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あの強力な塗料がリニューアルして新登場!「Vカラー」シリーズをピックアップ【月刊工具】

2021.11.10

月刊工具 模型の入り口はいつの時代も工具から。 月刊ホビージャパン2021年12月号(10月25日発売)

あの強力な塗料がリニューアルして新登場!「Vカラー」シリーズをピックアップ【月刊工具】

あの強力な塗料がリニューアルして新登場

 毎回工具&マテリアルをピックアップしてお届けする好評連載「月刊工具」。今回は「Vカラー」シリーズをピックアップ。ソフトビニール素材をはじめPVCやABSといった素材に適した塗料がリニューアルして新登場します。その性質を改めて検証、そしてこれから使用する人へ活用法をご紹介していきます。

070 Product_name V Color
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ

月刊工具 メイン画像

実際に使用している動画もチェック!

「Vカラー」ってなに?

 模型用(プラ用)塗料では塗ることのできない素材でも、しっかりと塗装できるのが「Vカラー」シリーズです。かつてガレージキットでソフトビニール製キットが多数発売されていたころ、この「Vカラー」はそれらのキットを塗る定番の塗料として長らく使用されてきました。そして今回ビンタイプに新色12色、缶スプレーに新色10色を加えそれぞれ計47色、計22色とパワーアップして登場します。

Vカラーの商品画像

Vカラー

●発売元/ナガシマ、販売元/ハピネット・ホビーマーケティング●発売中●各495円(23ml、ビンタイプ)、各935円(100ml、スプレータイプ

 Vカラー専用シンナーの商品画像

Vカラー専用シンナー

●発売元/ナガシマ、販売元/ハピネット・ホビーマーケティング●発売中●495円(100cc)、880円(200cc)、1430円(400cc

ピックアップ新アイテム

Vカラーのリターダーとグレーベーススプレーの画像
▲ 新アイテムの中にはリターダー(左)とサーフェイサースプレーとして使用できるグレーベース(右)がラインナップ(リターダー) (グレーベース)

「Vカラー」の基本性能を確認

筆塗り塗装

スカイブルーのVカラーを攪拌棒で塗料皿にのせている画像
▲ ビンタイプの方はトロっとした塗料が入っています。底に塗料の一部が沈殿しているので、攪拌棒を使ってしっかり混ぜ合わせましょう。筆塗りの場合はビンから出したそのままの濃度で使用できます
塗料を筆で塩ビ板にのばしている画像
▲ 筆で取って塩ビ板に塗ってみると、隠蔽力はほどほどで、薄く塗り拡げると表面がすぐに乾燥します。5分も待てば重ね塗りすることができます。塗った際に筆目が目立つときは溶剤でほんの少しだけうすめてあげると良いでしょう
リターダーを塗料皿に加えている画像
▲ また今回新たにVカラー用のリターダーが加わっています。リターダーは乾燥を遅くし表面がより平滑になるようにする液体で、数滴足すだけで効果を得られます。溶剤と合わせて濃度の調節をしましょう。特にVカラーは乾燥が早いため筆塗り作業では重宝します
スカイブルーを塗った塩ビ板を曲げて持っている画像
▲しっかりと乾燥させるにはおおよそ1時間ほど。表面の乾燥はとても早いのですが、厚く塗った場合は中身が乾燥していないこともあるので、慌てずにしっかりと待ちましょう。乾燥しきると筆目も目立ちづらくなります。乾燥後は塗膜自体が柔軟性をもち、他の塗料では剥がれてしまうような曲げにも対応します。塗装した塩ビ板をぐいっと曲げてみてもなんてことはありません
シンナーで筆を洗浄している画像
▲使用した筆はVカラー専用のシンナーで洗浄しましょう。溶剤はかなり強いので作業時は換気を忘れずに

エアブラシ・缶スプレー塗装

塗料を希釈している様子の画像
▲エアブラシ塗装ではビンそのままだと濃いので、希釈する必要があります。塗料と溶剤の割合は1:1では少し濃いようで、溶剤が少し多い1.2ぐらいがちょうどよさそうです。光沢の場合はさらにリターダーも数滴加えるとよいでしょう
エアブラシでふきつけている画像
▲希釈できたら通常の塗料同様に吹き付けるだけです。今回は0.5㎜ノズルのエアブラシを使い圧力0.1MPaで塗装。塗面の粒子がもし目立つようなら希釈しなおすと良いでしょう。こちらも乾燥がとても早いので、5分ほどで触れるぐらいになります
缶スプレーでふきつけている画像
▲缶スプレーはもっとも楽で、そのまま吹き付けることでしっかりとした塗膜を作ることができます。パーツから15cmほど離れた距離からシュッシュッとボタンを小刻みに押して、塗料が乗りすぎないように吹きます。吐出量が多く、飛沫も広く飛ぶため塗装ブース等での飛散防止、換気は必須になります


要チェック! 「Vカラー」塗料の性質と注意点

Vカラー参考画像

 Vカラーは乾燥すると写真(左)のようにビニール素材のような膜になります。この膜が溶剤で溶かされた表面に結合、生成されることで伸縮に強い塗膜を作ります。逆に溶けない素材だと写真(中央)のように乾燥後、塗料だけはがれてしまうことがあります。また、プラキットのプラ素材などは溶剤をつけると簡単に溶けてしまうため向いていない素材もあります(右)。あらかじめ対象の材質を調べておきましょう。
使用できる素材:ソフトビニール、PVC、ABS、ポリカーボネート、FRPなど
使用できない素材:PS(プラキットの主な素材)、PE(ポリキャップなどの軟質素材)、PP、ゴムなど

実践① ソフトビニール製アイテムを塗装

ティラノサウルスの画像
▲ 海洋堂のソフビトイボックス「ティラノサウルス(スモークグリーン)」(3630円、発売中)を使用。可動もあり、見て楽しい、触って楽しいソフビアイテムです。こちらをVカラーでリペイントしていきます
ティラノサウルスに缶スプレーでベース塗装している画像
▲ まずは缶スプレーの新色グレーベースを吹きます。ツヤ消しの中間色なグレーで下地塗装に最適なスプレーになっています。口と目はそのまま使うので、マスキングをしています
ティラノサウルスにエアブラシで影をつけている画像
▲ 暗めな青のモンスターブルーで影になる部分を塗っていきます。入り組んだところやシワの奥に届くまでしっかり吹きます(モンスターブルー)
ティラノサウルスにエアブラシでパープルを塗装している画像
▲ 10分ほど待ち次にパープルを塗ります。塗膜が乾燥すれば触っても問題ないので無理にクリップ等で支えず、足の部分をつかんで塗装しても大丈夫です
ティラノサウルスにエアブラシでグラデ―ション塗装している画像
▲ パープル→ブルー→スカイブルーとグラデーションをかけていきます。塗ってから次の色に取り替えている間に表面が乾いているので作業を止めることなくどんどん塗装していけます(ブルー) (スカイブルー)
塗装が完了したティラノサウルスの画像
▲ お腹にアイボリー、最後にブルーで模様を描いて完成です。既製品をリペイントするとガラッとイメージが変わりました。Vカラーは塗膜が強いので、ここからさらに模型用(プラ用)の塗料でスミ入れやウォッシングをしても良いかもしれません(アイボリー)

実践② PVC・ABSキットを塗装

デスクトップアーミーシルフィーⅡシリーズの画像
▲ 次にPVC、ABS素材のキットを塗装してみます。メガハウスのデスクトップアーミー「シルフィーⅡシリーズ」(2035円、発売中)を使用。素体部分がPVC、装備の部分がABSのキットになっています
塗料皿内のホワイトにブラッドレッドを加えている画像
塗料皿内のピンクにリターダーをスポイトで加えている画像

▲ホワイトとブライトレッドを調色して鮮やかなピンクを作ります。調色した色が乾燥してしまうと作りなおすのが難しいため、リターダーを多めに入れておきます。基本の塗装含め、リターダーは作業を快適にしてくれるアイテムです(ホワイト) (ブライトレッド)

フィギュアの白い部分をピンクをつけた筆で塗装している画像
白い部分の塗装を終えたフィギュアの画像

▲ 調色した塗料でキットの白い部分を塗装していきます。1度塗った後、重ね塗りで塗り残しや隠蔽しきれていない部分もしっかりと塗装します

シルバーをつけた筆で腕パーツに塗装している画像
▲ シルバー、ゴールドの金属色2色は隠蔽力が高く扱いやすい色です。乾燥が早いため最後にワンポイントきらっとさせたい部分に使用。粒子感があるので、塗料を多めに乗せてからまんべんなく広げるように塗ると平滑にしやすいです(シルバー) (ゴールド)
髪パーツにトップコートスプレーを吹きかけている画像
▲ 最後にツヤ消しクリアーのスプレーでトップコートしてツヤ感を整えます。もともと塗膜は強いですが、クリアー層を重ねることでキズがついてしまっても目立ちにくくなります(ツヤ消しクリアー)
塗装が完了したデスクトップアーミーシルフィーⅡシリーズの画像
▲ トップコート作業後は2~3時間ほどしっかり乾燥させて完成。髪の毛部分、ボディの白い部分、ワンポイント金属色と色替えをしてみました。可動フィギュア等はPVCやABSといった素材が多いため、そういったアイテムには適切な塗料といえるでしょう

そのほか模型の異素材部分にも活用!

 プラキット製品においても近年ではPVC製のパーツや特殊な表現のためにプラスチック以外の素材が使われることがあります。それらはもちろん、改造に使用する異素材のマテリアルなども鮮やかに塗装できるようになると製作の幅を広げることができます。

ブルー、レッド、グリーン、イエローのハンドパーツの画像
▲ 写真は「メガミデバイス」のハンドパーツ。近年種類の多い女の子プラモデルのハンドパーツはPVCでできています。これらは武器などを持たせたりすると擦れやすい部分でもあり、プライマー処理などを配慮しないといけないパーツです。しかしVカラーなら、1回で好きな色に塗装でき、擦れに強い塗膜を作ることができます
ロボットプラモのケーブル部分の画像
▲ ロボットのケーブル表現などで使用される電子製品のケーブル(写真はイヤホンケーブル)といったものにも色を付けることができます。蛍光色で塗ったケーブルは、エネルギーチューブのようなディテールアップパーツとして活躍します。細切りにして埋め込んでもよし、本体と武装をつなぐフレキシブルケーブルとしても使えるでしょう

まとめ

 使える素材も多く、とくに近年使われているPVCパーツのちょっとした塗装にも便利なアイテムです。PVC完成品の塗装もできますし、ソフトビニール製のキットを製作するときはメインの塗料になります。1本あるだけでもプラスチックとは異なる素材が出てきたときに何かと助かるでしょう。リターダーやサーフェイサーのように使える素材も増え、魅力が増したVカラー、ぜひ使ってみてください。

©KAIYODO ©MEGAHOUSE ©KOTOBUKIYA ©Masaki Apsy ©KOTOBUKIYA・RAMPAGE

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