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タミヤの「チーム スズキ エクスター GSX-RR ’20」を徹底ディテールアップ

2022.02.18

チーム スズキ エクスター GSX-RR '20【タミヤ 1/12】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)

GSX-RR '20 トップ画

MotoGPチャンピオンマシンを徹底ディテールアップ!

 2020年、スズキ創立100周年・レース活動60周年という節目の年にMotoGPに投入され、見事チャンピオンの座を獲得したチーム スズキ エクスター GSX-RRのキットがタミヤより発売中! フロントのウイングレットやロワフェンダー(スプーン)など近年のMotoGPのトレンドを押さえつつ、着実なアップデートを重ねた末の無駄のないフォルムをタミヤらしい高いクオリティで再現している。こちらの作例は石鉢俊が製作。今回はキット自体のクオリティが非常に高いため、細かいポイントに焦点を当ててディテールアップを行った。3Dプリンターも駆使した徹底的な工作をご覧あれ。

GSX-RR '20
▲キットはジョアン・ミルの36号車とアレックス・リンスの42号車を選択可能。今回は36号車を製作している
GSX-RR '20 正面
GSX-RR '20 後ろ
GSX-RR '20 横
▲60年代のスズキのGPレーサーを彷彿とさせる、青と銀のカラーリングはマスキングの後塗り分けにて再現。キット付属のマスキングテープもあるが、今回は自前の細切りのものを使用。なお各リベットは金属パーツに置き換えている
カウルを塗り分ける際のポイント
▲カウルを塗り分ける際のポイント。アッパーカウル、サイドカウル、アンダーカウルはそれぞれラインがひと繋ぎになっているので仮組みが必須。よりキレイなラインに仕上げたい場合は細切りのマスキングテープに置き換え、写真の赤線から地続きになるように貼り付けよう
分割してこまめに貼る方法
▲非常に目立つSUZUKIのロゴ。面積が広いため、分割してこまめに貼る方法もアリ。ゼッケン番号も同様だ
デザインナイフで分割ラインに沿ってキレイに切り離す
▲カウルを跨ぐデカールは全体をしっかり密着させてからデザインナイフで分割ラインに沿ってキレイに切り離す。この際塗膜を傷つけないように注意
タミヤのカーボンデカール
▲カーボンデカールはタミヤの製品を使用。リアフェンダー等複雑な形状に貼る場合はラインを揃えて何回かに分けて貼るほうがよい
GSX-RR '20 特徴的なマフラー
▲斜めにカットされた排気口にハニカム形状のカバーがついている特徴的なマフラー。ディテールアップセットにエッチングパーツが付属しているが、今回はキットのパーツをそのまま使用している
GSX-RR '20 オンボードカメラ
オンボードカメラ 別パーツ化
▲シートカウルの後部に付くオンボードカメラ。一体化していたものを別パーツ化した上で、レンズ周りを1mmサイズで彫り込んだ穴に0.5mmの真鍮パイプを追加してレンズの意匠を追加した
GSX-RR '20 チェーン
▲チェーンはタガネと電動リューターに固定したドリル刃で彫り込んだ
ステップバー 3Dプリンター
▲ステップバーはモデリングして3Dプリンターで出力。本作例ではその他にも細かすぎて自作が厳しいパーツに3Dプリンターパーツが活用されている
GSX-RR '20 後輪周辺
スイングアーム後方のチェーンアジャスター
▲スイングアーム後方のチェーンアジャスターは、塞がっている部分を開口。洋白線やナットパーツを加工して置き換えている
GSX-RR '20 前輪
GSX-RR '20 カウルを外した状態
▲カウルを外した状態。実車では非公開の部分もあるが、極力再現性を高めるべく工作を行っている
GSX-RR '20 アッパーカウル周辺
プラ板などで自作

▲センサーなどの電装パーツとステアリングダンパーのストロークセンサーをプラ板などで自作。アッパーカウル裏の詳細な形状は非公開の部分なので、ある程度想像で補完している

ハンドルバー
▲ハンドルバーは配線や基部を極限まで追加して再現。アドラーズネストのボルトやトップスタジオ製のバンジョーセットとニップル、真鍮パイプ等を使用して、スロットルケーブル基部やホールショットデバイス用の配線基部等をそれぞれ追加
ハンドルグリップのワイヤー
▲ハンドルグリップのワイヤーはホビー工作部品として発売している10芯コードの内部の細い線を使用。グリップに溝を彫り、そこに巻き付けている
マフラー部分
▲マフラーはパーツ分割されているので、すべてのパーツを取り付けて合わせ目を消してから塗装。塗装レシピは製作文を参照
スプリングを引っ掛けるステーを自作
▲0.4mmの洋白線を加工してスプリングを引っ掛けるステーを自作。ウェーブのA・スプリング1.0mmと0.3mmの洋白線を組み合わせてマフラースプリングを自作している
GSX-RR '20 エンジン周辺
エンジン下のカバーを自作
▲プラ板でエンジン下のカバーを自作。さらにトップスタジオ製のレジンパーツでセンサーを追加
GSX-RR '20 メーター周辺
バンドをウレタンスポンジで再現
▲主にレーサーで見られる、マスターシリンダーの周りを覆っているバンドをウレタンスポンジで再現
ステーやケーブルアジャスターなどを追加
▲マスターシリンダー用のステー、フロントブレーキのケーブルアジャスターなどを追加。また、両方のレバー内側をタガネで少しだけ彫り実車同様に肉抜きを再現。ただし先端の強度が弱くなるので注意が必要
アッパーカウル
▲一体化しているアッパーカウルを、実車と同様に分割
GSX-RR '20 前輪 周辺
フロントブレーキキャリパー
▲フロントブレーキキャリパーのバンジョーを3Dプリンターで出力
ストロークセンサーを製作
▲3Dプリンターパーツ、真鍮パイプ、洋白線の組み合わせでストロークセンサーを製作。ディテールアップセットのフロントフォークに追加している
ストロークセンサー 周辺
ストロークセンサー 追加加工
▲ストロークセンサーを3Dプリンターパーツで追加加工。スプリングはフロントフォーク ディテールアップセット付属のモノを使用している
ディスク表面温度センサー
▲ストロークセンサーを取り付けるためのステー(上矢印)、ボルト(下矢印)、さらに3Dプリンターパーツのディスク表面温度センサー(丸で囲んだ部分)を追加
GSX-RR '20

■最新MotoGP車だ!
 待っていました! と叫びたくなるほど嬉しいタミヤからの最新MotoGP車両のキット化です。しかも久々のSUZUKIな上にGSX-RR ’20はライダーとチームの2冠タイトルを取ったチャンピオンバイク! ありがとうタミヤさん。

■タミヤクオリティは健在
 最新のMotoGP車両はフロントにウイングレットが付いたり、リアタイヤ前方にスプーンなるエアロパーツが追加されていたり等、ここ数年で容姿がかなり変化し情報量も増えた印象がありますが、キットではそれらを上手く取り入れた見事なパーツ構成になっています。接着面も極力接着剤がハミ出ないよう工夫されており、しかも取り付け強度も申し分無し。またカウルや小物パーツに関しても、ある程度塗膜分の厚みも計算されており塗装後もスムーズに取り付けられるなど製作側を配慮した設計に、いつものタミヤクオリティを実感。また今回クラッチの取り付けがポリキャップになっていて、完成後は指で回せるギミックに設計者の遊び心を感じました。個人的にはアクスルシャフトとスイングアームピボットシャフト先端にプラスビス隠しのナットパーツが追加されていたことが密かに嬉しかったです。注意点を挙げるとすれば、今回ピンバイスで穴を開ける箇所が2ヵ所ある点と、36号車で組む場合はタンク脇のオプションパーツを取り付けるためのダボ穴を開ける必要があるので忘れずに。

■塗装
 極力パーツ点数が抑えられていて組みやすい反面、塗装での塗り分けが今回は比較的多いので、焦らず丁寧な作業を心掛けて地道に進めて行きましょう。今回私が使用した主な塗装レシピは、
カウルの青=GSIクレオス GXメタルブルー
カウルのシルバー=ガイアノーツ ブライトシルバー
フレーム、スイングアーム、ラジエーター=GSIクレオス クロームシルバー+シルバー
コーティングは、カウル等=ガイアノーツ Ex-クリアー、半ツヤ=セミグロスクリアープレミアム、ツヤ消し=フラットクリアープレミアムをそれぞれ使用しています。
 マフラーはブラックサーフェイサーを下地にそのままガイアノーツのプレミアムミラークロームを上塗り。さらに同メーカーのクリアーブラウンを全体にある程度の濃さで塗装後、溶接痕と繫ぎ目の部分を細切りマスキングテープで覆いGSIクレオスのスーパーチタンを全体塗装。マスキングテープを剥がしてクリアーブラックを塗装し光度を下げ、その後デカール貼り。乾燥後、ガイアノーツのプレミアムセミグロスクリアーでコーティングして完成です。

■結局どう作ったの?
 ただでさえ完成度が高く精密に再現されている今回のGSX-RR ’20。私が作例で出来たことといえば、配線とセンサー系の追加と小物のディテールアップをした程度です。製作の詳細は各写真とキャプションで見ていただきますが、パッと見て素組みとの差異は極端に感じないと思うので、深く考えずにストレートに組むもよし、腕のある方は実車を詳細に再現してもよし、それぞれの楽しみ方で作ってみてください。

GSX-RR '20

タミヤ 1/12スケール プラスチックキット

チーム スズキ エクスター GSX-RR ’20

製作・文/石鉢俊

チーム スズキ エクスター GSX-RR ’20
●発売元/タミヤ●4400円、発売中●1/12、約17.8cm●プラキット

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石鉢 俊(イシノハチマサル)

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