「ランツ・ブルドッグD8506」の貨物トレーラー付 バリエーションキットを使用してディオラマを製作
2022.02.10ドイツ トラクターD8506 貨物トレーラー付【ミニアート 1/35】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)
朝霧を彷徨う軍用トラクター
大戦間の1921年から大戦後の1960年までに約22万台が生産され、世界各国で使われたドイツのランツ社D8506「ブルドッグ」トラクター。本来は農業用だが、第二次大戦中はドイツ軍でも兵員や物資などの各種輸送任務などで運用されている。ミニアートは単体キットでD8506トラクターをモデル化していたが、このほど輸送用の牽引トレーラーを追加したバリエーションを発売。トレーラーの荷台に乗せる木箱やドラム缶、運転手などの兵員フィギュア2体も付属し、ディオラマ展開も容易。月刊ホビージャパン2021年6月号でもD8506の作例を手がけた松本森男が渾身レビュー!
■冒頭から昔話で恐縮ですが
今回のD8506トラクターのような車種は、20年ほど前はAFVモデルの中でもマイナー中のマイナーで、レジンキットでもほとんどなかったように思います。たまにそういうのが出たら、大枚はたいて買ってましたね……。
D8506はいかにも「トラクター!」といった雰囲気で、キットもすばらしい完成度。こういう車両が優れたインジェクションキットとして手にできるのは本当に嬉しいですね。
■キットについて
トラクター本体とトレーラー、荷物の木箱とドラム缶、フィギュア2体という構成。ミニアートらしくほとんどがプラパーツで、エッチングはエンブレムプレートや脚周りのごく一部に使われている程度です。パーツ数は少なくはないのですが、小さい車両ということもあって組み立てはとくに難しいところはありません。モールドの再現度・精密感は素晴らしく、さすがミニアートといった感じ。ただ、精密なために脚周りのパーツのロッドなど繊細なパーツが多いので、破損などに注意が必要です。場合によっては金属線に置き換えたほうがいいと思います。
■組み立ての注意点
正面から見た前輪の角度は、組立説明書の正面図を見ると若干逆ハの字状になっています。工程15の「Ce8,9」と「Da22」は、位置決め用のダボと穴がややルーズなので、接着時は正面図を見ながら慎重に角度を決めてください。作例ではステアリングを少し切った状態にしましたが、そういう場合はちょっとわかりにくくなるのでなおさら慎重に。また、工程19の後輪の組み立てでは「II」のパーツはトレッドが逆でも接着できるので注意です。
トレーラーは基本的に箱組みなので簡単です。前輪部はステアリングが可動ですが、パーツ「B7・8」のはめ込みがタイトです。接合部を擦りあわせてください。荷台の側板は開閉状態を選択できます。
■塗装
箱絵やカラー塗装図ではジャーマングレーベースなのですが、小さい車両なので明るい色のほうが映えるかも、とダークイエローにダークグリーンの斑点迷彩にしました。トレーラーは塗装図どおりジャーマングレーにしています。それぞれラッカー塗料(GSIクレオス)を下地に、油彩で色調に変化を着けています。こういう車両は後方の輸送業務が主だったと思うので、ピグメントでホコリ汚れを施す程度で押さえてます。木箱やドラム缶も、ラッカーに油彩です。
■フィギュア
ドライバーと荷台に立つ将校の2体が付属。ドライバーの車体とのフィッティングはいまひとつで、そのまま組み立てるときちんとシートに収まらないので、仮組みしながらの微調整が必要です。道端の老人は、マスターボックス「東欧の子供3兄弟と老夫婦 男女5体」(品番MB35088)から。
■おわりに
トラクター、トレーラーともども地味で小ぶりなのですが、ふたつを連結すると全長約26cmと結構なボリュームになります。戦闘車両と比べても大きさ的には同等、かつ印象的なスタイルなので、戦車や装甲車と組み合わせてみるとおもしろいディオラマにできそうです。また、農作物を積んだ民生車両にしてみるのも楽しそう、などなどいろいろな可能性のある好キットだと思います。
ミニアート 1/35スケール プラスチックキット
ドイツ トラクター D8506 貨物トレーラー付
製作・文/松本森男
ドイツ トラクター D8506 貨物トレーラー付
●発売元/ミニアート、販売元/GSIクレオス●7480円、発売中●1/35、約26.0cm●プラキット
松本森男(マツモトモリオ)
WWII日本軍のトラクターやブルドーザーもとても魅力的なんですよ。せめてコマツG40を1/35で……無理か……。