HOME記事スケールモデル国産ジェット戦闘機「F-1支援戦闘機」とは? 支援戦闘機という謎の任務区分で類別されている本機の謎をプラッツの1/72キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

国産ジェット戦闘機「F-1支援戦闘機」とは? 支援戦闘機という謎の任務区分で類別されている本機の謎をプラッツの1/72キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

2026.02.21

いまさら聞けないすごいヤツ‼/F1 支援戦闘機●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2026年3月号(1月23日発売)

いまさら聞けないすごいヤツ!!

 F-1支援戦闘機 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は、前回ご紹介した「T-2練習機」をベースに開発された国産ジェット戦闘機「F-1支援戦闘機」をピックアップします。


F-1支援戦闘機

全幅/7.88m
全長/17.85m
全備重量/9690kg

エンジン/IHI TF40-IHI-801A×2基
最高速度/マッハ1.6
航続距離/2600km


第3飛行隊(後期マーキング)

F-1支援戦闘機 正面
F-1支援戦闘機 上面
F-1支援戦闘機 裏面

F-1支援戦闘機

解説/宮永忠将

第6飛行隊

F-1支援戦闘機 第6飛行隊 正面

 T-2練習機ベースの国産ジェット作戦機 

 1970年代、航空自衛隊ではF-4EJファントムII戦闘機の採用が決まり、装備面での防空体制は格段に強化された。しかし政治的な理由で、空自のファントムは対地攻撃に不可欠な爆撃コンピューターがカットされていた。当時の自衛隊では沿岸部や周辺海域での侵攻阻止、つまり対艦攻撃能力や陸上自衛隊を支援する対地攻撃能力が欠如していたのだ。
 このような背景から、T-2超音速練習機の開発と並行して、1971年にT-2を原機とする単座攻撃型の開発計画が定まった。中心になるのは、T-2を開発した三菱重工業。操縦性と運動性が高いレベルでまとまったT-2は、攻撃機への転用に適すると同時に、開発コストもかなり抑えることができる。そして戦後日本初のジェット作戦機開発ということにもなる。これが三菱F-1支援戦闘機開発の背景だ。
 F-1の開発コンセプトは「T-2からの最小限の設計変更で攻撃機を作る」というものなので、高翼配置の主翼の平面形や、胴体のボリューム感、外装レイアウトまでT-2とそっくりである。逆にはっきり分かる違いとしては、T-2の後部座席を撤去してアビオニクス装置を積み込み、後席のキャノピー部分をハッチで覆ったところくらいだ。
 こうして1975年6月に試作機が初飛行に成功し、その2年後に量産型1号機が合格して部隊配備が始まった。計画から4年で完成というのも、ジェット機開発としては異例のスピードである。

 謎の「支援戦闘機」という存在 

 三菱F-1の真価は、国産の80式空対艦誘導弾(ASM-1)、つまり対艦ミサイルを両翼下に合計2発搭載できる点にある。またこの積載能力を活用して、500ポンド(約250kg)爆弾を8発も搭載可能である。このような大量の兵装に対応するため、主翼構造はT-2のそれより大幅に強化されている。
 さて、このようにF-1の性能をつぶさに見ると、ちょっとおかしいことに気付く。それはF-1に与えられた支援戦闘機という類別のこと。開発経緯自体が、対艦対地攻撃能力の穴を埋めるというのがF-1開発の起点なのだから、F-1攻撃機とか戦闘爆撃機とすべきところが、なぜか支援戦闘機という謎の任務区分で類別されている。これは当時の時代背景が今よりずっと国防政策に敏感で、攻撃機=侵略兵器と受け取られ、政治的な問題になってしまう恐れがあったから。そこで対艦攻撃や爆弾で陸海作戦を「支援する戦闘機」という論法を選んだわけ。だから戦闘機と名乗るけど、実際は、運動性の問題で戦闘機としての性能は高くはない。
 こうしてF-1支援戦闘機は合計77機製造され、最盛期には三沢と築城基地の3個飛行隊に配備されていた。特に三沢が主力基地であった縁から、現在でも三沢航空科学館では実機を見ることができる。2000年代に入ると攻撃機としての役割はF-2戦闘機に引き継がれて退役が始まり、2006年には全機退役を済ませている。


第6飛行隊


 F-1支援戦闘機が最初に配備されたのは三沢基地の第3飛行隊であるが、最後まで運用していたのは第6飛行隊であった。1959年にF-86F戦闘機部隊として編成された第6飛行隊は、築城基地に第8航空団が発足するとその隷下に入る。そして1980年からF-1の配備を受け、要撃飛行隊から支援戦闘飛行隊へ転換した。2004年からは後継のF-2戦闘機の配備が始まり、短期間ながら同じ飛行隊にF-1とF-2が混在する形となった。そして2006年3月9日にはF-1の退役式典が実施され、日本の空から姿を消したのである。第6飛行隊でのF-1の運用期間は25年におよび、現在もF-1運用で培った強力な対艦打撃能力を持つ部隊として知られている。


文字

 2013年に満を持して発売されたキット。プラッツの1/72キットが発売されるまでは、ハセガワの往年のキットがF-1の定番となっていました。プラッツによって更新された本キットは、細分化された足周りや、表面のクッキリとしたディテールによる模型的かっこよさを思う存分楽しめます。

プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 ランナー画像
▲塗装も考慮した組み立てやすさを重視し、パーツは細分化。ハセガワの定番キットよりもパーツ数は多い。武装はASM-1、AIM-9L、CBLS-200ディスペンサー、220ガロン増加タンク、フォーエジェクターラック、ダブルエジェクターラックをセット
プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 ランナー画像 胴体
▲F-1のシャープなシルエットが見事に表現された胴体パーツ
プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 ランナー画像 胴体下
▲胴体下のエンジン部は別パーツ化。別パーツ化されたことで、非常に細かくてクッキリとしたモールドを成型で表現できている
プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 デカ―ル画像
▲デカールはイタリアの高品質デカールメーカー「カルトグラフ」によるもの
プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 ランナー 説明書画像
▲ 説明書は発売時からリニューアルされており、よりわかりやすくなっている。塗装図もフルカラー
プラッツの1/72キット F-1支援戦闘機 パッケージ画像

1/72 航空自衛隊 F-1 支援戦闘機

●発売元/プラッツ●2640円、発売中●1/72、約24cm●プラキット


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