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『スーパーカブ』小熊役・夜道雪 スペシャルインタビュー!

2021.08.04

小熊役・夜道雪 スペシャルインタビュー! 月刊ホビージャパン2021年9月号(7月21日発売)

夜道雪インタビュー

『スーパーカブ』にて主人公・小熊を演じた夜道雪さんのインタビューをお届け! 夜道さんといえば大のバイク好きとしても知られており、実際に自身で複数のバイク(もちろんスーパーカブも)を所有している。インタビューを通してアニメ、実車、模型など多方面から『スーパーカブ』という作品について深掘りしたので、すでに本編を見た方はもちろん、これから見る方も予備知識として楽しんでいただきたい。

インタビュー/ホビージャパン編集部 構成/笠井里香 撮影/大村祐里子 ヘアメイク/清香

夜道雪

Profile
夜道雪(よみち ゆき)

 11月21日生まれ。北海道出身。キャトルステラ所属。主な出演作は『スーパーカブ』(小熊)、『その時、カノジョは。』(チアキ)、『女神寮の寮母くん。』(八月朔日せれね)、映画『マロナの幻想的な物語り』(ソランジュ)など。YouTuberとしても活躍中。

──今回、声優の仕事では、アニメの主役は初めてだったかと思いますが、実際に演じてみていかがでしたか?
夜道:難しかったですね…。これまで経験してきたアニメやゲームの仕事とはまったく違う演じ方だったので、それがとても難しかったです。

──小熊は静かな感じのキャラクターでしたよね。
夜道:そうなんです。特に演じ方に抑揚がないよう事前に自分なりに用意していったのですが、実際の本番が始まったときには、藤井監督に「もっと抑えてください」と繰り返しディレクションを受けました。結果、あのような本当に抑えた演じ方になりました。狙っていたものは、実際の話し声です。アニメ声ではない声にしてほしいと監督がおっしゃって。小熊らしさを考えず、夜道さんの普段の話し声でやってくださいと言われたんですね。これまでそういうふうには演じたことがなく、自分以外の何かを演じることしかやってこなかったので、普段の自分の話し方と言われると逆に難しく感じてしまって。小熊の声をあてているけれど、自分の声という感覚でした。不思議でしたね。自分でも役を掴むまで時間がかかりました。例えば、ゲームでの声優の場合、幼い女の子の声ならこういう特徴、色っぽいお姉さんならこういうやり方といったセオリーやサンプルがありますが、小熊にはサンプルもセオリーもない。どんなキャラクターに近いとかそういったインフォメーションも一切ない状態でした。とにかく「演じないで」、「声を作らないで」というディレクションだったんです。だから、私の声でいいんだろうか? 何も演じなくていいのかな? という不安がずっとつきまとっていました。

夜道雪インタビュー中

──夜道さんの素の声だけど小熊ということなんですね。
夜道:そうです。すごく新しい感覚で、とても難しく、私自身勉強になりました。

──最終的にはその感覚が掴めた気がしましたか?
夜道:1話〜3話くらいまでは、「もっと抑えて、もっともっと」と、とにかく抑えてほしいということがメインだったんです。その後、本当に数ミリという程度ですが、演じていくにつれて感情を豊かにしていくという作業でした。ほんの数ミリ単位で感情的になっていく小熊を演じながら、あとは自分を解放していくというふうに変化していったので、ディレクションも少なくなっていきました。そうなっていくと、自然と楽しいシーンには楽しさ、驚きには驚きが私自身から出るようになって、最初は抑えていたものが、お芝居をするだけになっていきました。最初は地声でやってくれということに対する不安がずっとありましたが、回を重ねるごとに、小熊が現実世界にいるような感覚で作っている作品なんだということが掴めて、自信を持てましたね。後半はすごく楽しくなっていきました。

──後半は楽しい内容が多かったですもんね。
夜道:この子はどうやって生きていくんだろう?ってちょっと心配になるようなところからスタートして、人間らしくなっていく小熊に合わせ、自分の声も人間らしさを取り戻していって、小熊にもお友だちができて、少しずつ明るくなっていきましたね。本当に最初はこの子大丈夫かな?って心配でした(笑)。

──夜道さんも、実際にオートバイに乗られますが、この『スーパーカブ』で小熊を演じながら、バイク乗りとして感じた「バイクあるある」的な部分ってありましたか?
夜道:私自身も実際にスーパーカブを買ったんです。だから、日常にスーパーカブがあります。バイク乗りとして、実際に乗っていたバイクを停めているところを窓から見るとか、コンビニに行って思わず停めてある自分のバイクを見ちゃうとか、ガス欠になるところとか、「わかるわぁ!」っていうのがすごく多かったです。そういうシーンは演じていて楽しかったですし、自分が経験してきたことが存分に発揮できるので、嬉しかったですね。

──作品として印象に残っているシーンはありますか?
夜道:演じるのが難しかったこともあって、すべてが印象的なんですが…。同じバイク乗りとして、小熊がバイクを眺めて「エヘヘ」となっているようなちょっとしたシーンなんかはすごく気に入っています。気持ちが分かるだけに、演じていて楽しかったです。

夜道雪インタビュー中2

──自分が乗ってきたのに、置いてあるのを見るとカッコいいバイクがあると思ったら自分のだった!みたいなことってありますよね(笑)。夜道さんは、実際にバイクを複数台持っているんですよね?
夜道:はい、それなりに持っています。一気に複数台になったわけじゃないんですよ。ちょっとずつ増えていったのでそういう状態に慣れてしまいました(笑)。ちなみに私のスーパーカブは小熊の乗っているものと同じ時期のものです。年式はわからないのですが、見た目のちょっぴり古い感じとか、キックでしかエンジンがかからないとか、小熊の乗っているものと近いものじゃないかと思います。週1〜2回くらいの頻度でバイクに乗っていますね。

──お持ちのバイクでよく乗るのは何ですか?
夜道:初めて買ったオートバイなんですが、「KTMの390 Duke」というモデルによく乗ります。私にとっては一番乗りやすいバイクですね。スーパーカブじゃなくて申し訳ないんですけど(笑)。

──『スーパーカブ』の舞台になっている北杜市には行きましたか?
夜道:もちろん行きました! 本当に小熊たちが出てきそうなくらいに、アニメと現実世界が一致していて鳥肌が立ちました。落ち着いていて素敵なところですね~。スーパーにも実際に行きましたし、展示スペースなども作っていただいていて嬉しいですね。このアニメで街が盛り上がるというのはすごくいいなと思いました。東京から行くとこじんまりとした街でギャップを感じると思うんですが、それがまたいいところなんです。ぜひ一度訪れてみていただきたいですね。

──実際スーパーカブの模型を見ていただきましたが、いかがですか?
夜道:本当に細かく作られていて、自分のスーパーカブのモデルもあって、すごいですね! サイドスタンドがちゃんと出るだけでなく、センタースタンドも出るんですね! エンジンの裏側が見られるのも、実車では難しいから、こういうふうに見ることができるのはすごくワクワクします。当たり前なんでしょうけど、タイヤも回るし、ステアリングもちゃんと動くし、作りが細かくてびっくりしました。小熊の乗っているモデルを実際に作ってみたいです! ガレージのディオラマなんかと合わせて、小熊ちゃんがスーパーカブと一緒にいるシーンを再現できたらいいですね。やっぱり人が一緒にいるのがいいなって思います。

夜道雪模型カブと

──『スーパーカブ』をこれから見る方もいると思います。夜道さんから、ぜひ見どころを教えてください。
夜道:キャラクターのクセの強さがとても面白いです。小熊も最初は大人しい子だったんですけど、だんだんアグレッシブに、辛辣になっていきます(笑)。小熊は大人しいだけではなく、芯の強い女の子で、ちょっとおじさんみたいなところもあります(笑)。口数は少ないけれど、心の声は誰よりも持っている子と監督に言われましたが、その通りだと思います。アニメ全体を通して、絵だけでなく、背景美術に関しても作り込まれていますし、音も実際にスーパーカブを使って録音しているんです。劇中に登場する道や場所もほぼ全部実在しますし、小熊の演じ方を私自身の地声とあまり変わらない声でやらせていただいたことなども全部含めて、声、演じ方、音、バイクの描写、道、建物…、すべてリアルを追求して作られている作品です。BGMもあまりかからない中でクラシック音楽が流れたり、最近のアニメの中では、珍しい作り方をしていると思いますね。だから、見ていて心地良かったり、自分の日常に近いので、実際に小熊がいるんじゃないかって思わせてくれるところがすごく気に入っています。そういったリアルさを感じて見ていただけたらと思います。

(2021年6月、ホビージャパン本社にて収録。※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、細心の注意を払って収録しています)


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●発行元/秋田書店●4180円、7月29日予定●A4判

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