「ガメラEXPO」開催中! ファンの情熱が集結させた、平成ガメラ奇跡のスリーショット! まだまだ続く「ガメラ生誕60周年プロジェクト」
2025.12.02 日本を代表する怪獣・ガメラがスクリーンに初めて姿を現してから、今年で60年の時が経った。この記念すべき年を祝して、KADOKAWAは「ガメラ生誕60周年プロジェクト」を発表。昭和ガメラ3作品(『大怪獣ガメラ』『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』)の4Kデジタル修復、「昭和ガメラ映画祭」、「平成ガメラ三部作」ドルビーシネマ復活上映など、イベントが続々。
そして、ガメラの歩みをプロップで振り返ることができるのが、現在有楽町マルイ8階イベントスペースで開催中の「ガメラEXPO」だ。
クラウドファンディングで甦った、平成ガメラ3体が並ぶ!


展示はアニメ『GAMERA -Rebirth-』の元になった「ガメラ2015」の雛形、『小さき勇者たち~ガメラ~』のガメラ、そして平成ガメラと、最新のものからさかのぼっていく趣向。雛形、着ぐるみ頭部、ロングショット用など実際に使われたプロップが所狭しと並んで知るが、本展の最大の見どころは、何と言っても「平成ガメラ三部作」で使用されたガメラ3体が並ぶ奇跡のスリーショットだ。
平成ガメラの着ぐるみを完全な形で蘇らせ、後世に残すことを目指す「ガメラ永久保存化プロジェクト」はファンの熱い支持を受け、クラウドファンディングによって2021年に『ガメラ 大怪獣空中決戦』(以下、G1)のガメラ、2024年には『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(以下、G3)のガメラの修復に成功。そして今年、ついに『ガメラ2 レギオン襲来』(以下、G2)のガメラも蘇り、今回の「ガメラEXPO」で初めて3体が揃って展示されることとなった。
3体の着ぐるみが並ぶことで、それぞれの特徴が明確に浮かび上がった。
G2ガメラはG1ガメラの着ぐるみを流用しているため全体のフォルムに大きな差はないが、一番の違いは頭部の大きさ。G1ガメラは「ガメラは子供の味方」という大映側と、シャープな怪獣を求める金子監督らスタッフ陣とで意見が一致せず、造形担当の原口智生氏が「その中間で作ってほしい」という依頼で制作することになった。頭部は比較的大きく目も大きくて、精悍な中にもどこかかわいらしさがある。その後G1の高評価を受け、スタッフ陣の希望がより反映されることになったG2ガメラは、頭部は小さく目つきもシャープになっているのがわかる。G1、G2どちらの造形も人気が高く甲乙つけがたいが、当時の造形スタッフの苦労が偲ばれる。
造形スタッフの髙濵幹氏によれば、G1ガメラは股の部分のもたつきが気になっていたそうで、G2ガメラ制作に際してその改良が施された。その差異も並べて見ると一目瞭然。
圧巻なのは巨大なG3ガメラの迫力。G1ガメラ、G2ガメラの甲羅は同じ原型を使っているのに対し、G3ガメラは原型を使用せず、甲羅のパーツを一枚ずつヒートプレスで成形した大ボリューム仕様となっている。頭部が小さいこともG3ガメラの特徴だが、それは体の巨大さ故で、並べてみると頭部のサイズはG2ガメラと大きく変わらないようだ。
ライティングによってG3ガメラの陰影が強くなっているなど、同時に存在しながら世界観を壊さないこだわりも感じる。3体が同時に並ぶことで初めて気づく点や体感できることが多く、ぜひ平成ガメラファンにこの驚きを体験してほしい。
内覧会は“平成ガメラの同窓会”──豪華スタッフ陣が集結して語り合った奇跡の時間
開催前に実施された内覧会には、平成ガメラを支えた造形チーム、スーツアクター、美術スタッフたちが次々と来場した。復元された着ぐるみを前に当時の思い出話が始まり、さながら平成ガメラ同窓会に。
左から、G3に造形スタッフとして参加し、クラウドファンディングではメインスタッフとして修復を担当している森田誠氏。
「平成ガメラ三部作」で怪獣デザインを手掛けた、『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』などのデザイナーとしても知られる前田真宏氏。
G1に感銘を受けG2に造形スタッフとして参加し、のちに平成ウルトラマンの怪獣造形も手掛けた市川拓氏。
『いつかギラギラする日』以降原口智生氏と多くの現場を共にしガメラに参加、G1ではギャオス造形の中心となり、G2では造形だけでなくアクション用の仕掛けも担当するなど、ガメラ造型部の中心メンバーとして活躍した織田尚氏。
G1、G2、G3、『小さき勇者たち』でガメラ造形の中心となり、「ガメラ2015」の雛形を作成、平成に作られたガメラ作品すべてに参加した唯一のスタッフであり、『GAMERA -Rebirth-』でも怪獣デザインを務めた髙濵幹氏。
「平成ガメラ三部作」および『小さき勇者たち』の造形技師としてガメラ造型部をまとめ、現在はプロップ修復師としても活躍する原口智生氏。
自身が率いる「モンスターズ」でソルジャーレギオンを造形し、東宝特撮映画では『モスラ3 キングギドラ来襲』以降造形プロデューサーとしてスタッフを統括した若狭新一氏。
ソルジャーレギオンやアヴァンガメラの機電を担当し、ゴジラシリーズなどで多数のギミックを担当してきた江久保暢宏氏。
復元した着ぐるみの展示ということもあり、当時中に入って演じていたスーツアクターたちも来場。左から原口智生氏、G1ガメラスーツアクターの鈴木潤氏、同じくG1ガメラスーツアクターの真鍋尚晃氏、「平成ガメラ三部作」特技監督の樋口真嗣氏。
両アクターは、ガメラの前傾姿勢を保つために苦労したという当時のポーズを再現してくれた。また、G1でギャオスのスーツアクターを務めた亀山ゆうみ氏も来場。宿敵ガメラを感慨深く見つめる亀山氏は、巨大怪獣を演じた女性アクターの草分け的存在。ギャオスはガメラとのバランスを考え、原口氏が女性に演じてもらうことを提案した名怪獣。ファンは敵怪獣の着ぐるみも復元を望んでいるに違いない。
「ガメラEXPO」を魅力的なイベントたらしめたのはクラウドファンディングに参加したファンの力であり、ガメラという作品がどれほどの情熱をもって作られ、どれほど熱量の高いファンに支えられてきたかを確認できる機会となった。


展示の終わりには、60周年を記念したアイテムがずらりと並んだグッズ販売コーナーも。Tシャツやアクリルキーホルダーといった定番品に加え、ガメラの名場面をモチーフにしたキャンバスアートや、歴代ガメラをデザインしたメモリアルグッズが来場者の目を引き、「亀の子たわし」とのコラボによる限定のガメラカラーたわしも好評だった。
さらに、『ゴジラ』のゴールドモデルが即完売したことも記憶に新しいユートレジャーが、ガメラのフィギュアを発売することも発表。展示されている昭和・平成それぞれのガメラの試作原型も見逃せない。
ドルビー上映も大盛況。金子修介監督と中山忍さんが60周年を語る
11月21日からは『ガメラ 大怪獣空中決戦』のドルビーシネマ復活上映がスタート。22日には、「平成ガメラ三部作」の監督・金子修介氏と、鳥類学者・長峰真弓役を演じた中山忍さんが上映後に登壇した。
ドルビー上映の迫力を「爆風を感じるよう」と表現した中山さんは、撮影当時のエピソードを披露。初日からフナムシがたかるペリット(未消化物体の塊)に手を突っ込む過酷なシーンがあったが、金子監督は無情にも助監督に「追加のフナムシを」と指示を飛ばしたとか。また、「平成ガメラ」の世界には亀が存在しない設定のため、ガメラをうっかり“亀”と呼んでしまい、監督に「亀じゃない!」と注意されたことも語った。これについて金子監督は当時を振り返り、「まぁ、亀ですよね(笑)」とコメント。さらに、中山さんは「昭和ガメラシリーズ」ではギロンの造形がお気に入りであることも明かした。
中山さんは『ガメラ 大怪獣空中決戦』でブルーリボン賞助演女優賞を受賞しており、その年の主演女優賞は姉の中山美穂さんが映画『Love Letter』で受賞。昨年末に美穂さんが亡くなり、姉妹そろって公の場に立ったのはこの時が最初で最後となった。「ガメラと、長峰という役に出会えたこと、そして姉と一緒に賞をいただけたことに本当に感謝しています」と作品に対する想いを語った。
最後は、令和の実写ガメラ映画を望む中山さんの呼びかけで会場全体が「令和ガメラ、見たーい!」とコール。中山さんから「どうですか?」と促され、金子監督の「頑張ります」という言葉で締めくくった。
ガメラファンにとって見逃せない60周年イベントはまだまだ続いていく。
12月5日(金)からは「昭和ガメラ映画祭」が開催。角川シネマ有楽町、センチュリーシネマ、T・ジョイ京都など各会場では、今回の昭和ガメラシリーズ4K化を監修した樋口真嗣監督らによるトークイベントが行われる予定。さらに、12月14日(日)『小さき勇者たち~ガメラ~』上映後には田崎竜太監督と造形担当・原口智生氏によるトークという貴重なイベントも。
また、「平成ガメラ三部作」関連では、『ガメラ2 レギオン襲来』の4K HDRドルビーシネマ版が、2026年1月16日からの上映に決定。続く第3作『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の上映も予定されている。
ガメラEXPO
開催期間:2025年11月22日(土)~12月7日(日)
開催場所:有楽町マルイ8Fイベントスペース「SPACE 4」
営業時間:11:00~19:00(最終入場は閉場30分前)
料金:一般(高校生以上)税込2,200円/小・中学生チケット 税込1,100円/一般(高校生以上)ペアチケット 税込4,200円/限定グッズ付きチケット 税込5,500円



©KADOKAWA ©KADOKAWA NH/1995 ©KADOKAWA NHFN/1996 ©KADOKAWA TNHN/1999 ©2006「小さき勇者たち~ガメラ~」製作委員 ©2023 KADOKAWA/ GAMERA Rebirth Production committee



























