ダイキャスト関節の再構築で名作キットをかっこよく立たせる/RX-93 νガンダム【BANDAI SPIRITS 1/100】●只野☆慶 月刊ホビージャパン2026年3月号(1月23日発売)
ダイキャスト関節の再構築で
名作キットをかっこよく立たせる
1/100 νガンダムは『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』の劇場公開から約半年後の1988年10月にリリースされた、シリーズ最後発のキットである。もちろん公開直前までその存在が伏せられていたフィン・ファンネルも用意されたフル装備版。1/144シリーズから採用されているスナップフィット&ビス留めによる組み付けに「いろプラ」成型。フィン・ファンネルによる荷重を想定した、ダイキャスト製の股関節やスネフレームなど、これまでにない新たなチャレンジが盛り込まれた革新的な内容だった。もちろんプロポーションも抜群でしっかり立たせれば、さらにかっこいいνガンダムを手にすることができる。そこで今回の作例では、良好なプロポーションはそのままに関節各部を再構築。立ちポーズが様になるνガンダムを目指している。
▲各武装もキットのまま。シールドや肩のパーソナルマークは、ガンダムデカール23を使用。ビーム・サーベルの刃はグラデーション塗装で発光しているような演出を施した
■劇場公開当時の「いろプラ」
本キットの発売は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』劇場公開の半年後の同年10月のようだ。「いろプラ」つまり成型色が違う部品をひとつのランナー内に複数配する技術の導入、強固な構造材として関節軸にダイキャストを使用、ビスによるパーツの組み付け等、当時としては革新的であった。プロポーションも良好で設定画の特徴を的確に捉えているのだ。高荷義之氏によるパッケージアートは現代のキットにはない壮大さでワクワクする。さて、このマイルストーン的当時ものキットを愛でながら、改修するプロセスを解説しよう。
■フレーム構築と関節問題
まずダイキャスト製のスネフレームだが、その重さがヒザ関節に負荷を与えるためポリキャップがヘタるのだ。扱いやすくする意味で、シリコーンで型を取り、1mm真鍮線を軸部に配したうえでレジンをインサート成型。強度不足の部位にはさらにピンバイスで開口、真鍮線を追加で打っている。太モモ部にはMG ガンダムMk-II Ver.2.0の球体関節を移植し、ダイキャスト製の股関節軸にレジンブロック成型によるボールジョイントを新造して合体。これにより脚部を「八の字」に開くことが可能になる。
肩関節基部はダイキャストパーツのはさみ込みで、強度はあっても可動はしない。ジャンクパーツを漁り、たどり着いたのがMG ザクII F2型の胸部内にある引き出し式肩関節だった。組み合わせ方に工夫はいるものの、腹部パーツと組み合わせてフレームとして構築するとあら不思議! 胸部の肩開口部にピッタリなうえに、肩軸がそのまま使えて可動範囲も飛躍的に向上。若干いかり肩にもなり肩アーマーの方向を変えずに腕を引き上げることも可能になった。
■当時ものキットと向き合う面白さ、難しさ
特にνガンダムは、福岡に実物大立像が建立されるほど、ガンダムシリーズにおける象徴的な存在だ。2026年「俺の理想的νガンダム」は多岐にわたるだろう。しかし本キットは関節周りが固く、かっこよく立たない。いや、かっこよく立たせてみて思ったのが「これだ!」という確信だった。只野個人が欲しかったのは、オリジナル映像作品の印象を体現する実にシンプルな立体物であり、本作例ではフレームや関節の強化や追加はしたものの、造形的にはほぼそのままで、むしろ邪魔だと思うパネルラインを埋めたのだ。もちろん面出しやモールドの彫り直しは行ってはいるが……。
当時の職人が図面を引き、モックアップを作り、金型を調整した、今にない黎明期の輝き。造形的に過不足なく「正解」を見事に導き出していると断言できるのだ。
編集部より提示いただいた企画とこのキット、歴史と意匠を追体験した旅だった。実に有意義で面白い体験。読者の皆様も当時ものキットと向き合う際は「追体験」を面白がってみてはいかがだろうか?
■カラーリングデータ
下地=メカサフ ヘヴィ
黒部=ミッドナイトブルー+ネイビーブルー
+色ノ源シアン、アンバー 適量
白部=C316番・ホワイトFS17875
黄部=C4 番・イエロー+C58 番・
黄橙色 適量
フレーム色=サーフェイサーエヴォ
シルバー+色ノ源シアン、
アンバー 適量
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキットνガンダム フィン・ファンネル装備型使用
RX-93ν ガンダム
製作・文/只野☆慶
詳しい製作方法は
「月刊ホビージャパン2026年3月号」に掲載中!
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