【カードゲーマーweb】ブシロード・木谷社長に独占インタビュー! 史上最大規模で開催された「カードゲーム祭2026」を振り返る
2026.06.192万人を超える来場者を記録したカードゲーム&アナログゲームの一大イベントを終えたブシロード社長を直撃!

5月3日、4日の2日間、東京ビッグサイト 西1・2・4ホール&アトリウムにて開催された「GENDA GiGO Entertainment presents カードゲーム祭2026」。ブシロードが展開しているカードゲーム12タイトルの対戦、体験イベントが合計8000席以上の大規模で実施されたほか、物販、展示、ライブステージなど多数のコンテンツが展開。さらに、19メーカーのアナログゲームブースも出展され、2日間合計で23,652名の総来場者数を記録するビッグイベントとなった。
そんなアナログゲームの祭典を終えたブシロード・木谷高明社長へ、後日インタビューを実施。イベントを振り返りつつ、「カードゲーム祭2027」の展望も語っていただいた。

───まずは6月6日に緑寿を迎えられたとのことで、おめでとうございます。Annivroad by Bushiroad Creative Storeでは生誕祭のポップアップショップと来店イベントも行なわれたとのことで、ユーザーの皆様の木谷社長への信頼を感じますね。
木谷高明社長(以下「木谷」):ありがとうございます。どうしてタレントでもないおっさんが誕生日イベントをしなければならないのか(笑)。最初は人生で一番憂鬱な誕生日になりそうだと思っていましたが、Xで「人助けだと思って来てください」とポストしたら結構なリポストをいただけましたので、皆様が面白がってくれたのならば何よりです。
───今回はゴールデンウィークに開催された「GENDA GiGO Entertainment presents カードゲーム祭2026」の反響をメインにお伺いしていきたいと思います。まずは恒例ですが、今回の100点満点評価をお願いします。
木谷:反省点もあるので難しいですね。「カードゲーム祭2025」の振り返りは一気に来場者が増えたことを評価して95点と高めにつけていましたが、前年よりはよくやったと思いますし、来場者も1割ちょっと増やせたので、96点かな。良いところは多かったのですが、ただ、来場者が多かった分、来場特典の交換にすごく時間がかかってしまったことや、ライブステージの音響など、反省点は多かったです。
───会場を取材していた印象でも、ライブイベントさながらの本格的なステージが楽しめた反面、ファイトイベントのアナウンスとの干渉は気になるところでした。
木谷:ライブステージが一部ファイトイベントの進行と被ってしまったこともあるのですが、何よりステージの向きが失敗でした。要はスピーカーの指向性の問題で、ファイトテーブル側にステージを向けていなければそこまでライブの音も聞こえてこないはずなんです。ファイトイベントに参加されていた方は大変だったと思いますので改善したいですね。あとは、今回からホール間をつなぐアトリウムもイベントで使用したのですが、もう少しうまく使いたかった。冠協賛のGiGOさんのブースで盛り上げてもらっていた部分もありますが、それ以外はどうしても列を並べるスペースになってしまう。それもそこまでぎっしり並んでいたわけでもなく、ちょっともったいなかったですね。
───来場者は昨年対比で1割程度の増加とのことですが、会場内はいたるところに待機列があったり、ファイトテーブルが常に埋まって賑わっていたりと、数字以上に盛り上がっている印象を受けました。
木谷: タイトルごとのイベントも増やしたので、観覧などで滞在時間が去年より長かったことも来場者が多く見えた要因かもしれません。
───低年齢層や女性の来場者も増えた印象ですが、実際はどうなのでしょう。
木谷: いや、そんなには増えてないですよ。家族連れとか、子供も昨年より体感として少し増えましたが、200人レベルの話です。それでも増えて見えるのは、カードゲームのイベントが普段から男性に偏りがちだからでしょうね(笑)。あとは今回、上位大会に進出する権利戦を実施したタイトルが少なかったので、カジュアルにプレイされている方が増えたのかもしれません。遊び方教室の参加者も増えたんじゃないかな。アナログゲームメーカー出展でも体験会、講習会を実施されていたブースが多かったですし、特定のタイトルに絞らなくてもカードゲームを1日中楽しめるイベントにはなっていたかと思います。
───こうした体験の変化にあわせて、今後の施策を変えていく予定はありますか?
木谷: 来年はもっとファイト中心のイベントとなる予定です。ブシロードが今までやってきた、サポートを終了したタイトルも含めた全タイトルの大会を開きたい。来年は3日開催なので、大会にも少し出やすくなるかなと。ただ『カードファイト!! ヴァンガード』(以下『ヴァンガード』)は15周年を迎えたこともあって物販で扱う商品数も多いですし、かなりのユーザーにお求めいただいてますので、初日はイベントを減らして物販に集中できるようにはしてあげたいですね。あとは、イベント外の話にはなりますが『ヴァンガード』は子供向けにもう一度本格的に開拓をしていきます。
───カードゲーム祭でも、中学生以下限定の「コロコロカップ in 大ヴァンガ祭2026」を実施されていましたよね。
木谷:そうですね。いずれは同様の形で「コロコロファイト」みたいなショップ大会を全国100店舗くらいでやりたいんです。子供が来やすいように「コロコロコミック」の後ろのページに開催店舗を全部載せて。実施店舗もビルの上層階ではなく、路面店を中心に選びたいですね。ただ、年齢制限は小学生・中学生にするか高校生までにするか、店舗に任せようかと思っています。
───若年層のユーザーが増えたら、カードゲーム業界としても嬉しいですよね。
木谷: 少子化で本当に子供がいなくなりましたからね。最近は子供向けにアプローチをしているカードゲームも少なくなりましたが、だからこそうちは売り上げに直結しなくても構わないので、しっかりアピールしていきたいですね。
───15周年を迎えたということで『ヴァンガード』はブースの規模も最大規模で実施されていました。木谷社長の手応えはいかがでしたか。
木谷: ファイトイベントはどれも盛り上がっていましたが、宮田俊哉さんをゲストに招いた「宮田俊哉カップ」は1000人くらいに参加いただいて、大盛況だったので印象に残っていますね。他にも15周年の大きなパネル展示や、『イナズマイレブン』のコラボ記念アトラクションなど、バラエティのあるコンテンツでお祭り感が出せたのはよかったです。たくさんのイラストレーター様にご協力いただいたサイン会も大変好評だったので、今後も力を入れたいですね。

今年は『ヴァンガード』15周年、『ヴァイスシュヴァルツ』18周年がテーマでしたが、来年はブシロード20周年なので『ヴァンガード』はもちろん、全タイトルを盛り上げていきたい。その20周年記念行事の一環として「カードゲーム祭2027」は3日間開催します。恒例の新春大発表会も「20周年記念新春大発表会」と銘打って盛りだくさんの内容でお届けしますので、楽しみにしていてください。
───他タイトルの盛り上がりでいうと、7月30日(木)にリリースを迎える『パルワールド オフィシャルカードゲーム』のブースも巨大バルーンの設置やショッパーの配布など、かなり目立っていた印象です。ブースで実施された先行体験会では木谷社長もプロデューサーとしてルール解説に参加されていましたが、実際にプレイされているユーザーを間近で見て手応えはいかがでしたか。

木谷: すごく良かったです。カジュアルに遊べる方向性のゲームなので、子供から大人まで、幅広い層に体験してもらえたのはありがたかったですね。受注も結構来ていまして、特に英語版は日本語版の10倍くらい受注が入っているので安心していたのですが、先行体験会を経て、国内でも今後アピールしていけば受け入れてもらえるだろうという手応えは感じられました。

逆に、先行体験会のキャパシティをもう少し増やせばよかったという反省はあるのですが、6月27日(土)に東京、28日(日)に大阪で実施する先行販売会では参加賞付きの講習会も開催予定ですので、そちらに参加いただければ。参加しなくても商品は購入できますから、講習会を見学して、興味を持ったら手にとってみるといったことも可能です。
───原作ゲームの『パルワールド』が7月10日(金)に正式リリースを迎えることも影響しそうです。
木谷: そうですね。『パルワールド』はアーリーアクセス版の現状で総プレイヤー数が3500万以上で、アーリーアクセス版を買っていたユーザーは無料で正式リリース版にアップデートできるのが大きい。それだけ注目が集まるだろうタイミングで『パルワールド オフィシャルカードゲーム』もスタートを切れますから、期待を持って送り出したいですね。もちろん、今後の商品展開も続々予定していまして、後日ロードマップを発表予定ですのでお楽しみに!
───次は、19メーカーが出展したアナログゲーム出展ブースについてお伺いします。こちらもブシロードタイトルのブースに負けない盛況ぶりとなっていました。木谷社長が注目したブースはありましたか。
木谷: 出展された全メーカーのブースに見どころがあったのは前提として、話題性のあるタイトルにも出展いただけたのはよかったですね。これまでは講習会や体験会がメインのブースが多かったのですが、今年はそれに加えて、カード自体の展示などにも力を入れ始めたメーカーが増えた印象です。「触って楽しい」に加えて「見て楽しい」良さが加わったと思いますね。近年はカードゲームのコレクターもより増えてきていますので、メーカーもそこを意識されたのでしょう。
───確かに、フォトスポットやバルーンで装飾されたブースもありましたし、カードゲームにまだあまり慣れ親しんでいないユーザーでも興味を引くようなブースが多かった印象です。バトルホビーやボードゲームといったカードゲーム以外の出展があるのもおもしろいですよね。
木谷: そうですね。出展社さん側から「こんなのを出してもいいですか」という問い合わせがあれば、基本的には全然いいですよと広く受けています。来年も3日間アナログゲーム出展ブースは開催予定なので盛り上がってくれると嬉しい反面、これ以上規模が大きくなると課題も出てきます。まず、3日間出展するのはメーカー的にも大変でしょうから、出展日を分けるというのはあり得る話ですが、調整も難しいですよね。例えば初日は来場者が多くて、3日目は少なくなる見込みが出るなら、3日目は閉じておいてもいいですよ、みたいなアナウンスはできるかもしれません。あとはブース内のイベント実施などには特に制限はありませんので、3日間の中で「この日だけブース内イベントをやります」といった方法で来場者の集中する日を定めてもらうのもアリですね。
もう1つの課題としては、メーカーの出展ブースの広がりはありがたい一方で、あまり大きくなりすぎて規模が逆転してしまうと、来場者の中に「ブシロードのTCGのイベントに来たのに……」という感情が生まれてしまうと思うんです。それで言えば、今年のようなブシロードタイトルを遊びに来た流れで、他のタイトルもカジュアルに体験してもらえるという流れは維持したいですね。
───来年は過去タイトルの大会も実施されるとのことなので、現行タイトル、アナログゲームメーカーのタイトルもあわせるとすごい規模になりそうです。
木谷: ブシロードタイトルだけで20タイトル近くになりますからね。講習会だけ参加しても、1日で4〜5個は回れるのではないでしょうか。日程も5月3・4・5日と良い時期を押さえられました。最終日がGWの最終日なので、帰れない人が出ないように少し考えますが(笑)。全タイトルの大会に続く仕掛けはこれから考えますが、ブシロードの20周年記念イベントの一環としてのカードゲーム祭になるので、過去最高の動員数を目指して、より多くのファンに遊んでもらえるイベントとなるよう準備してまいります!

───ここからは少しカードゲーム祭の話から離れますが、業界全体が盛り上がっている一方で、商品の買い占めや転売トラブルも取り沙汰されています。人気タイトルを作ることと、本当に欲しいユーザーに届かないリスクは表裏一体かと思いますが、木谷社長のご意見や、ブシロードとしての施策があればお聞かせください。
木谷:理想論で言えば、買いたい人がプレイできなくなるのは良くないです。ただ、ユーザーも「やりたいのに定価以上で買わなきゃいけない」と思う一方で、「値段が上がるから買う」「コレクションと資産価値を兼ねている」など、様々な事情をはらんでいるのが難しいですね。メーカー側も高額転売や定価以上で売られることは良しとしていない反面、そうして人気化したものがシェアを拡大していくのを見ると、同様の熱狂も必要だという気持ちも出てきます。あえて流通量を少なめにして付加価値をつけ、転売対象になった時点で数を出すといったテクニカルな手法をとるメーカーも出てきますね。いずれにしろ、複雑になりすぎたので新規参入は難しいマーケットになったと思います。
───ユーザーの心を掴むのが難しくなったということですね。
木谷: お店やユーザー、それぞれの事情が違いますからね。ブシロードもカードゲームの売り上げは上がっていますが、市場全体が伸びているのでシェアは下がってきています。現在、ブシロードの国内シェアは6%くらい、グローバルシェアは2.5%から3%くらいだと思います。これをグローバルで10%まで引き上げるのを目標としています。卸値ベースで世界で1兆円、セカンダリー市場(中古市場)も1兆円規模があります。セカンダリーは日本が一番盛んで、海外はオリパ(オリジナルパック)やシングル売りもそこまで多くないですが、全体で見れば出荷ベースで2兆円、マーケットベースで3兆円のすごい市場になりました。
───市場が大きくなって注目度が高まる以上、買い占めなどはどうしても発生してしまうと。
木谷: 今の時代の空気感だと思います。「稼ぐのが偉い」「お金を持っているのがステータス」という風潮が先行している世の中だからこそ、転売で稼いで何が悪いという発想になるのでしょう。ただ、それは努力して働くのではなく、何となくズルをしているような感覚があります。例えば、抽選で当たって転売するなら、最初は平等ですが、集団で並んで他の人が買えないようにして買い占めるのは平等ではありません。
───会社の施策としては「平等感」が大事になるということですね。ブシロードとしての施策はいかがでしょう。
木谷: ブシロードとしては、きちんと供給数を増やして、コレクション価値の高い商品もプレイしたい、コレクションしたいユーザーに届けていけるよう対応しています。供給を増やせばユーザーも安心できるかと思います。
───最後に、新日本プロレスの株式譲渡をされたとのことですが、プレスリリースの木谷社長のメッセージで「大政奉還」という言葉を使われていたのが印象的でした。改めてお気持ちをお伺いできますか。
木谷: 14年半、新日本プロレスを運営させていただき、多くのお客様に応援していただき、本当にありがとうございました。新日本プロレスがこれからさらに成長するための発展を見据えた譲渡ですので、今後もパートナーシップが失われたわけではありません。カードゲーム商品としても、2027年1月7日(木)には『ヴァイスシュヴァルツ』で「新日本プロレス×AEW:禁断の扉」を先行販売予定ですので、ぜひご購入いただければと思います。少年時代の憧れだった新日本プロレスのオーナーとして、無事に成長させ、次の強力な体制に引き継ぐことができて良かったです。
───ありがとうございました!


























