ファインモールド「ファントムII」で作例を製作! “マリーンズ”、“ファースト・ミグエース” そのほか実機写真も
2022.03.07アメリカ海兵隊 F-4J 戦闘機“マリーンズ”【特装仕様】【ファインモールド 1/72】/アメリカ空軍 F-4D 戦闘機“ファースト・ミグエース”【初回特装版】【ファインモールド 1/72】/日本にも飛来した 米海軍・海兵隊ファントム/ベトナム戦争の主力だった ショートノーズ空軍ファントム 月刊ホビージャパン2022年4月号(2月25日発売)
精鋭部隊“マリーンズ”の海鷲ファントム
海軍から独立し上陸作戦などの陸上戦闘任務を担当する「海兵隊」は、作戦に必要な独自の航空部隊も保有している。1960年にアメリカ海軍に導入されたF-4ファントムII戦闘機は、1968年から海兵隊でも装備を開始。ベトナム戦争では戦闘爆撃機として海軍機よりもハードな任務を担い、1992年まで運用が続けられた。ファインモールドではショートノーズ・ファントムの第4弾として、この精鋭“マリーンズ”たちが駆ったファントムを限定生産のフィギュア付き特装仕様でリリース。以前リリースされた海軍のJ型とは異なるカラーリングを楽しめる!
アメリカ海兵隊 F-4J ファントムII 戦闘機“マリーンズ”
■待望のショートノーズ版が登場!
F-4EJから始まったファインモールドの新金型製品が、ここへきてショートノーズ・ファントムIIのF-4J/C/Dへと発展しました。そこで今回はF-4J“マリーンズ”仕様を作りたいと思います。このキットは特別版で新金型のパイロットフィギュアが付属します。このフィギュアはタミヤの設計・金型製作とのことですが、ファインモールドのシートにきちんと合うように作られており、安心して組み込めます。
■コクピット
有名過ぎる機体ですから実機解説は省略させてもらい、さっそく製作していきます。
コクピットから作り始めます。前後の計器パネルとサイドコンソールは、モールドの入ったパーツと、デカールを貼るためにモールドのない平坦なものとが付属しますが、今回はモールド入りのパーツにデカールを貼っています。最近のデカールはモールドへの馴染みもよく、デカールソフターなどを併用すればきれいにモールドに馴染みますので、そのほうが立体感があってよいと思います。パイロットシートは後から組み込めますので、でき上がったコクピットブロックをセットして前部胴体を作ります。
■胴体
次に一体成型された後部胴体にエンジン部分の隔壁をセットします。別パーツとなっている胴体背部のパネルは空軍型とは異なり、海軍型専用のものが付属しますので安心です。しかしこのパネルは先に発売されたEJのものと違って少々合わせがきつく、充分に擦り合わせをしておきましょう。またこの胴体背部パーツも含め、各部に細かい部品を取り付ける穴を開けておくのを忘れずに。
■主翼
主翼は内翼までの下面パーツに内翼上面パーツを取り付け、外翼を取り付ければ完成、胴体パーツに取り付けてしまいます。別パーツ化されている胴体後部下面の排気パネル部分は塗装を済ませておきます。スタビレーターもパーツ状態で塗装、本体塗装後に取り付けるとよいでしょう。排気ノズルも塗装を済ませ後でセットします。脚部もそれぞれ組み立て塗装しておきます。脚カバーにはデカールを貼るところがかなりありますので忘れずに。
付属のウェポンパーツは胴体中央および翼下の増加タンクのみ。作例ではファインモールドの別売りウェポンパーツ「アメリカ軍 航空機用ミサイルセット2(’60s~’70s)」が間に合わなかったので、急遽ハセガワのAIM-7スパローとAIM-9Dサイドワインダーを使用しています。
ウェポンパーツ、燃料タンク、キャノピー、脚関係を取り付ければ完成です。キャノピーを取り付ける前にシートおよびフィギュアを取り付けるのを忘れずに。
■塗装およびマーキング
塗装例1のアメリカ海兵隊VMFA-333、空母「アメリカ」搭載機としました。機体上面はガルグレー、下面は白。この時代の機体塗装はグロスだと思うのですが、このぐらいの大きさのキットであまりピカピカだとおもちゃっぽく見えそうなので半光沢にしました。
本塗装前にガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りしておきます。本体の塗料はすべてGSIクレオスのMr.カラー。上面がC315、下面はC316の指定となっていますが、筆者はこのC316の黄色がかった白があまり好きではないので、GX1クールホワイトを使用しています。実機ではC316のほうが正しい色合いだと思いますが、若干汚しをかけますので白すぎるとは思っていません。実際画像などで見る限りレドームあたりはかなりきれいな白に見えます。あくまで個人的な主観です。
塗装後スミ入れし多少ウォッシング、デカールを貼ったのちC181半光沢でオーバーコートします。
■最後に
このキットは非常によい出来で、合わせ目の処理も極少です。組み立て自体にほとんどストレスはなく、スラスラ組み立ては進みますので、いろんなバージョンで作りたくなります。できれば、B型、S型、F型、RFもと言うと欲張りすぎですかね!
ファインモールド 1/72スケール プラスチックキット
アメリカ海兵隊 F-4J 戦闘機“マリーンズ”【特装仕様】
製作・文/山田昌行
アメリカ海兵隊 F-4J 戦闘機 “マリーンズ”【特装仕様】
●発売元/ファインモールド●4510円、発売中●1/72、約24.8cm●プラキット
ベトナム戦争のエース機を作れるMiGキラー・ファントム
ファインモールドでは、航空自衛隊のF-4ファントム退役前後に合わせ2020年からロングノーズ型の空軍型F-4E、F-4EJの新金型1/72キットを発売したが、2021年末、ショートノーズ型のF-4JとF-4C/Dが相次いでリリースされた。特に空軍型のF-4C/Dは、嘉手納で飛び回っていたファントムを知るオールドファンにとって待望のキットだ。“ファースト・ミグエース”はベトナム戦争でMiG-21などを撃墜したF-4Dを再現し、特典としてパイロットフィギュアが付属している初回特装版となる。ベトナム迷彩をまとった大迫力の空軍ファントムを作れる!
アメリカ空軍 F-4D ファントムII 戦闘機 “ファースト・ミグエース”
■空軍型ショートノーズ
2021年夏に発売されたベトナム迷彩のF-4D“ファースト・ミグエース”は、胴体上面の空中給油受油孔などのモールドを再現するため上面部分の一部が別パーツとなっているのが大きな相違点。キャノピーは開閉2種類を用意。デカールは4種類で、ベトナム戦争に参戦したチャック・イェーガー大佐搭乗機のF-4D 678号機と、ミグキラーとして有名なスティーブ・リッチー大尉&チャック・デブルーブ大尉、マッキー少佐&ダブラー大尉搭乗機のF-4D 463号機が(2種類)附属する。
■キットの製作
モールドを優先するため、アクセスパネルに合わせて前脚周辺などが分割されているが、仮組みをしっかり行えばストレートに組むことができる。
コクピットや射出座席は少ないパーツながら実感が高く、初回特装版の特典としてパイロットフィギュアも用意されている。作例では後席フィギュアの腕パーツを変え動きを出してみた。
機首は分割され、エアダクトもパーツ化されているので、スプリッター・ベーンとダクト内側は先に塗装しておきたい。インテーク部分と胴体上面のパーツ、胴体と主翼パーツの合いはよいのでストレートに組んでも問題はない。
垂直尾翼は先端後部のアンテナは2種類が選択できる。前縁のピトー管は一体成型されているので、製作途中に破損しないように注意したい。
■ウェポン
キットに付属しているアクセサリーは2種類の燃料タンクのみだが、ファインモールドの別売りパーツ「アメリカ軍 航空機用ミサイルセット2(’60s〜’70s)」から空対空ミサイルや空対地ミサイル、「アメリカ軍 航空機用爆弾セット(’60s〜)」から爆弾などのウェポン類を使用すると、空対空戦闘仕様や空対地戦闘仕様などいろいろなバリエーション選択可能だ。
今回の作例では、胴体下面のセンターにSUU-16/Aガンポッド、スパローランチャー前方に自衛用のAN/ALQ-87 ECMポッドと、後方にAIM-7Eスパロー空対空ミサイル、主翼下面のパイロンにトリプルエジェクターラック(TER)を介してLAU-3ロケット弾ポッド(このパーツのみ他メーカーのキットから流用)を搭載した。
■塗装とマーキング
沖縄返還の1972年直後から(当時はまだ右側通行)、嘉手納基地で飛び回るF-4(当時は5個のファントム飛行隊が常駐)を見てきたので、ファントムの原点と言えばベトナム迷彩のショートノーズ。作例はベトナム戦争終結後、嘉手納基地の第18戦術戦闘航空団(18TFW)にも配備されていたF-4D 463号機で、スプリッターベーンに4個のスコアを描いた第555戦術戦闘飛行隊(555TFS)に配備されていた当時のマーキングを再現した。
カラーリングは機体上面ダークグリーン/ミディアムグリーン/タン、下面ライトグレーの通称“ベトナム迷彩”。初期のライトグレーは、脚収納庫内側の白とほとんど区別できなかったが、末期は下面のグレーと脚収納庫の白がハッキリ区別することができるほどグレーの色調が変化している。迷彩は型紙を使用して塗装。キットには細かい注意描きが付属しているが、実機はタッチアップを繰り返したため、最小限の注意描きをのみ残して塗り潰した機体も多い。
ファインモールド 1/72スケール プラスチックキット
アメリカ空軍 F-4D 戦闘機 “ファースト・ミグエース”【初回特装版】
製作・文/石原 肇
アメリカ空軍 F-4D 戦闘機 “ファースト・ミグエース”【初回特装版】
●発売元/ファインモールド●4510円、発売中●1/72、約24.8cm●プラキット
日本にも飛来した米海軍・海兵隊ファントム
1960年代から1980年代にかけてアメリカ海軍の主力戦闘機となったF-4ファントムII。少し遅れて海兵隊でも導入され、海軍がF-14トムキャットに機種改変した後も1990年代まで運用が続けられた。両軍が装備した最初の量産型F-4B、その後継タイプのF-4J、それぞれのアップグレード型F-4N/Sは厚木基地や岩国基地に展開し、日本のファンにもなじみ深い機体。当時の雰囲気を伝える海軍・海兵隊の実機写真を紹介する!
ベトナム戦争の主力だったショートノーズ空軍ファントム
アメリカ空軍でも採用されたF-4ファントムII戦闘機は、1964年から海軍のF-4Bを空軍向けに改修したF-4C、1966年から戦闘爆撃機化を進めたF-4Dが運用された。ショートノーズ型のF-4C/Dは約1400機が導入され、文字通りの空軍主力戦闘機となった。後継のロングノーズ型F-4E登場後も国内の州空軍や予備部隊に配備され、1992年頃まで使われていた。長きにわたり空軍を支えたショートノーズ・ファントムの実機写真をお届け!
山田昌行(ヤマダマサユキ)/石原 肇(イシハラハジメ)
山田昌行(ヤマダマサユキ):数機のF-4を担当させていただき一応一段落ですが、別の型式(B型とか)が出されればまた作りたいですね。
石原 肇(イシハラハジメ):青春時代をF-4ファントムと過ごしてきた親父モデラー。やっぱりファントムはショーノーズだよね。