『ウルトラセブン』のカプセル怪獣ガレージキットとともに残り2体へ想いを馳せる【コモリプロジェクト】
2025.12.12 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。10月もあと一週間を残す頃、富士山に初雪が降ったというニュースが届きました。僕が住んでいる場所では昼間はまだTシャツ1枚で過ごせますが、列島各地ではコートやマフラーを慌てて引っ張り出した方も多いようです。秋を通り越して一足飛びに冬が来たみたいですね。これはこれで身体にこたえます。どうか風邪などひかれませんように。
さて、寒さが苦手といえば光の国からやって来た超人、ウルトラセブンもそうでした。覚えていらっしゃいますか。全編にわたって張り詰めた緊張感が漂い、観る者に瞬きも許さず画面に釘付けにした第25話『零下140度の対決』。基地に戻る途中のモロボシ・ダンが猛烈な寒波に襲われ、雪の中でウルトラアイを落としてしまい、ついには凍死寸前まで追い込まれてしまうという絶望的な様子が描かれました。この時、変身できないダンが自分の身代わりにと戦いに差し向けたのがカプセル怪獣ミクラスです。
子供の頃、ダンが携帯カプセルを取り出してアンプルを掴むと、そりゃもう一気に心拍数が跳ね上がりました(今度は何が出てくるんだろう!)。こんな時、お母さんから「ご飯よ」とか「お風呂に入りなさい」と言われても、決してテレビの前を動きませんでした。そういう記憶をお持ちの方も大勢いらっしゃると思います(苦笑)。
話を戻します。セブンの持っているカプセルは全部で5つ。しかし、登場したのはご存知の通りウインダム・ミクラス・アギラの3体です。第10話『怪しい隣人』にてダンは赤いカプセルを投げますが、何も起こりません。イカルス星人曰く、「無駄だ。次元の違う世界だと言っただろう」と冷たく言い放ちます。投げられたカプセルと残ったカプセルの中身は何だったのか? それは──分かりません。謎です。ですが、ヒントはあります。『ウルトラセブン』には制作決定に至るまでいくつかの企画書が作られており、『ウルトラアイ』には【侵略者の特性に応じて怪獣を使い分ける】と記されています。そこにはレッドキング、アントラー、ペギラの名前があります。また、その後に練り直された『レッドマン』(赤いアイツではありません)の企画書にはゴモラの名前も出てきますし、準備稿を読むとエレキングと戦ったのはミクラスではなくレッドキングでした。その様子をプロジェクトメンバーの山口さんがデジタルディオラマで再現すると、こんな感じになりました。ダンが「レッドキング、行け」と言いながらカプセルを放り投げ、爆発閃光の中から蛇腹の巨体が現れたら、それはそれで間違いなく大興奮したことでしょう。カプセル怪獣にはいざという時に頼りになる相棒という要素とともに、何が出てくるのか分からない駄菓子屋のクジのようなワクワクした気分が詰まっていたのです。
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』『ツイン・アース』など著作多数。




















