HOME記事ガンダム【0083特集】「RX-78 GP04G ガンダム試作4号機」 イラストイメージを重視してディテールを調整【野田啓之】

【0083特集】「RX-78 GP04G ガンダム試作4号機」 イラストイメージを重視してディテールを調整【野田啓之】

2022.01.13

RX-78 GP04G ガンダム試作4号機【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)

GP04ガーベラ トップ

幻の試作4号機

GP04ガーベラ フル装備

 ガンダム開発計画において、アナハイム・エレクトロニクス社に提出されていた設計案のひとつである「試作4号機」GP04ガーベラ。強襲・対MS戦闘に特化した機体として計画が進行されていたが、試作1号機とコンセプトが重複するために開発は中止。しかしすでに完成していた基礎フレームや内装は裏取引によってシーマ艦隊に身を移し、シーマ・ガラハウが駆るガーベラ・テトラとして生まれ変わることとなるのであった。
 この機体の初出は小社刊「ガンダムウェポンズ3」にてメカニックデザイナー・明貴美加氏が描き下ろしたイラストを元に菅義弘がフルスクラッチした作例であり、ガンプラとして発売されたのはそれから20年以上の時を経た2015年。RE/100シリーズの第3弾商品として発売された本キットは、RE/100のコンセプト通り組みやすくもハイディテールかつシャープな造形で出色のクオリティであった。そんなホビージャパンに所縁のある機体の作例を製作するのは、ベテランモデラーの野田啓之。明貴美加氏のイラストを参考に、よりイラストに近づけることをテーマに製作。小さなディテールも再現しているので要注目だ。

FRONT

FRONT

SIDE

SIDES

REAR

REAR
GP04ガーベラ イラストポージング

明貴美加氏のイラストを基に…。

 映像作品未登場の機体であるがゆえに、非常に資料が少ないGP04ガーベラ。となれば指標となるものはおのずと限られてくる。今回は野田啓之が惚れ込んだという下の明貴美加氏によるイラストを指標とし、できるだけイラストと一致するようにディテールを調整。胴体も明貴氏の当初の意図に沿って少し太ましく変更している。

GP04ガーベラ イラスト
▲丸で囲んだ箇所を、イラストに近づけるように改修している
GP04ガーベラ 後ろ
GP04ガーベラ 頭部アップ
▲頭部アンテナは伸ばしランナーに置き換え、元キットより細く長く変更
バックパック
上部センサー追加

▲GP01を参考に、バックパック上部のセンサーを追加した

プロペラント・タンク
▲特徴的なプロペラント・タンクは、側面のフィンを深く彫り込みより立体的に。縦割りのため合わせ目の処理も抜かりない
GP04ガーベラ 戦闘ポージング
胴体ブロック
▲どっしりとした体型にするため、胴体ブロックの横幅を2mm幅増しした。さらに胸部と腹部の接続をボールジョイント式に変更。多少ながら前後に可動ができるようになった
ヒジパーツを後ハメ加工
左腕・シールド取り付け用の穴を埋めるためのパーツ

▲左腕・シールド取り付け用の穴を埋めるためのパーツを製作。またヒジパーツを後ハメ加工した

ヒザ関節
▲ヒザ関節にディテールを追加
足首の接続をボールジョイントに変更
▲足首の接続をボールジョイントに変更することで、接地しやすさが大幅にアップした
フロントアーマーの一部がピョコッと飛び出た部分を再現
サイドスカートは全体的に凹凸を深く

▲イラストで描かれていた、フロントアーマーの一部がピョコッと飛び出た部分を再現。サイドスカートは全体的に凹凸を深くし、両脇の凸ディテールを追加。中央部にも形状変更を加えた

リアスカートからウェポンラックが展開するギミックを追加
ロング・レンジ・ライフルを接続可能

▲リアスカートからウェポンラックが展開するギミックを追加。ネオジム磁石でロング・レンジ・ライフルを接続可能だ

シールドは先端を延長
▲シールドは先端を延長しつつ、先がハの字に広がるように形状変更。それに伴って青部分も若干延長した。また腕との接続パーツは1〜2mm程度薄くしグリップを短く加工し、腕への密着度を向上
ロング・レンジ・ライフルは一部後ハメ加工
▲ロング・レンジ・ライフルは一部後ハメ加工。さらに前述のウェポンラックに接続するためのネオジム磁石が仕込まれている
武装一覧
▲武装一覧。武器の持ち手はキットに付属するものだと銃をグーで握るような形になっているため、ビルダーズパーツHDに変更。左ハンドもビルダーズパーツHDを加工して人差し指を少し浮かした形にしている
GP04ガーベラ 後ろ

■はじめに
 以前、明貴美加氏が描き下ろしたスペシャルピンナップを目にした私はその姿に心踊らされたものです。本キットの出来映えが素晴らしいので、今回の方向性としては「このピンナップの完全再現を目指した作例を届けよう!」と心に決め製作にあたりました。

■胴体部
 頭部は特に出来が良く、基本的に各部を深く彫り込むだけでグッと見映えが良くなります。今回はアンテナを長くするべく伸ばしランナーに変更したのみ。胴体に関しては当時明貴氏の「可動を少し犠牲にしても少しボリュームアップしたい」との要望があったとのことでしたので、元々の肩幅めいっぱいに中央部を2mm幅増しし側面をエポパテにて整形。これに伴い、コクピットや腹部下側のパーツも幅増しし太くたくましいお腹周りになりました。また接続方法をボールジョイントに変更することでデザイン画の如く若干横に曲がるように変更。腰部については、後部にウェポンラックが設定されてるとのことでしたのでこれを再現しました。

■腕部
 肩に付く細かいバーニア等はいったんくりぬいてコトブキヤのディテールアップパーツに変更。脇の接続は樹脂製のボールジョイントに変更し可動域を拡大。加えてシールドのジョイント取り付け部は腕に大穴が開きっぱなしにならないよう、穴隠し用のパーツを用意し見映えを良くしました。

■脚部
 キットのままだとスネのセンサーが真横を向いた感じに仕上がるので、イラストを参考にいったんくりぬきH・アイズを加工し正面を向く位置に取り付け。ヒザ周りもイラストと見比べると微妙にディテールや凹凸が違っていますのでプラ板加工にて追加したり、側面は抜きの関係から浅くなってる部分をいったん開口しプラ板にて作り直したりしています。ヒザ関節はキットのままだと真っ平で寂しい感じが否めず、個人的に特に手を入れたいと思っていた箇所でしたので、イラストを参考に加工しました。足首は回転機構を追加すべくボールジョイントでの接続方法に変更しました。

■バックパック
 大きく手を入れた箇所は無く、スリットを開口し立体的にしたりビーム・サーベルラックのセンサー部の抜きを埋めてH・アイズを加工したセンサーを取り付けた程度です。バックパック中央には、GP01を参考に後方監視用のセンサーを追加しています。

■武器類
 基本的にキットのままですが、ロング・レンジ・ライフルは腰のマウントラッチに取り付けるためのネオジム磁石を丸いモールドのひとつにこっそり収めています(笑)。シールドはイラストと見比べながら先端を5mm程度延長しつつ先端に向かって少し開き気味になるようプラ板にて追加工作。これに伴い青いパーツの先端も延長しました。

■塗装
 本体の青は、組立説明書記載の色味に合わせると若干紫がかった青となりますが、今回これもイラストに沿って青味の強い色合いとしました。また基本の白も同様に、青味がかった白では無く、若干グレーがかった深みのある白で仕上げました。
本体等ホワイト=ホワイト(100%)
本体等ブルー=ガイアカラーブルー21+(ホワイト+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ+バイオレット各少量)
本体等レッド=RLM23レッド#114(100%)
本体等イエロー=RML04イエロー#113(100%)
関節等グレー部=MSファントムグレー+(グレーSF36118#305+シアン各少量)
武器等グレー部=軍艦色2#32(100%)

■最後に
 ブースターの縦割り処理と細かな塗り分けには苦労しましたが(笑)、久々のガンダムで手応え充分でした!

RX-78 GP04G ガンダム試作4号機

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “REBORN-ONE HUNDRED”

RX-78 GP04G ガンダム試作4号機

製作・文/野田啓之

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ⓒ創通・サンライズ

野田啓之(ノダヒロユキ)

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