Figure-riseLABOを塗装でさらに表現豊かに
2021.07.25式波・アスカ・ラングレー【BANDAI SPIRITS】 月刊ホビージャパン2021年9月号(7月21日発売)
Figure-riseLABOを塗装でさらに表現豊かに
『:破』から、BANDAI SPIRITSのFigure-riseLABO最新弾「式波・アスカ・ラングレー」の作例をお届けしよう。キットはシリーズ第4弾。「肌と密着した透明スーツ表現」をテーマに、多色成型で見事にプラグスーツの透け感を実現。もちろん、それ以外のスーツのグロス表現や視線の追従を可能にした「アイトラッキングインジェクション(瞳のインサート成型)」など、随所にBANDAI SPIRITSの技術の粋が楽しめる注目キットだ。作例は見事な造形はそのままに、清潔感溢れる塗装表現で、さらにキットの良さを引き立てている。
製作工程解説 解説/菅原進哉
プラモデルの新しい表現に挑むという「Figure-riseLABO」シリーズ。
バンダイの得意とする金型・成型技術を駆使し、塗装や印刷なしにフィギュアの色彩・質感表現をしようという実験的な側面を持つ製品です。過去3キャラクターが製品化され、それぞれに表現テーマが設けられています。
第4弾のテーマは「肌と密着した透明スーツ表現」。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に登場する「式波・アスカ・ラングレー」が着用した、テスト用プラグスーツ姿をプラモデル化。ノンスケール全高約25cmとやや大きめで、シールでの再現が一部ありますが、一般的なプラモデル組み立て手順のみで、劇中のキャラクターと遜色ない立体が完成するという魅力的な製品です。とはいえ、物足りなく感じる部分はありますし、透明感の塗装表現は難しいのでそこを活かす方向で塗装してみました。
■組み立て
注意したいのは透明スーツのクリアーオレンジの軟質樹脂で、ベースとなる肌色樹脂から剥離しやすく空気の層が入ると元には戻りません。嵌合がキツいパーツもあるので、仮組み分解を繰り返す場合は事前の調整をお勧めします。筆者は一部剥離させてしまいました。
軟質樹脂は320番くらいの粗めのペーパーでヤスリ掛け可能です。エッジに残るバリは、モーターツール用のブラシで除去できます。塗装も可能ですが柔らかいので気を遣います。
■塗装
基本の塗装は溶剤系アクリル(ラッカー)塗料でエアブラシ塗装しています。
顔は肌色が単調なのと眉やアイラインに手を加えるため、目以外を成型色に近いガイアカラーのノーツフレッシュで塗装し、サフレスフレッシュで赤みと影を加えました。
面相はタミヤエナメルカラーにて、アイラインは暗い茶系で柔らか、かつシャープに、白目に色を入れて肌との境界を作ります。虹彩のクリアーブルーは単調なので、削りを入れて明るい部分を作り、より透明感を強調しました。
透明スーツ部は赤寄りのクリアーカラーで影を強調しています。顔と髪はツヤ消し、スーツ部はツヤあり寄りの半ツヤでコートしました。
色を成型色に寄せたのもあり、一見して塗装前後に大きな違いを感じられませんが、そのくらい完成度が高い製品であることは確かです。
BANDAI SPIRITS ノンスケール プラスチックキット
“Figure-riseLABO”
式波・アスカ・ラングレー
製作・文/菅原進哉
Figure-riseLABO 式波・アスカ・ラングレー
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●7700円、発売中●約25cm(台座含む)●プラキット
ⓒカラー ⓒカラー/Project Eva. ⓒカラー/EVA製作委員会
菅原進哉(スガワラシンヤ)
ミニチュアフィギュア塗装を得意とし、おじさんをはじめ、今回のようなキャラクター女の子も守備範囲。