HOME記事スケールモデルマルティニ ブラバム BT44B 1975 タミヤ伝統の「1/12 ビッグスケールシリーズ」【畠中浩】

マルティニ ブラバム BT44B 1975 タミヤ伝統の「1/12 ビッグスケールシリーズ」【畠中浩】

2021.10.19

マルティニ ブラバム BT44B1975【タミヤ 1/12】 月刊ホビージャパン2021年11月号(9月25日発売)

 タミヤ伝統の「1/12 ビッグスケールシリーズ」に、三角形の画期的なモノコック構造からなる、スマートなスタイリングが特徴のBT42の発展型「マルティニ ブラバム BT44B 1975」が待望の再リリース。実車の構造が忠実に再現された作りごたえたっぷりのこちらのキットを、月刊ホビージャパンモデラーとしてビッグスケールF1を多数手がける畠中浩の製作でご覧いただこう。

マルティニ ブラバム BT44B 1975
7号車と8号車のデカールが用意されている
▲キットは7号車と8号車のデカールが用意されているが、今回は畠中氏にとって思い出のドライバーであるF1ドライバーのカルロス・ロイテマンが2021年7月に亡くなったことから、彼がドライブした7号車を選択。さらに予選出場時の装備と思われる、フィンが追加されたノーズなど、その形状の違いも可能な限り再現している
マルティニ ブラバム BT44B 1975俯瞰
バイザースクリーン
裏面の角を大きく削っている

▲バイザースクリーンの収まりがしっくりこない原因が裏面の角にあったので、大きく削っている。この後、1000番まで磨いてスモーククリアーを吹き付けて仕上げた

石などの衝突を防ぐネット
▲リアのオイルクーラーの前面には石などの衝突を防ぐネットが装着されている。しっかりした資料がないので0.6mm真鍮線を曲げ、市販の網を貼り付けて製作した
翼端板前部をカット
▲モナコでは翼端板の長さが短いため前部をカット。メインプレーンの角度も変わっているので穴の位置を調整してある。当然ウイングステーの角度も変わるので調整が必要
サイドのフィン
▲サイドのフィンは0.5mmプラ板から現物合わせで切り出し、端の垂直部分は0.3mmプラ板で追加。グレーのパテが盛ってあるインテイク部の先端はプラ板で延長した跡
マルティニブラバム前
アルミ製のエアファンネルが付属
リアのビニールホースをハイキューパーツのメッシュワイヤーに
▲キットにはアルミ製のエアファンネルが付属。また、リアのビニールホースをハイキューパーツのメッシュワイヤーに交換したことで、質感も変化し、よりリアルな印象になった
コクピットのバスタブ
コクピットのバスタブ
▲コクピットのバスタブと外装の接着部は隙間が大きかったので裏からエポパテを盛り、バスタブを押し付けて整形。意外に目に付く部分なのでぜひ調整しておこう
▲テールライトは透明パーツではないので、シリコーンで型取り後、UVレジンを流して複製しクリアーレッドで着色したものに交換している
磁石を埋め込むとナットが固定されてホイールの取り外しが劇的に楽に
▲キット付属のボックスレンチを使用時に、ナットがよく外れてイライラしていた方に朗報。レンチの低面に磁石を埋め込むとナットが固定されてホイールの取り外しが劇的に楽になるぞ!
タミヤの1/12ブラバムBT44B

 タミヤの1/12ブラバムBT44Bが再販されましたので早速作っていきましょう!

■カウル
 三角形のサイドポンツーンが非常にカッコいいBT44Bですが元は40年以上前のキット。当然、今とは技術差があるので各パーツの合わせなどいろいろと苦しい部分があります。なので、出来ればすべてのパーツで仮組み、部品同士の合いの確認をして調整する必要がありますね。パーティングラインも大きくずれているところもあるので削って足りないところは迷わずパテで補充しましょう。で、今回、8号車で組むつもりだったのですが製作開始時にドライバーのひとりだったカルロス・ロイテマンが亡くなりました。自分がF1に興味を持ち始めた頃に活躍していて好きなドライバーのひとりだったので、自分が大好きなモナコGP仕様をベースに白いエキパイとスリックタイヤから予選仕様のようですがこの仕様を選択しました。主な変更点はノーズ左右のフィン追加、リアに消火器を追加したところでしょうか。実際はもっとあるでしょうが、手持ちの資料的にこれ以上の検証は無理でした。

■エンジン部
 細かい分割で素敵なフォードDFVが再現されています。実物を組んでいるような感覚を味わうためにエンジンブロックとギアボックスが分かれていたりするのですが、ここをきっちり組まないと後々タイヤがすべて接地しないなど要は全体がねじれてしまう問題が起こるので、場合によってはピンなどの位置を調整するなど、しっかりと仮組みをして水平などを確保しましょう。ビニールホースになっているリアのメッシュホースはハイキューパーツのメッシュワイヤーに交換。まず黒のワイヤーを長めに切り出しシルバーで塗装後、樹脂でできている芯だけを抜き取ります。次に長さ調整のためカットしますが先端がほどけやすいので端を少量の瞬着で固め、硬化後に真鍮線を差し込んでパーツに固定しました。接着剤で固めるのにちょっとコツと練習が必要ですが好きな色にもできるので今後はこればかり使いそうです。

■足周り
 サスアームは基本的にABSが使われているようですが、C型の差し込み部分は何度も付け外しするとさすがに折れてしまいます。作例でも製作中に何箇所か折れてしまって大変でしたが、よほどの組みミスをしていなければ大きく狂うことはなさそうなのでここは最後まで仮組みをしないほうがいいかもです。そういえばホイールを固定するために使う付属のボックスレンチ、ナットが落ちやすくてイライラしていたんですけど目の前に転がっていた厚さ1mmのネオジム磁石を中に接着したらめちゃくちゃ使えるようになりました。レンチからナットを外す時にいったんビスへ取り付けないといけませんがポロポロ落ちるストレスがなくなって良かったです。

■塗装
 白いカウル類はタミヤのサーフェイサーをベースに黒で少し濁した白を全体に吹いています。シルバー部分はGSIクレオスのMr.カラー8番にフラットベースとクリアーを混ぜた自作のアルミシルバー。ロールバーなどのメッキ部はお気に入りのGSIクレオスのメッキシルバーNEXTが手に入らなくなってしまったのでガイアカラーのプレミアムミラークロームを使用していますが、使い勝手もさほど変わらずいつも通り使うことができました。メタリックグレー系、チタン系などは仕事柄たくさん使うため、オリジナルで調合したものを複数用意してあるので、その都度使い分けています。ま、この辺は雰囲気重視で好きな色味で塗装するのがよいと思いますよ。カウルはデカール貼り付け後ウレタンクリアーで仕上げていますが、厚く塗装してしまうとフロントサスアーム付近のリベットが埋まってしまうので、そこだけは薄く塗装するなど対処が必要ですね。

マルティニ ブラバム BT44B 1975

タミヤ 1/12スケール プラスチックキット

マルティニ ブラバム BT44B 1975

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

マルティニ ブラバム BT44B 1975
●発売元/タミヤ●14080円、発売中●1/12、約35.5cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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