HOME記事キャラクターモデルゴジラ 東京にあらわる。『ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション』を、モノクローム調の塗装で銀座襲撃を表現

ゴジラ 東京にあらわる。『ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション』を、モノクローム調の塗装で銀座襲撃を表現

2025.11.03

ゴジラ Re:イマジネーション【海洋堂】●山田卓司 月刊ホビージャパン2025年12月号(10月24日発売)

ゴジラ 東京にあらわる

ゴジラのプラモデルのメイン画像

待望の超絶キット「初代ゴジラ」に情景王が挑む!

 海洋堂が放つ渾身のプラキット「ゴジラ Re:イマジネーション」。1954年公開版『ゴジラ』の宣材スチールを端緒に、造形師・松村しのぶ氏が歴代ゴジラの要素を融合し“太古の巨大生物が東京に現れた姿”として再構築した意欲作である。その怪獣王の造形美を託されたのは情景王・山田卓司。銀座和光の時計塔を配した情景演出の追加とモノクローム調の塗装により、唯一無二の存在感を放っている。

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット “ARTPLA SCULPTURE WORKS”

ゴジラ Re:イマジネーション

製作・文/山田卓司

ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション
●発売元/海洋堂●8800円、10月予定●約18.5cm●プラキット

ゴジラのプラモデルの全体画像
ゴジラのプラモデルの後ろ姿の全体画像
▲ キットサイズは高さ約18.5cm、横幅約15cm、奥行き約13cm。1954年版『ゴジラ』の銀座襲撃のイメージで、足元の崩壊した日劇ビルや国鉄高架線が造形されている。作例は木製ベースに載せ、ゴジラの周囲にビルや瓦礫を追加したので高さ約22cm、横幅約26cm、奥行き約16cmと若干大型化した
ゴジラのプラモデルの顔アップの画像
▲ 陰影が強調されたモノトーン画こそが、初代ゴジラの恐怖感を際立たせる要素である。作例のゴジラもモノクローム塗装を施しているが、電車などのストラクチャー系はワンポイントで色を軽く着色した
ゴジラのプラモデルのアオリの画像
▲ 1954年版の宣材スチールで見られる「電車を掴むゴジラ」をオマージュした造形。瞳を描き込むと怖さ倍増
ゴジラのプラモデルの顔アップの画像その2
▲ 耳、眼窩上隆起などの特徴は初代を彷彿させつつ、目や口元はさらにリアルに形作られている
ゴジラのプラモデルの背びれアップの画像
ゴジラのプラモデルの尾のアップ画像

▲ 背びれの一枚一枚や、尾の節くれだった皮膚も省略されることなく造形されている。キットはベースとなるボディパーツに体表パーツを貼り付けていく構造。パーツの境目はモールドに追従するよう曲がりくねっており、分割線が目立ちにくいのがポイント

ゴジラのプラモデルの足元アップの画像
▲ 雄々しく鋭い怪獣王の爪と、無惨に踏み荒らされた瓦礫。これぞゴジラ立体物の醍醐味
ゴジラのプラモデルの素組みと作例の比較画像
▲ 素組み(左)と並べて。本キットはディオラマ映えする資質に優れており、作例を参考に銀座のビル群を足してやれば、その手間にしっかり応えてくれるはずだ
ゴジラのプラモデル作例での和光ビルのアップ画像
ゴジラのプラモデル作例での森永広告塔ビルのアップ画像
ゴジラのプラモデル作例での森永広告塔ビルの広告アップの画像
▲ 作例では銀座を象徴する和光ビルと森永広告塔ビルを追加。和光ビルは情景王自ら実地調査で撮影した資料写真を基に、各種プラ材でそれらしく製作。森永広告塔ビルの建物もプラ材で自作したが、「森永チョコレート/森永ミルクキャラメル」のネオン広告は3Dプリントで製作したものを載せている
ゴジラのプラモデル作例での和光ビルの俯瞰アップ画像
ゴジラのプラモデル作例での森永広告塔ビルの斜俯瞰のアップ画像
ゴジラのプラモデル作例での国鉄高架線のアップ画像
▲ 踏み荒らされた国鉄高架線はキットのもの。素晴らしい造形なのでそのまま活かしている
ゴジラのプラモデルの製作途中の画像その1
ゴジラのプラモデルの製作途中の画像その2
ゴジラのプラモデルの製作途中の画像その3
▲ 製作途中。今回のゴジラは素晴らしい造形と仕草をしているので、ポーズ変更などは行っていない。合わせ目を消した程度だ。ベースの色の境目を見れば、キットにどんなストラクチャーが足されたのかがよくわかる

 待望の『ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション』。キットは初代『ゴジラ(1954)』をモチーフとしていますから、まずは映画本編をビデオソフトで何度か観直したり、『1954「ゴジラ」研究極本』(ホビージャパン刊)を読んだりして(情報量が多いので少しずつ読み進めました)、改めて「ゴジラ」を堪能。数種類の着ぐるみやギニョールを用いて撮影されたゴジラを、このキットではイメージ豊かに再構築した造形が素晴らしい。ゴジラファンとして、造形ファンとして、原型師の松村しのぶさんのファンとして、そしてプラスチックモデルファンとして大満足の一品です。

 多方向から分割された体表パーツは隙間なくピッタリ嵌合され、普通のプラスチックモデル用接着剤(流し込み系ではなくて樹脂入り)を塗って撫でてやるだけで合わせ目は簡単に消すことができます。塗装をしやすくするために顔、両腕、左手首、左右列の背びれ、電車は塗装終了後に組み立て/接着しています。完成後は全く見えなくなるのですが、舌など口の中もしっかり造形されているところがうれしいポイント。

 素晴らしい造形に敬意を払って、素直にそのまま組み立て塗装するつもりでしたが、自分の作品とするには少し物足りないかも? と考えてベースを拡張することにしました。キットのベースは鉄道の高架橋、架線柱、日劇と思われる建築物など過不足なく纏められていますが、1954年当時の銀座を象徴する建築物として和光ビルと森永広告塔(地球儀ネオン)ビルを追加することにしました。和光ビルは現在も変わらない姿なので銀座に行った折に各方向から撮影。森永広告塔ビルは現在は建て直されていますので昭和時代の画像を集めて研究しています。この広告塔はタイアップの関係か、破壊された銀座の夜景のなか、煌々とネオンが灯っています(笑)。いつもの各種プラ板、プラ材による自作。あくまでも引き立て役なので旧オーロラのキットをイメージして小さめのサイズにアレンジしています。幸い森永広告塔を3Dプリントで「合同会社MODEL SQUAD」さんに作ってもらえることになり、こちらを活用させていただきました。大感謝です。地面はキットとタッチを揃えるため、タミヤ「情景テクスチャー粘土」を薄く延ばして瓦礫を彫刻しました。

 塗装は街灯など地上側からの光源に照らされている雰囲気で塗装。全体的に映画に倣ってモノクロームを意識していますが、広告塔や電車、高架橋の煉瓦など軽く着色しています。

ゴジラのプラモデルの全体画像

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット “ARTPLA SCULPTURE WORKS”

ゴジラ Re:イマジネーション

製作・文/山田卓司

ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション
●発売元/海洋堂●8800円、10月予定●約18.5cm●プラキット

▼ 関連記事はこちら

TM & © TOHO CO., LTD.

この記事が気に入ったらシェアしてください!

山田卓司(ヤマダタクジ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2025年12月号

ご購入はこちら

月刊ホビージャパン2025年11月号

ご購入はこちら

月刊ホビージャパン2025年10月号

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー