HOME記事スケールモデル【ROAD to RALLY JAPAN】introduction 5 アウディ クアトロ

【ROAD to RALLY JAPAN】introduction 5 
アウディ クアトロ

2021.08.03

ROAD to RALLY JAPAN 月刊ホビージャパン2021年9月号(7月21日発売)

ロードトゥーラリージャパンロゴ

「ROAD to RALLY JAPAN」は、2021年秋開催予定で10年振りの復活となる『Rally Japan 2021』応援連載企画。ラリーディオラマの連載進行中の小池徹弥が、それと絡めて開催時期まで毎回連載にしてしまおうとスタート。とはいえ、さすがに毎回ひとりで作り続けるのは無理なので、私小池が月刊ホビージャパンカーモデラーに適材適所依頼。ラリーやラリードライバーの多彩さを模型を通して紹介して行きたいと思います。
 また、加藤雅彦による「Commentary on the RALLY」ではラリーのことをわかりやすく解説していくので合わせてご覧ください。(小池徹弥)

ラリーディオラマ

Audi Quattro debut and end

 今回もニューキットレビューです。この連載を始めてからも続々とラリーカーのキットが発売され続けています(すでに2022年に回したアイテムも)。そんな中、今回スポットを当てたのは、アウディクアトロ。ラリー界において、市販車にも多大な影響を与えた4輪駆動システム、まさに革命的なマシン。近代ラリーの礎となったクアトロを紹介したいと思います(小池)。

上部はオリンパスラリー、下部はモンテカルロラリー
▲幅約30cm×高さ約36cm×奥行約15cm。高さを出したレイアウトで、全く別のレースシーンをひとつの作品に集約した。上部はオリンパスラリー、下部はモンテカルロラリーとなる
崖は少しアールの付いた形状
▲崖は少しアールの付いた形状になっていて、上部のシーンに傾斜をつけて勢いを演出
崖と地面の境目には枯れ葉を堆積
▲崖と地面の境目には枯れ葉を堆積させて雰囲気を高めた
ウェットでハードなダートシーンを表現
▲オリンパスラリー土台には大小・深浅メリハリをつけてあしらった水たまりと、白く濁らせるなどして、ウェットでハードなダートシーンを表現
レゴ
▲2週間の入院生活中もせっせとレゴを作ってました〜!(小池)
プラッツ/NuNu製のアウディ S1で製作された情景
土埃のエフェクトは綿で表現

▲上部は最新キットのプラッツ/NuNu製のアウディ S1で製作された情景。マディな地面に合わせて、主に車体下部にハードな泥汚れが施されている。土埃のエフェクトは綿で表現

ワイパー
▲ドライバーは車体に合わせてステアリングを右に切った状態にポーズを変更。ワイパーを動かして水表現も追加している
フロント激しめに汚し
▲フロント部分は特に激しく汚しておく
イタレリ製のアウディ クアトロ
大人しめのウェザリング

▲下部はイタレリ製のアウディ クアトロ。上部シーンとは打って変わって大人しめなウェザリングだが、リア側は汚れやすいので強めに施されている

 最初に勝田選手、2位ポディウムおめでとうございます!(詳しくは下記事にて)
 さて、今回選んだアイテムはアウディ クアトロ、近代ラリーをガラっと変えてしまった、革命的な4WDシステムを実用化したマシンです。2020年末再販されたイタレリの81クアトロ、通称ビッグクアトロ(コレが結構地雷だったりして(笑))。そして、コレに今回nunu/PLATZより新発売のクアトロS1を絡めて、WRCデビューイベントとラストイベント(クアトロの名は2022年の200もありますが)を同一ベース上に再現してみようと考え、今回の作例を撰んでみました。

■いやぁ〜今回の作例はさまざまなファクターが重なりギリギリのスケジュール
 2台作る、キットが古い、今回は締切が早い、その上に私的ではありますが2週間の入院。いつもより3週間くらい作業時間が足りない…作業、スケジュールは動き出してるし…。まぁ、泣き言ですが、そんなさまざまなファクターに押され、納得の行かない仕上がりもありますが、そこは撮らないで、見ないフリして、優しさで包んでやってください(笑)。

■ビッグクアトロ? スモールクアトロ?
 こちらは随分古いキットになります。多分、エッシー→レベル→イタレリという発売で30年以上前のキットですね、そのため、湯が回ってないパーツなどもあり、かつキットの基本がストラダーレ仕様だったりと多々ありますが、貴重なWRCデビューイベント仕様、本来ならじっくり作りたいキットですね。実はWRC以前に出場したラリーイベントのヘッドライト4灯の車も作ってみたかったりして。
 そしてもう一台、nunu/PLATZの新製品アウディ クアトロ S1です。コチラは以前BEEMAXより発売された、アウディ クアトロ S1[E2]のバージョン替えですが、ボディは新金型になってます。オリンポスラリーは一度作りたかったんですが、今回の構成では消化不良、またの機会に持ち越しですね。キットは共通パーツの関係で少し作りづらい所もありますが、ビッグクアトロとスポーツクアトロを並べる醍醐味は何物にも替えがたい魅力があります。どちらとも基本ストレート組み(インスト通り)で塗装して仕上げています。

■ニコイチのベースにしてみる。
 アウディ クアトロのキットが2台、ひとつのベースで表現して見ようとトライしてみました。ビッグクアトロがモンテ仕様なので、一度作りたかった峠道の岩盤を縦型で作ってみたかったのでそれと、アメリカのベースを組み合わせて見ました。この時、上部ベースは出来るだけ小さくしてみました。
 本当はここに、この後の加藤氏のページでも触れている、ミシェル・ムートンのマシンもタミヤ1/24クアトロで作りたかったんですが、そこはさすがにto much、時間切れ。あとに取っておきたいと思います。

ラリーディオラマ

イタレリ 1/24スケール プラスチックキット アウディ クアトロ 1981年モンテカルロラリー&nunu 1/24スケール プラスチックキット アウディ S1 1986年 オリンパスラリー使用

Audi Quattro debut and end

ディオラマ製作・文/小池徹弥

アウディ S1 1986 オリンパスラリー
●発売元/プラッツ/NuNu、販売元/プラッツ●4620円、発売中●1/24、約17cm●プラキット

アウディ クアトロ 1981年モンテカルロラリー
●発売元/イタレリ、販売元/プラッツ●5060円、発売中●1/24、約」18cm●プラキット


ロードトゥーラリージャパンロゴ

Commentary on the RALLY
Vol. 005

文/加藤雅彦

ラリー車の概念を変えた4WDスポーツ「アウディ クアトロ」

 今回は、何を差し置いても勝田貴元選手のサファリラリー2位入賞の話題から始めさせていただきます。本当におめでとうございます。WRCで表彰台に登った日本人ドライバーは1994年、やはりサファリラリーでの篠塚建次郎さんの2位入賞以来、実に27年ぶりのことでした。現在のサファリラリーは昔ほど走行距離も長くないし、他のWRCイベント同様、SS主体での競技になったわけですが、路面の状態などはサファリならではの難しさがあり、それはトラブルに見舞われたマシンも少なくなかったことからも窺い知ることができました。

篠塚建次郎選手がドライブしたランサー
▲ハセガワから発売された篠塚建次郎選手がドライブしたランサー。1994年のサファリラリーで2位に入賞した仕様だ。勝田選手のヤリスもいつかは、と期待してしまう。

 そんな2021年のサファリラリーでしたから2位は素晴らしい結果だと思うんですが、勝田選手はラリー後に悔しさもあると語っています。優勝したセバスチャン・オジェ選手のタイヤの使い方、終盤に使えるソフトタイヤを残していたことはさすがチャンピオンたる所以であり、勝田選手もそれができていたらと考えるとその悔しさも理解できます。しかし状況を理解してしっかり2位でフィニッシュしたことは何度も言うようですが素晴らしく、そして今後がますます楽しみになりました。どんどん歴史を変えていってほしいですね。
 さて「歴史を変える」といえば、今回取り上げたアウディ クワトロはまさにWRCの歴史を変えたマシンと言えるでしょう。そもそも市販車としても革新的であり、それまでの4輪駆動車のイメージを一新したといっても過言ではないと思います。アウディ クワトロのデビューは1980年のジュネーブショーですが、その会場でもっとも注目を集めた1台だったというのも頷けます。4輪駆動と聞いてジープや軍用車両などどちらかと言えばガッチリした車両を思い浮かべる時代でしたから、スポーティなクーペが4輪駆動を採用したとなれば気になるのも無理はありません。
 1981年にはグループ4仕様のマシンでWRCに参戦を開始します。参戦前には重量がかさんだりシステムが複雑になることで懐疑的な見方をする人もいたようですが、開幕戦のモンテカルロから速さを見せつけました。結果的には参戦した2台ともリタイアに終わりましたが、クワトロの可能性を充分に知らしめたのです。

イタレリから発売されているクワトロのキット
▲現在イタレリから発売されているクワトロのキット。もとは同じイタリアのメーカー、エッシーから発売されていたものだ。マーキングはクワトロのデビュー戦となった1981年のモンテカルロ仕様

 そして第2戦のスウェディッシュラリーでハンヌ・ミッコラ/アーネ・ハーツ組が早くも優勝に輝くと、第8戦サンレモではミシェル・ムートン/ファブリツィア・ポンス組がWRC初優勝。これはWRC史上初の女性ドライバー、女性クルーによる勝利となっています。最終戦のRACでもミッコラ組が圧勝し、1982年にはアウディのWRC参戦も本格化していきます。

1982年のアクロポリスラリーのムートン車
▲タミヤのキットは1982年のアクロポリスラリーのムートン車をチョイス。久しぶりに再販売してほしいものだ

 新たにアウディ陣営に加わったスティグ・ブロンクビストがスウェディッシュとサンレモ、ミッコラが1000湖(フィンランド)とRAC、ムートンがポルトガルとアクロポリスさらにブラジルで勝利するなどの活躍を見せ、見事にメイクスタイトルを獲得しました。
 またドライバーズタイトル争いもシーズン終盤まで続き、惜しくもチャンピオン獲得には至りませんでしたが、ムートン/ポンス組がシリーズ2位の活躍を見せ、シーンを大いに盛り上げました。
 このアウディ クワトロの成功により4輪駆動はラリーカーの必須メカニズムとなっていったのです。1983年からはグループBカーが本格参戦を始めるわけですが、当初は後輪駆動車が多かったものの最終的には4輪駆動車がタイトルを争うことになりました。その後のグループAカーではほぼ4輪駆動車の独壇場でした。
 またスポーツカー、例えばR32以降の日産スカイラインGT-Rやランボルギーニ・ディアブロVTなどが4輪駆動を採用したことにも少なからずアウディ クワトロが影響を与えたといえるのではないでしょうか。
 WRCでのアウディ クワトロに話を戻すとグループB時代になっても活躍は続き1983年にはミッコラが、1984年にはブロンクビストがクワトロを駆ってドライバーズタイトルを獲得しています。1984年は再びメイクスチャンピオンにも輝きました。
 しかし徐々にミッドシップ4WDを採用したライバル勢から遅れをとるようになり、WRCにおけるクワトロ最後の勝利はグループB仕様のスポーツクワトロS1E2での1985年サンレモということになりました。ちなみにこのときのクルーはワルター・ロール/クリスチャン・ゲイストドルファー組でした。
 グループA時代の初期にも車種を変えてWRCに参戦していたアウディでしたが、メーカーとしては近年スポーツカーレースに力を入れている印象があります。そんな中EKS JCというチームが2021年、グループRally2仕様のアウディA1クワトロ・ラリー2の製作を発表しました。これからテストを重ねて実戦デビューということになるようですが、ラリーシーンでまたアウディの名前が聞けるようになるのは楽しみですね。

BEEMAXのS1はパッケージではモンテカルロ仕様
▲BEEMAXのS1はパッケージではモンテカルロ仕様を謳っているが、優勝したサンレモ仕様のデカールも用意されているのが嬉しい
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小池徹弥(コイケテツヤ)

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