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ノモ研 「レジンキットの製作(後編)」【野本憲一モデリング研究所】

2022.01.03

野本憲一モデリング研究所 月刊ホビージャパン2022年2月号(12月25日発売)

ノモ研 「レジンキットの製作(後編)」【野本憲一モデリング研究所】
ノモ研扉絵

 前回はレジンキットの基礎工程となるパーツの洗浄、整形や軸打ちを行った。今回はその仕上げとしてカラーレジンを活かした“簡単仕上げ”と“全面塗装”での塗り替え。2パターンでのポイントを紹介。さらに単色のフィギュア系レジンキットを使い、前回よりもちょっと手の掛かるケースでの整形や、表面処理の工程を補足する。

製作・解説/野本憲一

ノモ研 「レジンキットの製作(前編)」【野本憲一モデリング研究所】

前編もチェック!


カラーレジン+部分塗装

カラーレジンキットならではの簡単仕上げ。筆塗りで細部の塗り分けを行い、立体感を強調するスミ入れを行う。

題材キット
▲題材のキットはボークス製カラーレジンキット「1/35 熱砂の皇帝(トロピカル サルタン)」。パーツは3色のレジンで成型され、写真は無塗装で組んだもの
ラッカー系と水性アクリル食い付き比較
▲レジンへの塗料の食い付きをラッカー系(Mr.カラー)と水性アクリル(水性ホビーカラー)で試したもの。板の上端側はテープを強く貼って剥がしのテスト、下側は塗膜を調色棒で擦ってみている。ラッカー系では剥がれが起きたが、水性はよく食い付いている (Mr.カラー) (水性ホビーカラー)
パーツ裏で食い付き確認
▲水性アクリルはレジンへ直接でも食い付きがいいので、手軽に塗り分けるのに使いやすい。念のためランナーやパーツ裏面でも試し塗りをし、食い付き具合を確認している
水性アクリルで筆塗り
▲充分確認してから、パーツ表面を筆塗りで塗装。水性アクリルは伸びもよく、その意味でも筆塗りに適している。アンテナ部の明るいグレーも同様に筆塗りしている
レンズ部
▲レンズ部は奥まっていて擦れや剥がれの心配もないことから塗料の塗り重ねの相性を優先して、下地シルバーをラッカー系で、上に水性のクリアーカラーを重ねている。周囲は成型色なので、ハミ出したら擦り取ればよい
タミヤのスミ入れ塗料、GSIクレオスのMr.ウェザリングカラー
▲パネルラインなどモールドを強調するためにスミ入れ。これにはタミヤのスミ入れ塗料やGSIクレオスのMr.ウェザリングカラーが便利。レジン表面での拭き取りでは、染みたように薄く残ることもあるので、そこは注意が必要(Mr.ウェザリングカラー)
Mr.ウェザリングカラーを使用
▲この例では汚し表現も兼ねて、Mr.ウェザリングカラーを使用。凹みモールドに流したあと、専用溶剤をつけた綿棒などでハミ出しを拭き取る
メラミンスポンジで撫でたり擦る
▲拭き取った際のスジ状の跡や、薄く残った跡が気になる場合にはメラミンスポンジで撫でたり擦ることで、表現をぼかしたり地肌感を取り戻せたりもする
簡単仕上げ1/35 熱砂の皇帝(トロピカル サルタン)
▲細部の塗り分けとスミ入れ、さらに拭き残しでの汚しを加えた簡単仕上げ。少ない用品、工程でもカラー成型と相まって本格塗装に近い印象となっている

下地を整え、全塗装

塗装の食い付きを高める処置をしてから、塗装を行う。

ガイアノーツのガイアマルチプライマー、フィニッシャーズのマルチプライマー
▲塗料の定着性を上げるためパーツ面に先に塗っておく「プライマー」。左からガイアノーツのガイアマルチプライマー、フィニッシャーズのマルチプライマー。プライマーは薄く塗布するもので、傷埋めにはならない。成型色を活かして重ね塗りする「サフレス」仕上げでも使われる
Mr.プライマー・サーフェイサー、タミヤスーパーサーフェイサー、造形村GKサーフェイサー
▲目止めと塗料の食い付きを助ける効果を兼ねるのが「プラサフ」ことプライマー兼サーフェイサー。左のMr.プライマー・サーフェイサー、タミヤスーパーサーフェイサーはプラ素材にも使えるタイプ。右の造形村GKサーフェイサーはレジンや金属パーツ向け。レジンパーツの表面処理と一連で塗装の下地を構築するにはこちらを選ぶ(Mr.プライマーサーフェイサー1000 スプレー) (スーパーサーフェイサーL) (造形村 GKサーフェイサー・グレー)
グレーのプラサフをパーツ表面に塗布
▲今回の例はラッカー系での塗装に備えるのと、パーツの整形状態の確認のため、グレーのプラサフをパーツ表面に塗布。繊細なモールドを埋めないようにしたいので、ビン入りタイプをエアブラシで吹いている。ミストでザラつかせないようにも注意する
パーツ表面の状態が確認しやすい
▲グレー一色になるとパーツ表面の状態が確認しやすい。すでに整えたつもりが、囲みのようにパーティングラインの凹みが残っていた。こうした見落としを防ぎ、さらに整える
ヤスリで撫でるよう削る
▲その箇所をヤスリで撫でるよう削るとサフ色の残り具合で凹みの状態がより分かる。浅ければそのままサフ色がなくなるまで周辺とならし、深めならサフの塗り足しやパテなどで埋めて整形する。パーツ色が出た範囲は再びサフを吹いて色や質感を揃える
各パーツにプラサフを塗布
▲こうして各パーツにプラサフを塗布し、塗装の下準備を終えたパーツ。ここから先の塗装についてはプラキットの場合と同様に行う。今回はラッカー系塗料で機体色をグレーに塗り替えた
レジンパーツをマスキングして塗り分ける場合の注意
▲レジンパーツをマスキングして塗り分ける場合の注意。パーツ表面でマスキング材を切り分けると下の塗膜まで切り込みが入り、マスクを剥がす際にサフ層ごと剥がれてしまう危険がある
パーツ表面で切らない方法が望ましい
▲そのため、マスクは細かく切ったものを沿わせるなど、パーツ表面で切らない方法が望ましい。手間は掛かるが危険は少ない。やむなくパーツ面で切る場合はマスク材の粘着力を弱めるなど充分に配慮しよう
塗装後の接着
▲塗装後の接着。強固に固定するには塗膜を剥がし、素材面同士を接着するのがいい。塗膜同士を貼り合わせると接着が弱かったり、塗膜ごと剥がれることもある
エポキシ系接着剤を使っている
▲接着剤がハミ出しやすい小パーツの接着や、塗装表面では、拭き取りができる接着剤を使うのがいい。例はエポキシ系接着剤を使っていて、比較的短時間で固定できる
1/35 熱砂の皇帝(トロピカル サルタン)
▲全塗装を施し、グレー系へと塗り替えた仕上がり。レジンへの塗装では定着を助ける下準備、剥がれる危険を回避するのがポイントになる。この塗装色は機体デザインの由来となった“グレイドッグ”をイメージしたもので、頭部も旋回するように加工し、元イラストのポーズに近づけている

単色フィギュアキットの組み立て

メカものとは違うフィギュアでの例として、そしてユーザーがそれなりに仕上げ直す必要がある場合の対処法。

じゃふ子ちゃんIII デフォルメタイプ
▲題材は「じゃふ子ちゃんIII デフォルメタイプ」。単色で、パーツ点数9コと手頃な構成。1994年製と古いものだが、パーツの劣化などはなく組み上げることができた。パーツ洗浄や湯口のカットはすでに済ませ、仮組みしたのが右の状態
前髪のパーツ
▲前髪のパーツには細かな気泡が見られた。これは流れが生じる気泡とは違い、レジンの発泡によるもの。こうした気泡もキットによっては見られるもので、これを整えるというのはひとつの課題
上半身と右前腕パーツ
▲上半身と右前腕パーツ。腕側の丸い接着面にはダボがなく、反対側には型が喰わたれ突起がある。整形や軸打ちを行うのはもちろん、腕の向きを全体のポーズから見定める必要がある

軸打ちと位置決め

パーツの接合を助ける軸を通したり、位置を固定するダボの追加。

右腕の軸打ち作業
▲右腕の軸打ち作業。瞬間接着剤などで仮止めした状態で、接続部の周囲4ヵ所に縦線を引くように記しをつける
印を十字に結んだ位置に穴開けをする
▲腕の仮止めを剥がし、両方の面で、印を十字に結んだ位置に穴開けをする。これで軸位置が合うはず。ずれた場合は片方の穴を広げて調整する(詳しくは前回を参照)
位置を定められるようなダボを追加
▲前髪のパーツはおでこに重ねるように貼るもので、凹凸がなく位置決めが微妙だった。そこで位置を定められるようなダボを追加にしてみる
おでこ側の隠れる箇所に円い凹み
▲おでこ側の隠れる箇所に円い凹み(モーターツールと球形ビットを使用)をふたつ付けた。そこに盛るパテを剥がせるよう離型剤(メンタムで代用)を塗っている
ポリパテを盛ってから前髪パーツを重ね位置決め
▲凹みの周辺にポリパテを盛ってから前髪パーツを重ね、位置決めして硬化を待つ。その後に剥がすことでピタリと合ったダボを前髪パーツの裏に構築。これはパーツ同士を隙間なく合わせる場合にも使われる方法
完成後の展示ベースとの軸打ちも
▲倒れやすい作品では、完成後の展示ベースとの軸打ちも前もって済ませておきたい。ベース上で配置を定めたら裏面から貫通することで、ずれのない穴開けができる

ズレない穴開け

ズレない穴開け図解

軸打ちの穴開けでは、片側を貫通させてから合わせた状態でドリルすることで、ズレのない穴開けができる。ベースとの穴開けのように片側が板状だと行いやすい

起伏面での整形

通常のヤスリやナイフなどを当てづらい箇所では、そこに適した道具で対処する。

髪の抑揚を横切るようにパーティングラインが通っている箇所
▲髪の抑揚を横切るようにパーティングラインが通っている箇所。周辺の形状を損なわず、なだらかに繋げたいところ。膨らみの面を平らにしてしまわないように注意する
凹みの整形は曲がった形状のダイヤモンドヤスリが便利
▲凹みの整形は曲がった形状のダイヤモンドヤスリが便利。砥粒で削るので動かす方向が限定されない。さまざまな形状があるので、整形部分に合うものを見つけやすい(ダイヤモンドヤスリ)
小さな曲線刃のメスも削ぎ取り、カンナ削りに便利
▲小さな曲線刃のメスもこんな箇所の削ぎ取り、カンナ削りに便利。これは筆者が使っている医療用だが、同種の製品は「精密ナイフ」として模型工作用にも販売されている

ミゾの彫り足し

ミゾの彫り足し

パーティングラインと交差するミゾは多少なりとも埋まり気味になってしまう。そこも彫り足してミゾがスムーズになるよう整える。この例は小型の彫刻刀を使っている

微細な気泡埋めと整形

大きめの気泡埋めは前回紹介したので、ここでは小さく、数の多い気泡の場合の対処。

気泡の状態図解
▲パーツ断面と気泡の状態。表面に見える気泡はAの状態が多く、内部が広くなっているので確実に埋めるには開口部を広げるなどしたほうがいい。Bのように薄皮で埋まっているものは見た目にも分かる場合がある。仕上げのペーパー掛けで露わになる前に少しほじって埋めてやると確実。表面に影響のないCの状態は問題なし
周辺の面を堅めのブラシで叩いている
▲細かな気泡をよりハッキリさせるため、周辺の面を堅めのブラシで叩いている。これでAの開口部を広げたり、Bの薄皮を開口してしまおうというわけだ
開口部をナイフなどでほじって広げ
▲深そうな気泡は開口部をナイフなどでほじって広げ、パテが入り込みやすくしている。細かいところが気になるとキリがなかったりもする
光硬化パテを使用
▲ここでのパテ埋めは、細かな穴にすり込むように扱え、余分を拭き取れるようなパテが適している。ということで、この例では光硬化パテを使用。他には粘度を下げたポリパテなど、硬化後に堅すぎないものが整形しやすい
パテ埋めした箇所の整形後
▲パテ埋めした箇所の整形後。パーツ本来の抑揚を崩さないように整えるのは先のパーティングラインの場合と同様。凹み部分は紙ヤスリを折ったものやスポンジヤスリで仕上げている
仕上がりの確認と下地塗装を兼ねたサフ吹き
▲仕上がりの確認と下地塗装を兼ねたサフ吹き。レジンに食い付きがいいGKサーフェイサーを使っている。これで粗が見つからなければ表面処理は完了だが、気泡が多めだとそううまくはいかない
サフ吹き後に別の気泡が見つけるのもありがち
▲このようにサフ吹き後に別の気泡が見つけるのもありがち。小さな場合は溶きパテを部分的に塗って埋め、再びペーパーがけで整える
整形しづらい気泡埋め
▲ちょっと整形しづらい気泡埋め。細かなシワ状のモールド面に細かな気泡がある状態で、この整形には溶きパテのほうが削りやすいと判断して、サフ吹き後にパテを塗っている。直接レジンに塗るよりもサフ面のほうが溶きパテも食い付きやすい
サフ色が残るところを削るようにしていく
▲こうした面のヤスリ掛けでは大まかな表面に沿って整形しがち。それを避けるにはサフ色が残るところを削るようにしていく。これで本来のパーツの面に沿うよう整えられた。最初のサフは消えてしまっても吹いた意味はある

モールドフチの整形

モールドフチの整形

モールドにメリハリを付ける整形は組み立てるうえで必須ではないけれど、効果的な作業。モールドの隅やフチをシャープに彫ることで、サフ吹きによってモールドが甘めになるのを抑えたり、塗り分けをクッキリさせやすくもなる

修正が済んだ状態
▲気泡の埋めの整形や、細部の修正が済んだ状態。レジンの地肌が見えているところは再び仕上げと確認のためにサフ吹きを行う
あらためてサフ吹きした各パーツ
▲あらためてサフ吹きした各パーツ。各軸打ちの様子も分かる状態。サフ吹きを繰り返すと塗膜がザラ付いたり“ゆず肌”になってしまうことがある。その際はサフ面をスポンジヤスリなどで磨き、塗膜を滑らかにする
表面処理が完了した組み上げ状態
▲表面処理が完了した組み上げ状態。仕上げの苦労もあるが、レジンキットならではの造形の魅力もある。好みのアイテムがあればチャレンジしてみよう!
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©サンライズ 協力:伸童舎

野本憲一(ノモトケンイチ)

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