ティラノ超えの超巨大肉食恐竜「ギガノトサウルス」の骨格を復元! 骨格図を基にプラキットをよりリアルに改修!!【プラノサウルス復元プロジェクト】
2026.01.11
プラノサウルス復元プロジェクト/ギガノトサウルス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2026年2月号(12月25日発売)
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■改造
ギガノトサウルスの化石はホロタイプのほかに数標本(下アゴの断片や脱落した歯)が報告されている程度だが、ホロタイプは骨格の相当部分を保存しており、カルカロドントサウルス科の大型種としてはかなり完全な骨格が知られているといえる。しかしこれらの化石は詳しく記載されておらず、その実態は不明瞭なままである。復元骨格は世界各地で展示されているものの、欠損部の復元に相当な問題があることが指摘されている。
近年、メラクセスやタウロヴェナトルといった、保存状態のよい大型のカルカロドントサウルス科の化石がアルゼンチンから新たに報告されている。これらの化石は依然として部分的な骨格だが、ギガノトサウルスのホロタイプの欠損部を補って余りある。
プラノサウルスとしてキット化されたギガノトサウルスの骨格ビルドは、ティラノサウルスと比べて細身のイメージをよく表現している。しかし、恐竜ビルドの関係もあって実際以上にほっそりして見えてしまう部分も散見される。今回は、この数年で新たに報告されたカルカロドントサウルス科の情報を取り入れ、あまり顧みられることのないギガノトサウルスの「最新復元」を製作する。
▲まずは頭骨から。北九州市立いのちのたび博物館などで展示されているギガノトサウルスの復元頭骨は、本来よりもかなり長く復元されている。キットの頭骨はちょうどよい長さだが、かなり面長だ。邪魔になる上アゴ骨歯をいったん切り離したのち、全体を切り張りしていこう
▲近年命名されたメラクセスではほぼ完全な頭蓋が発見されている。ギガノトサウルスの実際の頭骨化石の写真や骨格図、メラクセスをはじめとする近縁種の頭骨を参考にパテを盛っていこう。下アゴは長さはそのまま、パテを盛って全体の形状を整えていく
▲ギガノトサウルスの上アゴ骨歯の厳密な個数は不明だが、比較的数が多かったようだ。キットのままだと足りなくなるので、ティラノサウルスの歯を移植し、エッチングソーで1本ずつ形状を整えていこう。仕上げに鼻骨にパテを盛り、シワ状の装飾を仕上げる
▲ギガノトサウルスの骨盤はティラノサウルスと比べて左右幅がやや広いが、それでもキットより幅が狭い。また、キット(下)のままではどうしても股関節部分がかさばるので、テリジノサウルス(上)の股関節を移植することにした。こうすることで、実際の骨格に近い脚の幅になる
▲ギガノトサウルスをはじめとするカルカロドントサウルス科は、ティラノサウルス科と比べて後肢がずっと短い。キットの大腿骨と脛骨を切断し、骨格図を参考に長さを調整する。大腿骨の上半分はテリジノサウルスのものを接着する
▲メラクセスやアクロカントサウルス、コンカヴェナトルといった最近発見されたカルカロドントサウルス科の趾はかなり短く、ギガノトサウルスも同様だったと考えられる。キットの趾を切り詰め、彫刻刀でディテールを彫り直そう。接地性を向上させるため、金属線を通して可動化させておく
▲ギガノトサウルスやその近縁種の化石やレプリカ、骨格図を参考に、大腿骨や脛骨・腓骨にパテを盛って整形していく。大腿骨各部の転子(脚を動かす筋肉の付着点になる突起)や、膝頭の突起は成型の都合でほとんど省略されているので、作り直してやると一気にそれらしくなる
▲ギガノトサウルスはカルカロドントサウルス科の大型種としては唯一、1個体分の椎骨がほぼすべて揃っている。キットパーツと骨格図を比較し、改造ポイントを探っていこう。キットの胴椎は14個あるが、タウロヴェナトルなどの研究からすると実際には13個だったようだ
▲キットの骨格ビルドは単に胴椎が1個多いだけでなく、個別の胴椎がところどころ前後にやや長いようだ。胴椎ブロックを適当なところで切り分け、胴椎を1個取り除く。切り分けたブロックを削り込んで前後長を短縮したら、金属線を通して組み直そう
▲キットの肩甲烏口骨と肋骨は一体成型されているため、キットを2つ用意し、それぞれ肩甲烏口骨と肋骨だけを切り出そう。肋骨同士をつないでいるサポート部はエッチングソーなどで切除し、ひとつずつ整形する
▲肋骨を胴椎に接着したら、金ヤスリで薄く削り込んでおいた肩甲烏口骨を肋骨のラインに合わせて接着する。キットは成型の都合で叉骨がオミットされているので、ティラノサウルスのものを流用しよう。骨盤は上下に分割し、元のボールジョイント受けをカットしておく
▲カットしたギガノトサウルスの骨盤を、テリジノサウルスの股関節ボールジョイントを挟み込むようにして仙椎に接着する。ギガノトサウルスの骨格図やメラクセスを参考に、骨盤や仙椎まわりの形状をデザインナイフなどで整えよう。足りない部分はパテで補っておく
▲尾は個々の尾椎のサイズ感が近いティラノサウルスのパーツを使用。各部を削り込んで整形し、高めの棘突起はパテを盛って再現する
▲頸肋骨は彫刻刀やエッチングソーでシャープに整形する。頸椎の棘突起や関節突起はタウロヴェナトルを参考にパテで作ろう
▲頭骨や頸椎の相当部分はパテの塊になってしまったが、それでも趾の可動工作のおかげできちんと自立する。前肢はメラクセスやタウロヴェナトル、アクロカントサウルスを参考に、キットパーツを削り込んだ。バランスの確認が終わったら塗装に移ろう
■塗装
▲塗装の前に、溶きパテを全体に塗っておこう。こうすると化石風のテクスチャーになり、非常に塗装映えがする。各地で展示されている復元骨格は黒~茶色系のカラーリングがほとんどだが、実際のホロタイプはダークイエローに近い。それらしく調色したものをエアブラシで全体に吹く
▲本体色より明るめの色を調色し、ドライブラシ。ギガノトサウルスの頭骨は細かな凹凸が集中しており、ウォッシングやドライブラシがとてもよく映える。歯は本体色より暗めの色(ツヤあり)で塗装すると、ギガノトサウルスのホロタイプでも保存されていたエナメル質風になってよいアクセントになる
▲ウェザリングカラーのグランドブラウンやマルチグレー、イエローオーカーを混色してウォッシング。乾燥したらツヤ消しトップコートを吹いておこう
▲これで完成! ギガノトサウルスをはじめとするカルカロドントサウルス科の復元骨格は世界各地で展示されているが、近年になって明らかになったさまざまな解剖学的特徴を盛り込んだものはほとんどない。本記事を参考に、「ティラノサウルス超え」の超大型獣脚類の真の姿をぜひ卓上に再現してみよう
▲1993年、アマチュア化石ハンターのカロリーニによって、パタゴニア北西部にあるダム湖のほとりで巨大な恐竜の化石が発見された。頭骨は10平方メートルほどの範囲に散乱していたものの、それ以外の部位は半ば関節がつながった状態であり、全体としてかなり完全な状態だったのである。1995年、この標本MUCPv-Ch1をホロタイプとしてギガノトサウルス・カロリーニが命名され、「ティラノサウルス超え」の巨大獣脚類として世界に大きな衝撃を与えた。さらにホロタイプを収蔵・展示するための小さな博物館が地元で開館し、今日まで来館者を迎えている。
命名から30年以上が過ぎたが、ギガノトサウルスは今なお最大級の獣脚類のひとつとして知られている。白亜紀初頭には世界各地で頂点捕食者となっていたカルカロドントサウルス科だが、9000万年前ごろまでには絶滅したようだ。カルカロドントサウルス科の絶滅後、南米では全長13mに達する超大型の陸上捕食者はとうとう現れなかった。
Giganotosaurus carolinii
ギガノトサウルス・カロリーニイ
●獣脚類 カルカロドントサウルス科●全長約13m●白亜紀後期(セノマニアン前期)約9800万年前ごろ?●アルゼンチン中西部
BANDAI SPIRITS プラスチックキット “プラノサウルス”
ギガノトサウルス
製作/ウラベヒロト(アーミック)
骨格図・解説/G. Masukawa(GET AWAY TRIKE!)
プラノサウルス ギガノトサウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1595円、発売中●約24cm●プラキット
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