ブルーグレーの新迷彩で作る航空自衛隊戦術輸送機 C-130H HERCULES
2021.08.13西側ではもっともポピュラーな軍用輸送機で、航空自衛隊も1984年から導入している世界的な傑作輸送機C-130Hハーキュリーズ。このたび発売されたズベズダの1/72キットは、コクピットやカーゴルームまで再現された最新キットとしてのシャープな仕上がりはもとより、ワールドワイドな人気を反映して日本を含む5ヵ国分のマーキングを用意。航空自衛隊の最新輸送機C-2と同様のブルーグレー系の新たな迷彩の機体が作れるようになっているのはうれしい限り。空自バージョンへの小改造も行いつつ、迷彩4色の微妙な色調バランスにも留意しながらモデリングしてみたっ!
■キットについて
ズベズダの新製品、C-130Hハーキュリーズを作ります。1/72のC-130のキットといえば、かなり前にリリースされた古いイタレリのものくらいしか思い当たらず、表面が凸モールドだったり、細部の再現も不満の残るものでした。それゆえ新世代のキットが望まれていましたが、そこで新発売されたのが、このズベズダのキットです。
コクピットやカーゴルームが詳細に再現され、かつパーツの合いの素晴らしさ、機体表面のきれいな凹モールドなど、やはり最新のキットですね。ただ動翼は分割されておらず、動きを表現するには別パーツとなっているカーゴドア、および乗降ステップの開閉のみとなります。フラップダウンできるとなおよかったと思いますが、そのぶんパーツ数が抑えられ組み立てやすくなっているという良さもありますね。
マーキングは米軍、ポーランド、韓国、日本、英国と5種のバージョンが可能です。デカールだけでなく、それぞれのバージョンに適したパーツも用意されています。航空自衛隊の新迷彩にも適応していますので、それを製作していきます。
■胴体の製作
コクピットから作っていきます。1/72のキットとしてみれば充分な再現だと思います。計器パネルや操作盤などにもデカールが付属します。ただほとんど見えなくなりますがね。乗務員も付属します。今回カーゴドアを開けることとしましたのでパイロットを乗せました。
カーゴルームの内壁や床を塗装、組み立てていきます。床の塗装は結構面倒なので資料を見て塗り分けましたが、かなりフィクションが入っています。ここはデカールか塗り分け用のマスクシートが欲しいですね。カーゴルームの窓や扉、外装の部分もバージョン違いによる選択パーツが多いので注意します。不要パーツを最初から除外しておくのがよいですね。右側胴体コクピット斜め下の選択パネルは胴体に若干沈み込んでしまいますので、0.1~0.2mm程度のプラペーパーを挟むとよいでしょう。胴体内部パーツには一部カットが必要なものもあるので注意します。
胴体内部に取り付けるものをすべて組み込んだら、左右の胴体を接着します。パーツの精度がよいので合わせ目の処理は軽微です。またこのキットはオモリが必要になりますが、レドームが別パーツなので最後に調整が可能です。
■主尾翼の製作
次に翼関係およびエンジン部です。主翼は上下5パーツになりますが、感動的な精度なので何の問題もなく組み上がります。主翼に桁はないのですが、その代わりというか、各翼端の接着部分が翼断面の形状になっており、ゆがみもねじれもなくきっちり組み立てられ、強度も充分です。
エンジンナセル部もインテークや排気部にダクトや奥行きが表現されているので、そのまま組み立てれば充分です。エンジンナセルの翼への取り付けもまったく問題ありません。増槽を取り付ける場合は主翼下面に穴を開けるのを忘れずに。
水平尾翼も合いはバッチリなので、そのまま胴体に取り付けます。主翼と胴体の組み立てですが、合いが素晴らしいのであえて接着しなくても大丈夫です。完成後の保管を考えたら胴体と主翼を別々にできるというのはありがたいものです。ただ若干ゆるく感じることもあるので、翼でも胴体でもどこか一ヵ所に0.1~0.2mmのプラペーパーを付けておくとよりしっくりしてよいと思います。
機体最後部に取り付けるビーバーテールはバージョン違いで2種類付いていますが、航空自衛隊バージョンにするには少々問題で、取り付け指示のあるパーツを5~6mm詰める必要があります。当然真ん中で詰めて接着しても断面が合いませんので調整します。
後は、カーゴドアを開けるかを決めて組み立て、プロペラ、スピナー、脚部を別途組み立て、塗装を済ませておきます。必要な部分をマスキングして塗装に備えます。
■塗装
全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗りし、本塗装に備えます。以後はすべてGSIクレオスのMr.カラーです。
マーキングは塗装例4の航空自衛隊バージョンにしました。この新迷彩は色味が難しく、ネットで画像を見ても撮影された時の天候によりかなり違って見えます。C-2輸送機と同じ色のはずなので、それらを総合して色を決めました。4色のバランスを重視したのですが、下面色と上面色との明度差があまりなかったのが反省点です。実機はもっと明度差がありますね。実機に近い専用の塗料の発売が望まれます。
迷彩の4色はすべて調合しています。その割合は様子を見ながら行ったので、ベースの色に加えた色の分量は適当です。わずかということで勘弁してください。下面はC308+C374、上面は明るい色の順にC306+C72、C337+C374、C366+C374+C72+ほんのわずかCR1シアンとなります。
塗装後、タミヤのスミ入れ塗料ブラックでスミ入れし、デカールを貼ります。乾燥後3/4つや消しでオーバーコートします。後はプロペラ、脚、アンテナ類を取り付けて完成です。
■最後に
最近のズベズダのキットは本当に素晴らしいものばかりです。次に何をリリースしてくれるかも楽しみですが、このC-130もガンシップまでバリエーション展開していただけるとうれしいですね。
ズベズダ 1/72スケール プラスチックキット
C-130H ハーキュリーズ
製作・文/山田昌行
C-130H ハーキュリーズ
●発売元/ズベズダ、販売元/GSIクレオス●7150円、発売中●1/72、約41.4cm●プラキット
山田昌行(ヤマダマサユキ)
月刊ホビージャパンでは航空機模型を多数製作するベテランモデラー。落ち着いた塗装表現に定評あり。