【MG Zガンダム作例】劇場版っぽいマッシヴな姿に徹底改修!
「HJメカニクスアーカイブ 機動戦士Zガンダム編」より
2022.02.15
Z計画の完成形
全身徹底改修でマッシヴな
Zガンダムを具現化する
アナハイム・エレクトロニクス社とエゥーゴが開発を進めた「Z計画」は、ティターンズに先行された可変MSの開発が主眼だった。その過程で百式やメタスなどを生むことになるが、その完成形がZガンダムである。ウェイブ・ライダー形態はオプション装備なしでの大気圏突入や、大気圏内の単独飛行を可能にし、MSの新たな可能性を示唆。グリプス戦役ではティターンズのジ・Oやアクシズのキュベレイと互角以上の戦いを演じ、エゥーゴをグリプス戦役の勝利者へと導いた。
作例は、ガンダムMk-Ⅱに続きNAOKIが担当。MS形態でのカッコよさを目指し、各部を徹底改修。劇場版で印象的だったマッシヴなZガンダムを目指している。
U.C.0088
ジ・O vs Zガンダム
コロニー・レーザーが発射されティターンズの戦力は壊滅状態となる。コロニー・レーザーを逃れたシロッコのジ・Oは撤退のため母船のジュピトリスに向かうが、それをカミーユのZガンダムが追う。ジュピトリスを背にしたジ・O。ついにグリプス戦役は最終局面を迎える。
「Z計画」が生んだ屈指の傑作可変MS
MSZ-006 Zガンダム
Zガンダムの特筆すべき点は高速巡航形態であるウェイブ・ライダーにある。ムーバブル・フレームにより、0.5〜0.8秒といわれる高速変形を実現。機動力も相俟ってグリプス戦役期の最強MSとして数多くの戦果を挙げている。
ウェイブ・ライダー
COLORING DATA
本体白
ニュートラルホワイト(NAZCA)
本体青
コバルトバイオレット(NAZCA)
本体赤
フレイムレッド(NAZCA)
本体黒
フロストマットブラック(NAZCA)+Ex-ブラック(ガイアノーツ)
本体黄色1
マンダリンオレンジ(NAZCA)+キアライエロー(GSIクレオス)
本体黄色2
マンダリンオレンジ(NAZCA)+キアライエロー(GSIクレオス)
関節色
メカサフ ヘヴィ(NAZCA)
MSZ-006 Z GUNDAM modeled&described by NAOKI
過去に何度もZガンダムを製作していますが、その度に思うのがZガンダムは難しい! 各ユニットの形状、バランス、タイミングの取り方など、どれをとっても少し変わっただけで印象が全く変わってしまいます。逆にいえばその振り幅の大きさが魅力でもあります。MGゼータガンダム Ver.2.0はスマートな印象がありますが、今回は劇場版のようなわりとマッシヴなプロポーションでまとめてみました。それでは各部解説です。
■頭部
いきなりですが今回は好みの問題で初代MG Zガンダムの頭部(正確には形状が同じ一番くじの景品だったもの)をベースに使用しています。Ver.2.0の頭部は設定準拠の面長で目つきがキツめの造形のもので、これはこれでZガンダムの記号として正しく思えるのですが、『ガンダム・センチネル』でカトキ氏が描かれた後の派生機に繋がるような、フラットな表情の初代MGの頭部が強烈に刺さっておりまして。ただ、比較してみると分かるのですが、意外とVer.1.0の頭部が大きくて(正面形状はさほど変わらないのですが前後幅が全く違います)、そのままVer.2.0に移植するとサイズが全く合いません。そこで前後に長い印象はそのまま残しつつ、各部を削り込んでVer.2.0にフィットするまで小型化しています。
■胴体
Z系はバランス取りが難しいと先述しましたが、そのもっともたる部分が胴体だと思います。胸やコクピットハッチのバランスの取り方など、胴体が空っぽな可変MSならではの難しさですね。まず上半身。襟周りは頭部がちょっと胸部に埋まったような印象を出したかったので、首および襟基部を変形用のレールに沿って下に下げます。そのままでは襟も一緒に埋もれてしまうのでいったん基部から切り離して上部に延長しています。胸部は、近年は設定どおりの垂れ気味の造形がトレンドですが、『ガンダム・センチネル』で見られるような角度の付いていない胸部も捨てがたいです。今回は極端にならない程度に角度を抑えめにしました。ただしそのまま変形のヒンジを利用して角度を変更すると胸部が前にせり出してしまうので、胸部の前後幅を詰めてセットしています。また、変形都合で頭部後方の板が長過ぎる印象を受けるので一度切り離して短くしています。コクピット・ハッチはキットのままだと変形のためのクリアランスやヒンジ部分が気になります。そこでヒンジ基部から切り離して上方にセット、コクピット・ハッチもヒンジの可動クリアランスのための切り欠きを埋めつつ、角度を変更した胸部に馴染むように形状変更しています。胸部側面の板はプラ材で囲んで大型化しています。
腰部は胸部以上にバランス変更を行っています。腰部ブロック自体の取り付けですが、側面から見た際の腕/脚の位置関係を調整(具体的には脚をちょっとだけ腕より前に出したい)、同時に後述の調整を行うために上半身を少しだけ長く見せたいので、腹部ボールジョイントを一度切り離し3mm程度延長したうえで前方へ移動、腰が前に出るよう位置調整しています。フロントアーマーは大幅に大型化。縦幅の延長に6.3mm幅のプラ材を挟み込んでいるぐらいなので(途中写真、中央の白い箇所)、かなり大型化しているのが分かるかと思います。
ディテールに関しては正面にあまり情報量を増やして印象を変えたくないものの、情報量は増やしたい。そこで側面にディテールを集中させて情報量を上げています。また、一部エッジの上にディテールを追加していますが、これは情報量を増やすために、不必要に面の印象を変えてしまうディテールを入れたくない時に多用しているディテールの入れ方です。そのようなケースに当たった時にはおすすめの方法ですので試してみてください。また、フロント・アーマーの大型化についてはバランス以外のテーマもありまして。それは太モモ上部の回転可動部隠しです。
股間ボールジョイントを廃した軸回転可動自体は大賛成ですが、横ロールのため太モモ上部を分割、この部分が見えてしまうと「ここまでが太モモ」という視覚的印象を受けてしまい、全体のバランスに影響を及ぼしてしまいます。『00』や『AGE』、『鉄血』など元から回転軸が設定されており、それが見えているデザインは、その状態でプロポーションバランスが考えられているので問題ないのですが、元デザインがそうでない場合はどうしてもその部分が気になってしまうのです。なので今回は、フロント・アーマーを大型化することで該当部分を目立たなくして、プロポーション(の見え方)が崩れないようにしています。サイド・アーマーは胴体側のアウトライン端点が陰線を描いており、そのままだと垂れた印象を受けます。そこで一度上に上がる面を作ることで印象を変えています。合わせてキットのままだとサイド・アーマーの付け位置が高過ぎる印象を受けるので、股間軸に挟む取り付けパーツを一度切り離して短くして、サイド・アーマーの位置を下げてより胴体に密着するよう調整しています。
股間ブロックは胸部/腰部の一体感を演出したかったので、基部を一度切り離し上方にセット。太モモの取り付けは左右0.5mmずつ外側にオフセットしています。股間ブロック自体の形状はプラ材で形状変更、下方へ向かう絞りの角度を緩めにしています。
■腕部
まず肩ブロックですが、変形都合か少々小ぶりな印象です。そこで前後面を大型化、合わせて上部ブロックもバランス調整しつつ大型化しています。腕自体も同様に少々貧弱に見えるうえに胴体、脚部ともにボリュームアップしているので、合わせてボリュームアップ。前腕を各ブロックごとに大型化、前腕全体の長さも延長しています。拳はストックしていた「ハイディテールマニュピレーターZZガンダム用」を使用。やはりZ系は親指カバーのついた形状がマストです!
■脚部
まず太モモの細さが気になるので、外装を2mm幅増ししています。ふくらはぎはフレームから延長しつつボリュームアップ。同時にアウトラインが単調な印象を受けるので、外側はポリパテで形状変更しつつボリュームアップ、内側は真ん中スジ彫り部分で切り離し別パーツ化、それぞれメリハリを付けた形状に変更しています。ヒザアーマーも短い印象を受けるので下方に延長。靴はマッシブにボリュームアップした全体の印象から鑑みると、つま先が長過ぎるように思えます。そこでつま先を短くしつつ縦長な印象になるように各部の形状を変更、合わせてかかとも2mmほど延長しています。
■フライング・アーマー
変形の都合なのか、胴体との位置関係が上過ぎる印象を受けます。そこで取り付けフレームを加工して左右バインダーの取り付け位置を下げています。
そんなわけで大改修になりましたがなんとか完成です。Ver.2.0発売からだいぶ年月が経ち、キットの良いところも悪いところも見えてきた今だからこそのアプローチになったかなと思います。それにしてもやっぱりZは難しい!
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット
“マスターグレード” MSZ-006 ゼータガンダム Ver.2.0使用
MSZ-006 Zガンダム
製作・文/NAOKI
こちらの「MSZ-006 Zガンダム」は先日発売された「HJメカニクスアーカイブ 機動戦士Zガンダム編」に掲載されております! 他にも冒頭のZガンダムと戦っていた「PMX-003 ジ・O」や、主役機である「RX-178 ガンダムMk-Ⅱ」をはじめとする『機動戦士Zガンダム』劇中登場機体を立体で網羅。総200ページ越えの大ボリュームの永久保存版となります。
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