HOME記事フィギュアワンフェス前の「東京デザイナー・アカデミー フィギュアデザイン学科」の授業を見学!全国でここだけしかない学校の設備や塗装講師である、がっとねろ先生にインタビュー!

ワンフェス前の「東京デザイナー・アカデミー フィギュアデザイン学科」の授業を見学!全国でここだけしかない学校の設備や塗装講師である、がっとねろ先生にインタビュー!

2026.02.06

東京デザイナー・アカデミーの「フィギュアデザイン学科」ってどんなところ?

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 東京デザイナー・アカデミーは、“デザインを教えるのではなく、デザイナーを育てる”ということを教育理念とし、イラスト、コミック、映像、フィギュアなど様々な分野のデザイナーを生み出している専門学校です。 その中でもホビージャパンとより親和性の高い「フィギュアデザイン学科」にお邪魔させてもらい、授業を見学!
 加えて、講師であるがっとねろ先生にも特別にインタビューを行わせていただきました。学校やカリキュラム、エアブラシ塗装についての質問に快く答えて頂けたのでそちらも合わせてご紹介していきます。

(取材実施日/2026年1月29日)


「東京デザイナー・アカデミー」は駅近で通いやすい!

▲ フィギュアデザイン学科があるのは、西神田校舎。神保町と水道橋駅から徒歩5分でアクセス抜群! 授業で疲れ果ててヘトヘト…といった時や、作品を持ち運びしなければならない時はありがたく感じることでしょう。秋葉原にもアクセスしやすいので資材調達の際にも便利です

フィギュアデザイン学科のエアブラシ塗装の授業に潜入!

 フィギュアデザイン学科を発見! がっとねろ先生による、エアブラシ塗装の授業が実施されていました。開催が迫る「ワンダーフェスティバル」に向けての作品を製作中とのことで、学生たちの表情は真剣そのもの。
 約半年前に学内公表会を実施し先生たちのアドバイスを受けながら、製作物のイメージを固めて作り上げていくそう。ワンダーフェスティバルの開催まで約1週間となっているこの日は、まさに製作の佳境です…!

▲学生たちが使うことのできるネロブースはなんと全32台設置! 実際のメーカーの現場でもないような数が導入されており、最高峰の環境で学ぶことができます。さらにネロブースは、がっとねろ先生が手掛けている商品であるため、機材トラブルにもすぐに対応ができるのでとても心強いです
▲ 塗装ブース内部は、自身が作業しやすいように学生さん各々で工夫がされています。実際の授業で使用するのはガイアノーツ製のラッカー系塗料に統一しています(学生さんが購入する際に水性塗料などと取り間違えがないようにもするためらしい)
▲ 教室前方には製作に欠かせないサポートアイテムたちがズラリと用意されています
▲ がっとねろ先生が教室内を見て回っており、学生へのアドバイスや質問などに気さくに答えられていました。学生たちとのやりとりから、がっとねろ先生の親しみやすい人柄も垣間見えました
▲ 学生さんの作品も見せていただきました。こちらはまだ製作途中という事で、一部マスキングテープが貼られています。ワンダーフェスティバルで完成品が見られるのが楽しみですね!

がっとねろ先生にインタビュー!

がっとねろ

東京デザイナー学院プロダクトデザイン科アクセサリーデザイン専攻卒業。アクセサリー会社、建築設備会社など経て、模型雑誌「月刊ホビージャパン」誌や「モデルグラフィックス」誌でライターとしてデビュー。ネロブースが有名な株式会社ガットワークスを設立し、同社代表取締役。

がっとねろ先生が「東京デザイナー・アカデミー」で講師になった経緯をお聞かせください。

 学校にフィギュアデザイン学科を新設するということで、ネロブースの設置をお願いされました。工事の設計や打ち合わせをしている中で、フィギュアデザイン学科始動の約一ヵ月前に「まだ講師が決まっていないんだよね。初心者講習だけでいいからやってくれない?」という話を恩師でもある学科長の竹田先生からいただいたことがきっかけです(笑)

「エアブラシ塗装」の授業を担当しているとのことですが、学生に説明をされる際に意識していることは何ですか?

 エアブラシ塗装をスプレー塗装の延長線上のものと勘違いしている学生が多いのですが、実際は筆塗りの延長線なんですよね。なので元々はエアブラシは色を塗るための道具ではなく、絵を描くための道具なんだよと教えることからはじめています。

平滑な塗装やグラデーション塗装などの様々な塗装方法がありますが、授業で最初に教える技法はなんですか。

 まずはエアブラシのコントロールの体験をしてもらいたいので、スプーンの裏側を塗ってもらいます。最初はとにかくムラなくキレイにベタ塗りができるように。その次に、スプーンの周りから中心にかけて薄くなるグラデーション。最後は、線を格子上に2mm、1mm、0.5mm、0.3mm…と、どんどん細い線で描いてもらいながら、同時にまっすぐな線も描くというのが一番最初の授業になります。これがあっさりとできた学生には、紙に自分の名前をなるべく細い線で描いてもらっています。

「エアブラシ塗装をする」となった際にフラットな塗装とグラデーション塗装のどちらをイメージされている学生さんが多いですか?

 初めて塗装を行うときには、まだハイライトやシャドウなどの認識がないんですよね。例えば、「黒髪の黒い服を着ているキャラクターを塗る」となったときに、髪の色、洋服の色、影の色をはそれぞれ何色? と聞くと、すべて「黒」と答えるわけですよ。全部真っ黒だねーとなるじゃないですか(笑) なので、本当に全部黒に見えるのかな? という疑問を持ってもらうことから話をはじめます。
 ハイライト、シャドウとそれぞれの色を見えるようにするために一緒に資料をみて、赤であれば単なる赤ではなく、青み味がかっているのか、それとも黄みがかっているのかなど……色の見方を教えています。

がっとねろ先生はエアブラシ以外も担当されているんですか?

 塗装と名がつくものはすべて僕が担当しています。ですが、授業中に教えられることには限りがあるので、色相環などの色の知識については色彩関係の就職を希望している学生に個別に教えています。そして僕は実際のメーカーさんへネロブースの設置にいったりしているので、そこでプロのフィニッシャーの方とお話しする機会もあるわけですよ。プロの方々の塗り方や考え方、どういう体の使い方しているかなど自分の中で一度噛み砕いてから実践し、学生たちに教えたりもします。ちょっとしたチートですね(笑)

授業にて学生が躓きやすい技法はなんでしょうか? 練習方法やアドバイスがあれば教えていただきたいです。

 塗膜を均等の厚みで塗る「ベタ塗り」ですね。授業で塗料を初めて使うというのが大体8割くらいで、スプーンの裏側をベタ塗りをさせてみるとと端まで色が塗られていなかったり、中央だけが薄かったり、とベタ塗りが出来る人はほぼいません。本人はキレイに塗れている気で持ってきているんですけど、こちらも色の見え方と同じく、考え方から教えていきます。
 あとは意識している人がいるのかわからないんですけど、塗っているときの肩や肘の動かし方をみていますね。最初はみんな肩があがったり脇が広がってきたりするので、そうなっていたら指摘をして体の使い方も教えています。

 経験者であってもエアブラシを動かすのが早かったり、製作していた作品の系統毎にクセがついてしまっている部分を直しています。カーモデルの経験で塗膜を厚く塗りたがる、スケールモデルとの経験で調色すべてミリタリー系の配色になってしまうなどさまざまです。女の子が羽織るカーディガンの薄い黄色を調色して塗るという課題で、軍支給品のような仕上がりに…なんてこともありました。

 一概には言えないですが、毎年40~50人の学生さんが入学されてるので、学生の人数分躓くポイントがあるわけです。その分僕の中にもパターン蓄積がされて教えられる知識も増えていっています。

空想のモンスターや妖精など、実在しないモチーフの塗装を教える際にどのような資料を参考にするのでしょうか。

 空想の生物であれば、一度現実に存在してる生物に置き換えてもらっています。ドラゴンであれば爬虫類の鱗を参考にして再現するためのアドバイスをします。妖精であれば、虫の羽か鳥の羽か、どちらを参考にするかで考え方も変わるので、方向性から導いてあげつつ、参考資料を探す方法を教えています。動物園に行くことを勧めたり、楽器なら隣駅の御茶ノ水にいくことを勧めたり、実物をみて触れるのであれば、質感を体感してもらうのが一番早いですね。

「エアブラシ塗装」の上達のために実技以外に学ぶことは何でしょうか? 授業で行っていることなどあれば教えてください。

 考え方以外のところでいうのであれば、ものすごく極論なんですが太極拳をやればいいんじゃないかなと(笑) 太極拳ってひとつひとつの動作がゆっくりじゃないですか。あれって自分の筋肉がどうやって動いているのかっていうのを確認して、考えながら行っているわけですよ。エアブラシでもそれと同じことをしてほしいんです。筋肉をどう使ったらまっすぐ線を描けるのかなとか……体の動かし方を重点的に考えた方がただ塗るよりも上手くなる。
 あとは目線ですかね。見てほしいのはエアブラシの先端と出ている霧と塗装対象物。エアブラシの先端がどこにあって、霧がどう出ているから色がどうつくというその3点を確認してほしいです。エアブラシの先端しかみていなかったら、対象物とエアブラシが距離の違いで結果が変わってしまいます。その辺の気づきから色々と試してほしいですね。

ネロブースが33台(1台は講師専用)も導入されていますが、ネロブースで授業を行えることのメリットを教えてください。

 排気力が高く、駆動音も静かで快適に作業が出来ます。見学された教室では24台動いていたんですが、マイクなど使わなくてもこれだけの台数で一斉に授業が行えるのは強みですね。あとネロブースは設計もメンテナンスも僕が行っているので、最強の環境で使うことができます!(笑)

在学中であれば学校の設備は自由に使えるんでしょうか。

 設備と一部の材料は授業中であれば自由に使えますし、放課後であれば申請をすれば使うことが出来ます。場合によっては卒業生も自主作業に使用することもあります。

ワンダーフェスティバルの開催までもうすぐとなっていますが、製作に取り組んでいる学生たちの姿を見てとんなことを感じますか

 隣の教室の扉を開けて叫んできたいんですが、計画性!!(笑) 私は週2回しか学校に来ないんですが、ワンダーフェスティバルの前だと毎回、連日学校に来ることになります。そういうスケジュールにならないよう、こまめに発破をかけているんですが……。
 ワンダーフェスティバルの展示作品までを卒業製作とする事も多く、半年前に企画審査をはじめて、先生たちのアドバイスを受けながら製作する作品を決めています。製作する作品のテーマも学校で提示しておらず、オリジナルでも版権許諾が必要なものでも良いので大変です。11月にある中間審査で進捗を見て、ここでも発破をかけるんですが……毎年展示間近はバタバタになります。

がっとねろ先生も東京デザイナー・アカデミーの卒業生ということで、学校の魅力を教えてください

 設備と人ですね。私が卒業したのはプロダクトデザイン科ですが、今のフィギュアデザイン科の話とさせていただくと、とにかく設備が良い。ネロブースをはじめ、3DプリンターやUVプリンター、真空脱泡もあります。先生たちも本当にすごい人達が揃っていて……それに僕は一人で対抗しようとしているので、とても大変です(笑) そのくらいの講師陣が揃っていますね。 

 実際問題、学校の塗装環境がメーカーさんよりもいいんです。うちの学校の学生が色んな企業に入っていくと、学校での塗装環境よりも落ちる環境で仕事をするってこともあります。そうすると上司に学校の設備を入れてくださいって打診するわけです。卒業式の時は、お前らがうちの営業マンだ! って言って送り出します(笑)

がっとねろ先生が技術を習得するまで、どのくらいの期間がかかりましたか。

  雑誌の仕事を頂けるようになるまでと考えると8年ですね。彩色のお仕事を頂けるようになるというのだったら、15年。メーカーさんに彩色で仕事をする人を送り出せるようになったという意味では…4年くらいはかかりましたかね。

がっとねろ先生の“味”が最も活かせる塗装方法はなんですか。

 雑誌のお仕事であれば、特殊な塗装をやってみるとかの遊びをやらせてもらったりしますが、デコマスのお仕事などでは、できるだけ個性を出さないようにフラットに作ることを意識しています。

▲ 月刊ホビージャパン2022年12月号に掲載された「汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン初号機」
作例記事はこちら

 学校で教えるときも私の塗装の持ち味は捨てています。「がっとねろ先生ができることをすべてできるようになりました!」と言って、メーカーに送り出してしまうと、そのクセが邪魔になってしまうんですよ。なので学生たちには入るメーカーさんに合わせて育ってもらえるようになることを意識して教えています。マスプロダクトの彩色をすることを目標とすると、変わった方法を覚えるよりも、基礎をしっかりとやってもらって、そこから応用までもっていっていった方がいいかなと思います。

業界を志す学生たちや入学を考えている方々に向けて、メッセージをお願いします!

 やる気がある子たちには先生たちもきちんと答えてくれるので、2年間を無駄にはさせない自信はあります。なので“覚悟”をもって入ってきてほしいなと思います。うちの学校に限らずですけど、この業界でやっていきたいってなったら、一旦それだけをみて頑張ってほしい。他のことをやっている時間を製作に使っていたら、もっと上手くなれたじゃん。って、10年後に後悔したくなかったら通っている間に頑張ってほしいなと思います。カリキュラムも一見関係なさそうだなというものでも、先生毎にしっかりと考えられて組まれているので、信じてついてきてほしい。2年間の覚悟を持って、ぜひ来ていただきたいです。

ありがとうございました!

(2026年1月 東京デザイナー・アカデミー 西神田校舎にて収録)

学科長・竹田卓司先生からもメッセージを頂きました!

 講師の先生たちは、学生に対して厳しく指導を行いこともありますが、皆ちゃんとついてきます。そういった意味では、すごくいい効果が生まれているんじゃないかと思っています。学生のやり方や気持ちをしっかりと汲み取って、アドバイスをしてあげる先生たちにお願いしているので、自分のやり方を押し付けたりするような先生はいないですね。設備が整っているというのも大事ですが、すごくいい先生たちが揃っているというのが、本校で何よりも一番アピールしたいところです。

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