【完全版】「PG UNLEASHED RX-93 νガンダム」発売後インタビュー! 設計担当者と企画担当者がキットの注目ポイントと完成&発売を迎えた思いを激白!!【ガンプラ45周年集大成】
2026.03.07BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン 設計担当 曽根大地×企画担当 稲吉太郎 インタビュー 月刊ホビージャパン2026年4月号(2月25日発売)
BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン
設計担当 曽根大地
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企画担当 稲吉太郎
ガンプラ45周年の集大成アイテムとしてついに発売となった「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム(以下、PGU νガンダム)。5年という歳月をかけて開発が行われたキットが発売を迎え、開発関係者はどんな感慨を持っているのか? BANDAI SPIRITS ホビーディビジョンの設計担当 曽根大地氏と企画担当 稲吉太郎氏に改めて話を伺い、完成と発売を迎えた思い、そしてキットを手にして注目してほしいポイントを語ってもらった。ホビージャパンウェブ版では、月刊ホビージャパン4月号本誌のインタビュー記事では掲載できなかったパートを追加した完全版という形でお送りする。
(聞き手/石井誠)
ホビーディビジョンが総力戦で臨んだ設計と最終調整
──PGU νガンダムは企画開始から商品の発売まで5年近い時間がかかりましたが、ようやく発売を迎えた感想をお聞かせください。
稲吉 やはり形になった時は嬉しかったですね。設計担当の曽根さんの名前にかけて「νガンダムがついに大地に立った!」と思いました(笑)。
曽根 これだけパーツが多いアイテムの設計は経験がなかったので、形になったのはよかったですね。設計用のCADデータや完成形と同じ形となるCGをずっと見ていたわけですが、やはり実物とは色の見え方も違いますから。今回は成型色の色数も普段担当しているものに比べて多いので、実際に形になった時にはどう見えるのか不安もありました。だから、やはり嬉しさはありますね。
稲吉 開発段階で細かい仕様を決めていくにあたっても、曽根さんにはたくさん我儘を言っていたのですが、それをほぼそのまま叶えてくれました。それもあって、こうして組み上がったキットをガシガシ動かせるのはものすごく楽しいです。
──実際に手にしたからこその感慨もあるんでしょうね。
稲吉 組み立てて動かしてみると「BANDAI SPIRITSの技術はすごい」、「曽根さんの設計がすごい」という思いがあふれます。僕自身も、自分が所属する事業部がいかにすごいのかを思い知らされました。この造形や機構を組み込むのは、スキルがある設計者なら頑張ればできるかもしれませんが、そこに組み立てまで考慮して「こうやったらこう組めるんだ」というところのケアまで気を回して作り上げるのは、ホビーディビジョンの開発力だからこそできたことですし、曽根さんが設計担当ではなかったらこの商品にはならなかったと思います。
──高額かつパーツ数も相当な数の商品となるわけですが、「組みやすさ」というところは設計段階からかなり意識されていたのでしょうか?
曽根 そうですね。自分もそんなに器用なほうではないので、なるべく誰にでもストレスなく、じっくり取り組めば必ず組み立てられるようには心がけました。
──現在は、SNSとプラモデルの連動は大きくなっていて、ユーザーも「ここまで組み立てたよ」とアップするのが日常となっています。そうした組み立て作業が皆さんに共有される世の中になると、組み立てやすさや組み立てる楽しさもひとつの大きな評価になりますからね。
曽根 嵌合などは未だに昔から変わらない手作業で調整していただいています。PGU νガンダムに関しては、本体の重量が重いということもあって、関節周りはちょっとキツめに調整しています。商品的にもボリュームがあるので、通常ならば1商品に対して担当者ひとりで金型の調整を見てもらうのですが、今回は事業部全体の総力戦であたってもらいました。みんなで組んで、みんなで各部を確認するという形ですね。パーツを多層的に重ねて組み立てていくため、重なるぶん隙間ができやすいこともあり、そのあたりもピッタリと収まるよう、かなり細かくこだわっています。
稲吉 多層構造だと、1個の隙間があると重ねるうちにさらなる隙間ができてしまうので、そこはかなり気を配ってもらいました。
曽根 パーツの重ね合わせに関しては、データの時点でなるべく気を付けていたのですが、実際に金型に材料を流した際にパーツに収縮や膨張が起きて隙間ができることもあります。そのあたりは組み立ててみないとわからないので、テストショットで何度も調整しています。
稲吉 総力戦といえば、設計の追い込みの時も曽根さんの指示のもとで各設計担当者が分業で作業されていましたね。
曽根 そうですね。いつもだと基本的にはひとつのキットはひとりでまとめていくのですが、さすがにこの物量だと手が回らなくて。最後の1ヵ月くらいは部位ごとに各設計担当についてもらって検証しました。そういう意味では、設計部隊も総力戦みたいな感じでしたね。
──バンダイホビーセンター全体で仕上げていった感じなんですね。
曽根 そうですね。おかげで、一時期はかなり社内の設計チームのキャパシティを占有してしまいました。
稲吉 僕自身、昨年は他の商品をいくつも担当していたのですが、作業途中で設計などの担当者に相談にいくと「実は今、PGUのνガンダムで忙しい」と言われることもあって、本当に皆さんにお世話になった1年だなと思っています。技術的な面も仕様的な面もバンダイホビーセンターのヒューマンリソース的なところで総力戦でした。そういう意味では、非常に責任の重いアイテムがようやくお披露目になるなという感慨がありますね。
──昨年10月に実際の商品に近いものを「全日本模型ホビーショー」で展示されましたが、来場した方の反応はいかがでしたか?
稲吉 あの時が、マーキングまで施した状態での初のお披露目タイミングでした。お客様からも「ようやく完全体を見ることができた」というコメントをいただいたので、フルスペックを見てもらえたのが本当に嬉しかったです。「予約して良かった」という声もいただけました。やはり、お客様の目線だと6万円の商品を購入するにあたってお見せできたのが、光造形の展示品とCGで作った宣伝用画像だけでした。それを踏まえて、6万円の価値観というものを見ていただいて、さらにポジティブなコメントをいただけたのはとても良かったなと思っています。
曽根 僕は東京のホビーショーには伺えなかったのですが、あのタイミングでお披露目できるように完成形に持っていけたのが良かったです。スケジュールを決めてそれに合わせて設計作業をしていたのですが、最初の段階から予定通りにはいかなくて。そこで各部署に相談して調整をしながら進めていたのですが、後半になればなるほどトラブルが発生してずれ込んでしまう。それが、ある程度までポーズがとれ、飾れる形まで持っていけました。やはり、サイズ的にあまり経験がなかったので、開催期間中、ポーズが保たれるのか、という不安は大きかったですね。
かつてない圧倒的なボリューム感とこだわりぬいた成型色
──実際に商品を組んでみた感想はいかがですか?
曽根 僕は企画者自身でもあるわけですが、改めて現物に触るとパーツ数の多さと密度感に圧倒されます。ランナーを並べただけでもとても机に収まらない。とにかく情報量とパーツ点数がすごいですね。なにせランナーが全部で79枚。外箱を含めた重量が8kg。組み立てて完成したνガンダムが1.85kg。捨ててしまうランナーや中で仕切っている内箱があり、外箱だけで1kgあって、取り扱い説明書も100ページに及びますので、全体を合わせると相当なボリュームですね。
──キットの組み立てにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
稲吉 1日8時間×3日という想定で、計24時間はかかるかと。ちなみに、初心者ではなく、ガンプラに慣れた人が組み立てることを想定したスピードですね。
曽根 僕は組み立てるのが遅いほうなので、自分で組み立てるともっとかかると思います。
稲吉 フィン・ファンネルは同じパーツがこれでもかというほどありますからね。ちなみにフィン・ファンネル1基で50パーツくらいあります。
──総パーツ数はどれくらいになりますか?
稲吉 1000パーツ以上ですね。
──このキットは成型色の美しさも特徴だと思います。特に白と黒が目に入りやすいですが、成型色もかなりこだわられているのでしょうか?
稲吉 成型色は決定するまでものすごく悩みました。
曽根 何色もテストショットを出して、それを組み合わせて配色バランスを見るような作業をしたので、かなり大変でした。
稲吉 黒い部分は色味のコントラストなどでかなり試行錯誤しています。成型色に関しては、個人的なベンチマークとしたのは、PG ガンダムエクシアです。PG エクシアの青は改めて見ていただくとわかるのですが、他のスケールでは使えないような色味になっていまして、小サイズのキットで使うと紫っぽい青に見えてしまう。でも、1/60スケールで、あのディテールで見るならばこれが最適解だという青になっています。そういった過去のすごい商品たちを参考にしながら、逆算の理論を働かせて選定しています。
曽根 黒い部分は福岡の実物大νガンダム立像に近い、青い色も試しましたね。
稲吉 黒はサイズが大きいので、明暗を意識した結果、思った以上に濃い色になっています。そこは、先ほど言ったPG エクシアと同じ理論ですね。パーツが大きいので、光の入る角度によっていろんなエッジが見えてきます。また、白もかなり悩みました。1/100や1/144スケールでしっくりくる色もこのサイズになると間延びしたり、安っぽくなってしまうんです。黒は2トーン、白は3トーンで色分けしているのですが、3色がちょっと違うけど違いすぎない絶妙な色味を狙いたくて。そうした我儘を言って、何度もやり直した結果が商品に反映されています。
曽根 サイズが大きいので、実際に組んでみると見え方が思っていたのとはちょっと違ったりもしていたんです。
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