【コモリプロジェクト】進化と深化は止まらない。『ウルトラモデリングワールド』続報
2021.12.21 2017年にホビージャパンから出版した「ウルトラモデリングワールド」。怪獣ガレージキットと実景を組み合わせた豪華な写真集は、多くの皆さんに驚きと共感を以て迎えていただきました。地下深く、マグマライザーが出くわしたのは地底怪獣パゴス。冷凍怪獣ペギラと対峙するウルトラマンの勇姿。怪獣酋長ジェロニモンが復活させたのはレッドキングとゴモラ。オールドファンはそこに、番組の枠を超えて展開する小松崎茂や南村喬之、梶田達二の筆による大スペクタクルを見出し、ニュージェネレーションは昭和の空気感と現代の技術で展開する破天荒なエネルギーを感じたと言います。いただいたひとつひとつの感想は今も色褪せることなく創作の大切な糧となっています。
昨今、合成で愉しむ特撮世界はSNSの一端に定着し、ますます勢いを加速して広がり続けていると感じます。また、世界を席巻しているNFTアートの出現により、自由な空想世界は新たな付加価値となってその翼を大きく広げています。実際、僕の元にも連日のように海外から合成画像を求める声が届いています。
「言葉や文化は違えど、カッコいいものはカッコイイ」
だってタッコングやワイアール星人のことなんかおそらく知らないであろう海外の方が、合成作品を見て「アメージング!」って言ってくるんですよ。怪獣の魅力に壁は無し。
これってほんとに面白いし素晴らしいことだと思います。
さて、モデリング部です。もちろん我々も止まってはいません。進化と深化を続けながら、さらなるステージの実現に向けてひた走っています。合成師の山口さんはますます腕を磨いています。存分に持ち味を生かし、ユニークで独創的な作品を次々に生み出しています。対象となる怪獣もいつしかウルトラの枠に拘らなくなりました。『ゴジラ』シリーズや『ガメラ』シリーズ、『キャプテンウルトラ』から『スペクトルマン』、ついには横山先生の『マシーネン』まで! 実に多種多様な作品にスポットを当てています。使用する素材もガレージキットのみならず、ソフビからプラモデル、市販のトイまでどんなものでもオッケーです。以前とは格段に世界が広がりました。その一端は僕のインスタでも紹介していますので時間がある時にぜひ覗いてみてください。
さぁ、次に出す本はタイトルからウルトラが外れることでしょう。その代わりに真の意味での「モデリングワールド」が展開すると思います。
文/小森陽一
構成・写真/土井眞一
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967 年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。