「サンダーバード秘密基地」60センチ四方の大型ディオラマを見よ!
2022.02.06サンダーバード秘密基地【スクラッチビルド】 月刊ホビージャパン2022年3月号(1月25日発売)
サンダーバード秘密基地を大型ディオラマで再現する!
1965年にイギリスで製作・放送された伝説のマリオネーション特撮作品『サンダーバード』。日本上陸から55年を経て、完全新作である日本語劇場版『サンダーバード55/GOGO』が日本語劇場版として劇場およびオンラインにて上映中。その上映を記念したHJの応援企画の最後を飾るのは、やはり当時の少年たちの憧れ、トレーシーアイランドことサンダーバード秘密基地。新宿ピカデリーでのイベント展示も考慮し、約60cm四方の大型ディオラマとして完成させた。
これがサンダーバード秘密基地だ!!
南太平洋に浮かぶ、国際救助隊(International Rescue)のトレーシー一家が住む孤島トレーシーアイランド。ここには国際救助隊のメカが格納されており、世界各地で発生する事故や災害にいち早く駆け付けるための設備が用意されている。日本では放映当時、今井科学からノンスケールプラキット「サンダーバード秘密基地」が発売され、模型少年たちの憧れのビッグキットとして大ヒットを記録。このキットを手にすることが模型少年たちのステイタスとなるほどの人気を誇った。
日本での放送開始より55周年なんですね。筆者も今井科学サンダーバードBBシリーズを買って公園の砂場で秘密基地を作って遊んでいた世代ですので、胸が熱くなる思いで今回の作例を担当させていただきます。
この作例は誌上掲載に先立ち年末より新宿ピカデリーにて現物展示に用いるとのことでしたので、展示物として成立するボリューム感と電飾による演出が条件であると判断し、約600mm四方というサイズで製作しています。また5号以外のサンダーバード各機の発進時を再現して、これから映画を楽しむ観客の皆様のテンションを掻き立てるディオラマ作品になるようにしました。
まずは資料と睨めっこして1~3号の配置と上下関係を把握してスタイロフォームを大まかに積み上げていきます。ここは格納庫を内包するために最後まで接合できない部分があるため分割線にも気を配り、かつ電飾配線の通り道も合わせて検討しておく必要があります。これらが成り立つ設計が完了したらニクロムカッターを使って斜面を作ると同時に岩肌の造形を行い、表面には木工用ボンドと水性塗料(黒と茶)を混ぜたシーナリープラスターを塗布、場所によって変化を出すため砂浜などにはモーリンのクラフトサンドなどで変化をつけています。そして凹凸を強調するために暗部にはエアブラシでグレー系を吹き付けているのですが、このタイミングでRAYWOOD様から充電式コンプレッサー付きのエアブラシTS1-B02をご提供いただき、ホースで手前の木々などをひっかけることなく奥の山々まで塗装作業ができました。これは海面の塗装にも活用したほか、ベランダでの木枠の塗装に重いコンプレッサーを運ぶことなく塗装ができたので、とても便利なツールだと感じました。
1号と2号の格納庫は角度によっては結構中まで見えてしまうため、鉄道模型用のトラスなどを使ってできるだけの再現をしています。庫内にはテープLEDを死角に配置して明るく見えるようにしています。
トレーシー・ヴィラ(1号の発進基地)はスチレンボードでサイズを決めて、石畳のモールド入りプラ板を貼り付けて地面を作ります。プールもプラ板製ですが、透明のエポキシレジンを流し込んで水の表現を加えています。建物自体はプラ材で製作し、手すりには1/700艦船用のエッチングパーツを使い、人間のサイズを感じさせる基準となるようにしています。窓の中にはレース編みのリボンを使ってカーテンも仕込んでいます。
クリフ・ハウス(2号)は昔からなぜドームが付いているのか不思議だったのですが、建物がガラス張りで断崖絶壁の立地ならば落石防止のため? とひとり納得した造形でした(笑)。このドームは100円ショップで入手した小さなくす玉をカットすることで再現、トレイシー・ヴィラ同様にプラ板で建物を作りました。格納庫内も正面から見える範囲は抜かりなく製作していますが、惜しいのは2号のコンテナをずらっと並べられなかったこと……。
3号の発射口にはラウンド・ハウスという変わったデザインの建物があります。これもプラ材加工で形状を出して塩ビ板で窓を製作しています。ここは格納庫が見えないので地上の建物だけで済みましたが、円盤状の形状出しに苦労した思い出があります。
そしてディオラマの水面下に4号を配置した海底エリアを作りました。100mm立方のアクリル製の箱の中にスタイロフォームで地形を作って、エポパテ製のサンゴや海藻を配置しています。
最後に今回のこだわりポイントとして、各機のサイズ比率をできるだけ合わせるということがあり、2号と3号は当時コナミから発売された食玩を、1号はプラ材からスクラッチ、4号のみイマイのサンダーバード秘密基地セットから流用となりました。ちなみに1号と4号のデカールは先輩モデラーのカインさんに製作していただきました。
ノンスケール スクラッチビルド
サンダーバード秘密基地
ディオラマ製作・文/コジマ大隊長
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コジマ大隊長(コジマダイタイチョウ)
セミスクラッチやディテールアップ、ウェザリング塗装など、あらゆる手法に精通するベテラン。