【H.M.S.】No one wants【大平裕太】
2021.09.06スクラッチビルド
No one wants
スタイリッシュなデザインのオリジナルクリーチャーや退廃的なSF世界を創造する原型師、大平天国こと大平裕太が製作したのは、ドラクロワの絵画「民衆を導く女神」を彼独自のSF的世界観によるディオラマとして再構築した「No one wants」。凝縮された空間に満たされた大平氏のメッセージを読者の皆さまにもぜひ受け取っていただきたい。
クリーチャー、SF、ミリタリー、廃墟等の自分の好きな要素を入れて1度やってみたかったディオラマ作品として仕上げました。テーマは正義と悪の表裏一体、体験者の退場から学ばず同じことを繰り返すべきではないという警告と、人間はそこまで愚かなはずはないという希望です。
旗を掲げているクリーチャーは認識のズレ、正しさの価値観が常に更新されて行く歴史の象徴です。それを見上げる女性は昔から変わらない人間の本質と、新しく命を生み出す存在、歴史から学ぼうとする希望の象徴と考えました。
正義と言いつつ限りなく悪に近い存在となり、醜い姿になっているのですが、本人や周りはその事に無自覚です。魂の歪みを観測出来るフィルターがもしあったら。正義の形はひどく酷いのかもしれません。
祖父は戦争体験を話してくれました。インターネットの発展で、集団心理の拡散や視覚化がますます容易になっていくこれからの時代、直接見聞きする機会は減少し、自分で感じたり判断する事がますます難しくなります。いつか人類が歴史から学び同じことを繰り返さず、ポストアポカリプスが来ないことを祈るばかりです。
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No one wants
製作・文/大平裕太
大平裕太(オオダイラユウタ)
1989年宮城県仙台市生まれ。造形大学彫刻卒。2020年からフリーランス原型師として活動。ワンダーフェスティバルにて大平天国名義で出店。
Twitter:@taihei3
ネットショップ( https://taihei3.thebase.in/ )