プロモデラーノモケンが気になるアイテムや試してみたいものを紹介するこのコーナー。今回取り上げるのはエコーテックから発売されているホビー用小型超音波カッター「ZO-40レジンⅡ」。多様な素材の切断だけでなく、パワーを抑えた「Low」モードを追加してプラモ工作も重視したモデルです。超音波カッターの基本的な特徴と共に、その効果を試してみます。
「Low」モードが付いた「ZO-40レジンⅡ」
▲刃先を高速振動させることで切断摩擦を減らし、力を掛けずに切断できるのが「超音波カッター」。「ZO-40レジンⅡ」は同社のホビー用ラインナップではミドルモデルといえるもの。「Ⅱ」では2段階のパワー切り替えが付いたのが変更点。「Normal」は従来通り、「Low」は別売の「薄刃」と組み合わせてプラ材の切断での“溶け”を抑えようというものになっています。本体は縦、横どちらにも置けるもので、ハンドピース部がホルダーに収まります
ホビー用小型超音波カッター ZO-40レジンII
●発売元/エコーテック●46750円、発売中
▲機種別のパワー比較図(同社パンフより)。「ZO-40RⅡ」がこの機種。「Normal」のパワーは上位と比べて中間点、レジンをはじめ通常の切断はこのモードで行います。「Low」は薄刃向けで低めに設定されているのが分かります
▲刃先の付いたハンドピース部は握りやすくて軽いもの。本体の電源スイッチとは別にハンドピース上面にスイッチがあり、押している間だけ超音波振動が作動します。スイッチから指を離せば止まる仕様です。連続使用や負荷を掛けて使うと熱を持つことがあるので注意します
▲標準刃はデザインナイフと同形状で傷んだら交換できます。ミゾの付いた刃固定具に差し込み、それを振動子ホーンにいれてビスでしっかり固定します。緩みや汚れがないよう丁寧に取り扱います
▲製品にはNTの替え刃BDC-200Pが1ケース付属し、傷んだら交換できます。この刃で切り込める素材が切断対象となります。ただし穴の開いた刃は使用中に割れる危険があるので使用できません
あわせて使いたい「薄刃」オプション
標準刃の板厚0.4mmに対して、板厚0.15mmと薄く作られた刃です。薄く切り込みプラパーツの溶けを少なくできます。標準刃と似た形状の「薄刃」と、縦長の「薄長刃」があります。刃固定具も薄刃用を使う必要があります。今回、薄刃は固定具とセット、薄長刃は刃のみを用意しました。
超音波カッター用 薄刃(5枚入)セット ZH14S[1セット]
●発売元/エコーテック●3630円、発売中
超音波カッター用 薄長刃 ZH16[5枚入]
●発売元/エコーテック●2530円、発売中
超音波カッターでの切断
まずは超音波カッターの標準の刃と「Normal」モードで、基本的な使い方と切断の様子、特徴が活かせる場面などを見ていきましょう。なお製品の注意書きでは「厚さ3mmを超える樹脂や厚さ2mmを超える厚紙には使用しないこと」とされています。
▲製品名にもついているレジン(レジンキャスト、ポリウレタン樹脂)の湯口、ゲートの切り取りです。スイッチを押しつつ、削ぐように刃を入れます。すると刃が滑るように切り込めます。切り口も歪みなく滑らかです。上手く切り込めないときは無理に力を掛けず、刃をあてがうところからやり直しましょう
▲プラモデルパーツの切り分け例。スイッチを押しながらパーツに刃先を差し込むように切り始められます。自由な向きで切り取り、切り分け、くり抜きができます。微振動の熱でプラが溶けるので、切り口のフチには歪みができます。それでも大まかな分段には便利ですし、切り口の歪みの程度、整形も見越して使うことになるでしょう。こうした歪みを抑えるための「Low」モードと薄刃は後で試します
▲クリアーパーツや細いパーツのゲートカットなど、パーツに力を掛けずに切り離したい切断には最適です。ヒビワレしやすい透明プラ板や熱加工したプラ材などを切るのにも適しています
▲厚みのあるプラ材やアングル材はニッパーでは切りづらいもの。超音波カッターなら周囲から切り込むことで手軽に分段できます。切り口は多少の整形が必要ではあります
▲エポキシパテやポリパテがカチカチに固まったあとの切削。これも超音波カッターがあって良かったと思う場面です。レジンの例と同様に薄く削ぐようにし、スパスパと表面を切り取っていけます。ヤスリで削るよりも楽で切削粉がでないのもメリットです
▲3Dプリントパーツのサポートの切断。ここもパーツに力を掛けずに切りたいので、超音波カッターでの特徴が活かせます。切断部が砕けることがあるのでパーツ面から少し離して切り、隙間を開けるように切り取っていくと良いでしょう
▲厚紙などの紙類の切り取りにも使えます。その際には下敷きにガラス板を敷いて、下にまで食い込んだりしないようにします。フリーハンドで刃先が滑るような切断になります
▲細めの木材(2mm厚)を切ってみました。プラ材のようには切り込めませんが、少しずつ切り込みを入れ直すようにして切断できます。切り口がシャープで切りシロもほとんどなく切れています。熱で少し焦げているのも見え、やや負荷を掛けている切り方です
超音波カッターの切断がどのようなものか掴めたところで、次のページではこの機種の特徴「Low」と「薄刃」をプラ材に使ってみます。
[次のページ]「薄刃+Low」でのプラ切断 >
ⓒ創通・サンライズ