【キットレビュー】ドイツ軍 I号戦車 A型&B型【青木周太朗】
2021.11.06後に戦車王国となるドイツ軍の礎を築いたI号戦車。スペイン内戦で初陣を飾り、第二次世界大戦開戦初期まで使用された、このドイツ戦車の原点をタコムの1/35スケールキットでご覧いただこう。キットはA型と出力不足を解消するためにエンジンを換装したB型のお得な2両セットということで、今回は青木周太郎が両タイプを一挙に製作。両車両の違いも見比べながらお楽しみいただきたい。
Pz.Kpfw.I Ausf.A
I号戦車A型はクルップ社が開発した試作車両、L.A.K.A.Iを原型とした、重量約5.5トン、全長約4mの軽戦車である。第一次世界大戦後のドイツが初めて量産した戦車で、1936年のスペイン内戦で実戦投入され、最終的に818両が生産された。
Pz.Kpfw.I Ausf.B
記念すべき第一次世界大戦後初の量産戦車となったI号戦車 A型であったが、早い段階でパワー不足が露呈。これに対応するためクルップ社製の水平対向4気筒空冷ガソリンエンジンからマイバッハ社製の直列6気筒液冷ガソリンエンジンに換装されたものがB型である。
■製作
新作キットということもあり、パーツの合いも良く合理的に仕上がっています。10年近く前に、ドラゴンの新製品紹介で1号戦車B型を月刊ホビージャパンで製作させていただいて以来の新規の1号戦車の製作の作例で、工作に堪能したくて、ほぼ素組みです。
手を加えてみた箇所は、後部マットフラッペのバネを0.3mmの金属線を加工して付け直したり、ジャッキ、ワイヤーカッターを固定金具を0.3mmのプラ板と、モデルカステンのストッパー金具で、少し大きめに製作したり、特に作例で使用してみたかった、今流行りの3Dプリント製品の、MJ miniatuesのドイツクランプセットを使用し、キットのOVMの金具を削り取り、付け直してみました。このキットのOVMには少し大きかった気もしましたが、充分な効果を感じました。ただしゲートの部分から切り放す際に、精細なパーツと、樹脂の硬さもあり、かなり気を使います(筆者も数個失敗してしまいました)。しかしエッチングでの再現も、筆者の工作が下手なためか、少しばらつきがあり、気にはなっていましたので、こうしたパーツが提供してもらえるとすごく助かります。
それともうひとつ使用してみたかったおすすめパーツ、パッションモデルの「ドイツ軍2M起倒式アンテナセット」も使用しています。基部のパーツは、3プリントDパーツで、アンテナパーツは真鍮の加工品で構成されていています。実車の板バネ状の構造は、プラパーツの再現では限界を感じていたので本当にありがたいです。ただし、1号戦車ではアンテナ部分が長さが合わないために、せこい筆者は基部の3Dプリントパーツを使用して、アンテナはもったいないので、真鍮線をリューターで削り出して使用して取り付けてあります。
足周りの履帯は説明書を基本にして、A型は少し自重でたわんだ状態にしたくて、余った履帯パーツを足してあります。B型はなぜかまとまりが悪く、やむなく1コマ削り取って取り付けてあります。
■塗装
パッケージの色味がすごくカッコ良く見えて、これを参考にして塗装してみました。タミヤアクリル、フィールドブルー、クリアーグリーン、フラットブラック、フラットホワイトの混色でベース色として段階を追ってフラットホワイトの混色を明度に合わせて3種類用意して、グラデーションを考慮して塗装。迷彩のブラウンもアクリル、レッドブラウン、フラットイエロー、フラットレッドの混色を色の明度を変えて2種類用意、やはりグラデーションに合わせてエアブラシで吹き付けました。
■フィギュア
A型はホビーボス(旧トライスター)のものを少し改造して使用しました。B型はドラゴンのフィギュアをベースに下半身にエポパテを使用して少しボリュームを加え、ヘッドはジャンクボックスよりチョイスして使用してあります。記章等はタミヤデカールセットを使用しています。
タコム 1/35スケール プラスチックキット
I号戦車 A型&I号戦車 B型
製作・文/青木周太郎
I号戦車A型&B型 2キットセット
●発売元/タコム、販売元/ビーバーコーポレーション●6300円、発売中●1/35、約11.2cm(A型)、約12.5cm(B型)●プラキット
青木周太郎(アオキシュウタロウ)
恒例のディオラマは米軍中心になる予定で製作中。いつものように月刊ホビージャパン作例から使えるものが無くて、ほとんど新作の車両となるため、かなりへたっています。どうなることやら〜!!