HOME記事キャラクターモデル福井県産恐竜の代表「フクイサウルス」を復元!! 「プラノサウルス パラサウロロフス」を基に最新骨格をプラキットで再現!【プラノサウルス復元プロジェクト】

福井県産恐竜の代表「フクイサウルス」を復元!! 「プラノサウルス パラサウロロフス」を基に最新骨格をプラキットで再現!【プラノサウルス復元プロジェクト】

2026.02.17

プラノサウルス復元プロジェクト/フクイサウルス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2026年3月号(1月23日発売)

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■改造

骨格図

フクイサウルス・テトリエンシス
骨格図

 フクイサウルスの復元骨格は、これまでにいくつかのタイプが製作されている。これらは1995年に完成した「フクイリュウ*」の復元骨格を改造したもので、新たに発見されたフクイサウルスと考えられる骨格要素を追加していく形でアップデートされ続けている。
「フクイリュウ」の復元骨格が製作された当時、北谷クオリーから産出するイグアノドン類の実態はよくわかっていなかった。2003年のフクイサウルスの命名、そして2015年のコシサウルスの命名を経て、近年では北谷クオリーから体型のはっきり異なる2タイプのイグアノドン類が産出することが知られている。フクイサウルス、コシサウルスともホロタイプは断片的な骨格に過ぎないが、がっしりした体型を示す化石はいずれもフクイサウルス、きゃしゃな体型を示す化石はコシサウルスのものであろうと見られている。
 今回は、近年発見されたさまざまな新標本の情報を中心に、「フクイリュウ」の復元骨格のアップデート版ではなく、一からフクイサウルスの骨格の復元を試みる。パラサウロロフスとは大きく体型が異なるため、プロポーションの変更がカギとなるだろう。

*フクイリュウ:北谷クオリーから産出したイグアノドン類の化石に付けられていた愛称。中国科学院・古脊椎動物古人類学研究所と内蒙古自治区博物館の協力によって、1995年に復元骨格が製作された

ウラベヒロト製作「フクイサウルス」頭部製作途中
▲フクイサウルスは部分的な頭骨が複数体分発見されており、組み合わせるとかなりの部位が揃う。パラサウロロフスの骨格ビルドとはサイズ・形状がまったく合わないので、テリジノサウルスの頭蓋とトリケラトプスの下アゴを組み合わせてベースを作る
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」顔製作途中
▲実際の復元頭骨(「フクイリュウ」とはまったくの別物)や骨格図を参考にパテを盛り、硬化したら彫刻刀で形を整えていく。出来上がった頭骨に、パラサウロロフスの頭骨のボールジョイント受けを軸椎(第2頸椎)に見立てて接着する
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」尾製作途中
▲フクイサウルスの尾は全体的にがっしりしており、パラサウロロフスをはじめとするハドロサウルス科と比べて長めのようだ。キットのままでは長さが足りないので、要所要所で分割しつつ、2キット分を組み合わせて延長する。金属線で接続し、表情を付けられるようにしておくとよい
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」尾製作途中2
▲キットでは恐竜ビルドで外装を組み付ける都合上、棘突起や血道弓が歯抜けになっている。欠けている部分をエポパテで埋めて彫り直しつつ、尾の付け根付近の横突起もパテで追加しておく
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」胴椎製作途中
▲胴椎の棘突起は例によって骨格図をプラ板に貼り付けて切り出す…が、ここで問題が浮上。ハドロサウルス科はより基盤的(≒原始的)なイグアノドン類と比べ、ひとつひとつの胴椎が短い。キットはこの特徴をよく表現しており、それゆえフクイサウルスのベースには使いづらい
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」胴椎製作途中2
▲胴椎をひとつずつ切り出して延長していくのはあまりにも過酷なため、一連の胴椎(+仙椎)をまるごとプラ板で新造することにした。プラ板に骨格図を貼り付け、必要な部分を切り出す
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」椎体製作途中
▲切り出したプラ板にエポパテを盛り、胴椎や仙椎の椎体(椎骨の円筒形になっている部分)を表現する。頸椎(の第3頸椎以降の部分)は、パラサウロロフスの頸椎パーツがそのまま使えそうだ。骨盤もキットパーツをベースに加工していこう
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」肋骨製作途中
▲座骨は金属線を芯にして延長する。必要な長さの金属線を埋め込み、そこにシアノンを盛って整形しよう。肋骨はキットのままではどうやっても長さが足りないため、ティラノサウルスのパーツを使う
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」腸骨製作途中
▲ティラノサウルスの肋骨を1本ずつ切り出し、先ほどの胴椎に接着する。腸骨近くのほぼ水平方向に伸びた肋骨は、パラサウロロフスのものを切り出して使おう。ひと通り肋骨を接着し終わったら、胴椎の横突起をエポパテで追加してやる。腸骨・恥骨も忘れずに加工しておくこと
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」肩甲骨周辺製作途中
▲肩まわりの骨はパラサウロロフスのパーツを使おう。肩甲骨・烏口骨を肋骨にほどよくフィットするよう接着し、そこへパテを盛って整形していく。胸骨は肋軟骨部分を切り飛ばし、整形してから烏口骨に接着する
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」前肢製作途中
▲フクイサウルスの前肢はイグアノドンと比べてずっときゃしゃだが、それでもパラサウロロフスをはじめとするハドロサウルス科と比べてはるかに頑強だ。上腕骨はテリジノサウルス、前腕部はアンキロサウルスの膝下部分を加工するとよさそうだ
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」前肢製作途中2
▲手の指はアンキロサウルスのパーツをペンチで曲げ(模型はパワーだぜ)、ほぼまっすぐ伸ばした状態にしておこう。上腕骨とは0.7mmの金属線で接続する。親指のスパイクと小指は、金属線を芯にしてシアノンを盛って整形する
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」後肢製作途中
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」後肢製作途中2

▲フクイサウルスと目される後肢の骨は、イグアノドン類のなかでも特にがっしりしているようだ。トリケラトプスの後肢にティラノサウルスの足を組み合わせていこう

ウラベヒロト製作「フクイサウルス」脛骨製作途中骨格図比較
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」脛骨製作途中

▲脛骨を延長し、足首は金属線2本で接続する。指は要所で切り分け、短く削り込んだうえで金属線で接続。ひづめ状の末節骨もしっかり作り込んでおこう

ウラベヒロト製作「フクイサウルス」工作終了
▲ひと通り加工が終わったら、全体を組み上げてバランスを確認する。既存のフクイサウルスの復元骨格とはいささか異なった姿になったが、さまざまなイグアノドン類の骨格や骨格図と比較して、破綻がないよう調整しよう。趾(足の指)の可動化で、二足でもしっかり自立する

■塗装

ウラベヒロト製作「フクイサウルス」製作途中塗装中
▲北谷クオリーで産出する動物化石は黒っぽい色のものが多く、なかには漆黒のものも少なくない。フクイサウルスとされる化石の多くも、非常に暗い茶色から青みがかった黒色を呈している。これらのイメージから、黒のサーフェイサーをまんべんなく吹き、それを影色として残しながらやや明るいグレーを吹いていくこととした。黒系のウェザリングカラーでウォッシングした後、最後にレッドブラウンでドライブラシする。こうすることで、青みがかった黒にところどころ酸化鉄の赤みが差した色合いとなる
ウラベヒロト製作「フクイサウルス」製作途中
▲これで完成! 長年の研究でアップデートを重ねてきた、福井県における恐竜研究の象徴とも言えるフクイサウルスを机の上に復元することができた。アップデートを繰り返しているとはいえ、依然としてフクイサウルスの全身骨格は未発見。今後の研究から目が離せない。北谷クオリーではフクイサウルスの化石が複数個体発見されており、当時の生態系では比較的ポピュラーな存在だったのかもしれない。異なる植物を食べるなどして、コシサウルスとうまく共存していたのだろう
フクイサウルス・テトリエンシス
骨格図
▲北陸地方には、手取層群*と呼ばれる白亜紀前期の地層が広く露出している。福井県勝山市北谷町を流れる杉山川の左岸には手取層群北谷層が露出しており、古くから貝化石の名産地として知られていた。1982年、ワニ類の全身骨格が発見されたことをきっかけに、この崖は世界でも有数の恐竜化石産地へと姿を変えることになる。
 1988年に行われた予備調査に続き、翌年から始まった本調査によって、この崖にボーンベッド(骨化石の密集層)が存在することが明らかになった。日本各地から学生を集めた大規模な発掘調査が毎年のように行われ、今日までにフクイサウルスをはじめとするさまざまな恐竜の体化石(骨や歯の化石)や足跡化石を含む、膨大な数の化石が発見されている。
 今日、この崖は北谷クオリーとして世界的に知られている。2016年以降の調査でフクイサウルスの新標本が続々と発見されており、フクイサウルスをはじめとする北谷層産イグアノドン類の今後の研究に期待がかかっている。

*手取層群:日本を代表する白亜紀の地層のひとつで、北陸地方で広く見られる。狭義の手取層群は白亜紀前期の陸域で堆積したものだが、ジュラ紀中期~後期の海成層(海底で堆積した地層)を主とする九頭竜層群とまとめて広義の手取層群とすることも多い

Fukuisaurus tetoriensis

フクイサウルス・テトリエンシス
●鳥脚類 イグアノドン類●全長約4.7m●白亜紀前期(アプチアン)約1億1800万年前頃?●福井県

BANDAI SPIRITS プラスチックキット “プラノサウルス”

フクイサウルス

製作/ウラベヒロト(アーミック)
骨格図・解説/G. Masukawa(GET AWAY TRIKE!)

プラノサウルス パラサウロロフス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1540円、発売中●約16cm●プラキット


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G. Masukawa

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