをして遊んでたんですけどね……苦笑)。
長じて高校生になった頃、「宇宙船」という雑誌で手作りの怪獣キットが紹介されました。見た瞬間、雷に打たれたようになりましたよ。ゴジラ、アンギラス、パゴスにビラ星人。そのリアルさに圧倒され、モノクロ写真を穴の開くほど眺め倒しました。正に怪獣の神様の啓示です。「よーいちよ、お前が探していたものはこれだろう」と。以来、数十年の月日が流れましたが、ガレージキットへの情熱はますます燃え盛り、衰える事をしりません。
「本当に欲しいものは探すだけではダメ。自ら創り出さなくてはならない」そうなんですよね。小説にしてもマンガにしても映画だってそうなんです。読みたいもの、観たいもの、作りたいものの究極は自分でクリエイトするしかありません。心がざわめく欲求のままに先ずはカタチにしてみる。手に取って触れてみて、あらゆる角度から眺めてみる。そんな事をしているうちに、段々と確かな像が結ばれてきます。
コモリプロジェクト発祥のクリエイトの旅はまだまだ続きます。
コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
文/小森陽一
構成・制作・写真/土井眞一
© 円谷プロ
小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。