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【コードギアス 新潔のアルマリア】ep12「無事でいて」

2025.12.06

コードギアス 新潔のアルマリア●長月文弥 月刊ホビージャパン2026年1月号(11月25日発売)

コードギアス新潔のアルマリア12話TOP画像

『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語

 『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。激しい拷問を受ける捕われのハクバ。一方でそのハクバを救出すべく、サトリたちは着々と準備を進める。新月も失った右腕の代わりに白炎と同じ七式統合兵装右腕部を取り付けられていた。そして、ついにリビングナイツへの陽動作戦が開始される。

STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
モデル製作 おれんぢえびす、コジマ大隊長
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部


ep.012『無事でいて』

 窓のない狭くて薄暗い部屋に、肉を打ちつける鈍い音が何度も聞こえる。それは、鎖で両手を拘束されて吊るされたハクバがサンドバックのように殴られている音。顔面、腹や脇腹を何度も殴られ、ハクバは気を失いかけていた。その朦朧とする意識のなかであってもハクバは考えを巡らせていた。



 ──仮に、こいつらリビングナイツが追っていたのが、俺たちエージェント新月の誰かだとする。俺たちが追われる覚えはないが、事実だけ並べるとそう考えざるを得ない。
 リビングナイツと遭遇したのは3回。鎌倉で姫様が襲われた時、ホノルルの黒の騎士団本部が襲撃された時、そして、さっき。オルフェウスの拠点が襲われた時だ。それぞれの襲撃が一度きりで移動していることから、奴らの目的は、姫様でも、本部でも、イワンでもない。となると遭遇率の高さや状況から考えて、俺たちが追われていると考えるのが妥当だろう。
 だが、ここで重要なのが、こいつらは俺が何者かを知らない、ということだ。それどころかイザヨイの存在も知らないと見える。つまり、こいつらは、俺たちが何者か知らずに追っていた。いや、ひょっとすると、自分たちが追っている者すら知らないのかもしれない。だから、執拗に俺が何者かを聞き出そうとしている。俺が“本来追っている誰か”を知っていると考えているからだろう。そうであるならば、やりようがある。しかし、こいつらを出し抜くには、こいつらが追っている者を突きとめねばならない。その可能性があるのは──
 ピュアエレメンツG。
 あの黒い紅蓮タイプだ。奴との遭遇は2回。中東での一件とホノルルの黒の騎士団が襲われた時。今まではただの偶然だと思っていた。しかし、グラナードが持ち出したモルドレッド型のナイトメアを見た今では偶然ではなかったのかもと思える。なぜなら、ピュアエレメンツG、グラナードの機体、どちらもイワンのLDM計画で作られたものだからだ。これを接点だと仮定し、さらに推測を進める。仮にグラナードたちがピュアエレメンツGを追いかけていたとするなら、目的は機体ではなく乗っているパイロットだ。機体が欲しいならそもそもイワンを手放さないだろうからな。
 つまり、グラナードたちの目的はピュアエレメンツGのパイロット。そのパイロットが何者で、どこにいるかを俺から聞き出そうとしている。
 なら……。



 一瞬の間に推理を行ったハクバの瞳にわずかな光が戻る。


「ちっ、タフな野郎だぜ」


 自分の拳をさすりながら、ハクバを睨みつけるマテオ。


「おい、マテオ。そろそろ遊びは終わりにしようぜ。そろそろ薬で……」

「うるさい。もう少し遊ばせろよ。今度はこいつを試す」


 立ち合いの別の兵士の言葉を遮って、マテオはわざとらしくメリケンサックを拳にはめて見せる。


「今度はどこまで耐えられるかな?」


 その拳を見つめるハクバは観念したように声を絞り出す。


「ま、待ってくれ。そいつは耐えられそうにない……」

ⒸSUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design Ⓒ2006-2017 CLAMP・ST

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