【ファイブスター物語 作例】オージェ・アルスキュル【桜井信之】
令和に蘇るアトロポスの勇姿
2021.12.30
塗装と艶で魅せる美しきモーターヘッド(MH)
早くも1次発売が完売となり2次生産分の予約がスタートしたIMS「オージェ・アルスキュル」。年末年始は再販品も含めて『ファイブスター物語』(F.S.S.)キット製作で楽しむという方も多いことだろう。もちろん今後手に入れる予定だという方も含めたすべての『F.S.S.』ファンへ! 今回の作例は月刊ホビージャパンでもさまざまな製作技法を伝えてきた桜井信之が担当。作例ではクリアー層を研ぎだし、薄いクリアー層を幾重にも重ねることで陶器のような質感を表現。製作技法の伝道師、その技量をご堪能あれ。
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「アパッチ」との熾烈な戦闘の最中「アクティブ・バインダー」を脱ぎ捨て両者の死闘は激しさを増す
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月刊ホビージャパンでは初めてF.S.S.・IMSシリーズの作例を担当させていただきます。まさか 月刊ホビージャパン から作例依頼がくるとはこの上なき光栄です。さて、テストショットが送られてきたので、早速パチパチと仮組みしていきます。まず気付いたのが基本設計の目新しさです。従来のIMS・MHの場合、ボディ(胸部)に肩部・上腕と前腕を組み合わせる設計ですが、本キットの場合、肩から胸部・腹部までが一体化した基本パーツに、各種ディテールを組み合わせていく新たな設計。これだけ大きく重い「アクティブ・バインダー」を保持させるための対策だということがすぐ理解できます。これは90年代、「オージェ・アルスキュル」デザインが発表された直後から何度もレジンキットとして立体化し、蓄積されたノウハウから考え出された物でしょう。僕自身、同社の「オージェ・アルスキュル」は「SUPER SPIRITS SERIES」、「Mechanical Moving Series」、「HIGH-SPEC GARAGE KIT」と3種類の1/100キットを組んでおり、この巨大な「アクティブ・バインダー」の保持が最大の注意点だったのですが、仮組みしての第一印象は『オージェキット史上、NO.1の安定感』だと確信いたしました。とはいえ上腕の可動域も充分なので、ポージングには何の問題もありません。加えて3枚のバインダーは1パーツで成型されている点も大正解でしょう。「HIGH-SPEC GARAGE KIT」から採用されたこの方式は、それぞれのバインダー角度が揃わず、あの美しいラインが乱れるという絶対に避けたい現象を、いとも簡単で大胆に解決した発明品とも言える設計です。未体験の人には『何で一体なんだ?』と思われるかもしれませんが、実際に組んでみると大正解なことが伝わると思います。なぜならバインダーパーツをきれいに一体化させるより、表情を付けるために分割する方が簡単だからです。正直、塗装を始めるまでの工作工程はこれまでのIMSのどのキットよりも早く組み上がりました。これも重要な点で、組み立てに労力がかかり過ぎると、塗装工程でもモチベーションが保てません。精神的に“ほぼ無傷”で塗装工程に移行出来るということは、余った体力と精神力のすべて“輝かせるための作業”に投入出来るのです。というわけで基本塗装終了クリアーを3回コートし中砥ぎ、その後薄めに溶いたクリアーを1日の朝と晩に2コート。これを4日間繰り返し最後に7000・9800番のコンパウンドで2段階磨いています。塗装はオフィシャルの完成品との違いを出すため、暖色アイボリーではなく、あえてクールホワイトで塗装。『ミラージュマシンはやっぱりホワイトが似合うはず!』を信じて塗装しましたが、良い感じに纏まったと思います。
最後に今回、星団最強の伝説のカメラマンに撮影していただきました。憧れの方だったのでまたひとつ夢が叶いました。生きていると良いことってあるもんだね(笑)。では。
ボークス 1/100スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”
オージェ・アルスキュル
製作・文/桜井信之
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桜井信之(サクライ ノブユキ)
最近はコロナ禍で友人と飲みに行けない。自粛を徹底してコロナ根絶を目指すプロモデラー。YouTube「吉本プラモデル部チャンネル」でも活躍中。