【『境界戦機』特集】YM-02 ケンブ を光沢感が増強したカーモデル風に製作【TONKA】
2021.10.31工業デザインを強調したカーモデル塗装で仕上げる/YM-02 ケンブ カーモデルイメージVer.【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2021年12月号(10月25日発売)
工業デザインを強調したカーモデル塗装で仕上げる
『境界戦機』にてメカニックデザインに関わる奥山清行氏は自動車、鉄道車両をはじめ多岐にわたるデザインを手掛けてきた工業デザイナーである。ここでは氏の自動車のイメージから、光沢感を増強したカーモデル風として製作。ロボット系のキットの塗装ではマットな仕上げがメジャーな中、黒々しく鈍く光る重厚なケンブとなった。また細部には自動車を意識したカーボン素材風塗装を施すことで、黒の中にも変化を加えている。スポーツカーのように美しくまとまったケンブをご覧いただこう。
POINT-1 グロス塗装でツヤ感を増した黒の機体色
POINT-2 要所にカーボン繊維を模した塗装でスポーティなイメージに
KEN OKUYAMA DESIGNというとやはり“自動車”のイメージが強いのではないでしょうか。それを『境界戦機』の世界観に合わせたらどうなるのか…。主人公が密かに機体を製作するという「ものづくり」の楽しさが伝わるストーリーでもあったので、現実的にあってもおかしくないカラーバリエーションをイメージし、ピカピカの新車のような、カーモデルの技法を取り入れて試作機カラーとして製作しました。
ボディのツヤ感はもちろんのこと、工業製品に欠かせないであろうカーボン素材を塗装で再現。ストッキングの網目を利用した方法は昔からありますが、カラーレシピから、工法までTONKA流で行います。色の組み合わせや網目の選択次第でさまざまな表情をみせる自分だけのカーボン塗装を見つけるのも楽しいです。
またグロス仕上げは普段のツヤ消しより手順が多いため大変ですが、その分達成感はあります。ポイントは「とにかく厚く塗って乾かして削る」こと。経験を重ねることでクリアー層を削る繊細な感覚が身に付いてきます。クリアーを吹いた後に毎回表面を削り整えることで格段にキレイに仕上がります。
コンパウンド研磨の際はエッジに気を付けます。最後のクリアーの塗装面が平滑ならセラミックコンパウンドのみを使い、異物が入ったり面に違和感を感じた場合には4000番〜10000番の神ヤス!で研磨後、コンパウンドで仕上げます。この時エッジ部分を磨き過ぎないように面の中心を磨くつもりでエッジは避けて、なるべく工程数は少なく行います。
最後に指先の爪は短く整えておきましょう! 無用なトラブルを回避できます。
■塗装工程
下塗り(サフ)→上塗り→デカール→下地クリアー3回→仕上げクリアー→2週間の自然乾燥→コンパウンド研磨→ツヤ出しワックス
本体色=グラファイトブラック
フレーム=ジャーマングレー
武器=MSファントムグレー、メカサフヘヴィ
下地、仕上げクリアー=ハイグロスクリヤ
BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット“ハイグレード”メイレスケンブ 使用
YM-02 ケンブ カーモデルイメージVer.
製作・文/TONKA
©2021 SUNRISE BEYOND INC.
TONKA
ガンプラをはじめキャラクターモデルからカーモデルまで幅広く製作するマルチプレイヤー。猫好き。