ニッサン フェアレディZ バージョンST
2021.07.16沈黙を破り蘇った新世紀のZ。
Z32生産終了から2年間のブランクを経て登場したZ33こと5代目フェアレディZ。販売価格を抑えるため、プラットフォームをスカイラインと共有にしたことで、Zならではの独自性は薄まったものの、その姿は再び初代Zの面影を感じさせる未来的で洗練されたデザインへと一新された。
作例は5代目Zのトップグレードをキット化した「ニッサン フェアレディZ バージョンST」を過去にフェアレディZのフルスクラッチにも挑んでいる竹内陽亮が製作。「Zといえばマルーン!」ということで、Z33の限定色として設定されていた「プレミアムミスティックマルーン」をボディカラーに選択し、実車用の塗料で塗装するという荒業で、絶妙な色彩を再現した。
■製作
さて、今回の製作に関しては、特に大きな加工は施さず、塗装に力を入れて進める方針です。まずはボディパーツの下地調整から始めます。スジ彫りの彫り直しやパーティングラインの処理、ヒケの修正等、基本的な作業を施しておきます。前後ホイールアーチにある、僅かなオーバーフェンダーは、プラ板細切りで再現。また、左側リアフェンダー上にあるアンテナはプラ棒を細工した物で追加工作しました。そして今回は特別仕様車として仕上げるため、別キットのニスモ仕様の物から、形状の近いホイールを流用しております。
■塗装
ボディカラーは、Z33独自の限定色である「プレミアムミスティックマルーン」で仕上げます。まずは模型用塗料での再現を試みましたが、茶色や紫系に変化する独特の深みを出すのは難しく、実車用塗料を使用することとします。しかしながら実車用塗料は模型用に調整された物とは違い、取り扱いは難しい一面があります。シンナー成分が強いので、まずは頑強な下地が必要。サーフェイサー塗装後に近似色であるMr.カラー#100マルーンで下塗りし、さらにGX100スーパークリアーⅢを重ね塗りして入念な下地処理を施しておきます。そして「プレミアムミスティックマルーン」を丁寧に塗装し、再度スーパークリアーⅢを数回重ねることで、しっかりとしたトップコートを施しておきます。この時のクリアー塗装は、通常より薄めに希釈し、適度な距離から時間をかけて吹き付けるのが肝心。塗装面をしっかり観察しながら作業を進めます。また、これら一連の流れは、何度もテストした上で決定しました。特殊な塗料を使う場合は、事前のテストが大変重要ですね。
■仕上げ
その後、しっかりと乾燥期間を取り、研磨して仕上げます。コンパウンド処理の前にまずは塗装面にペーパーがけを行いますが、2000番ペーパーや3000番研磨スポンジシート等を使って表面を平滑にします。この時、あまり強過ぎない程度に研磨するのが肝心で、深いキズが付かない様に行います。コンパウンドはタミヤ製の「粗目、細目、仕上げ目」を順番に使用するのですが、鏡面仕上げに近道はなく、各段階でしっかりと研磨して進めます。中でも特に、最初に使う「粗目」が重要で、この段階での入念な作業が、最終的な仕上がりを左右するように感じますね。そうして仕上がった塗装面に、表面保護としてハセガワトライツール「コーティングポリマー」を塗り込んで完了となります。
■最後に
フェアレディZは、長年にわたり日本が誇る、生粋のスポーツカーのひとつ。そしていよいよ、年内に新型車の発売が予定されています。先立って発表されたプロトタイプは、各所に伝統的な形状を引き継ぎつつも現代風にアレンジされた印象で、ボディラインも美しく精悍な仕上がりですね。街中で走行中の新型フェアレディZが見られるのが楽しみであります。
タミヤ 1/24スケール プラスチックキット
ニッサン フェアレディZ バージョンST
製作・文/竹内陽亮
ニッサン フェアレディZ バージョンST
●発売元/タミヤ●2750円、発売中●1/24、約18cm●プラキット
Zの未来
タミヤからは現行モデルであるZ34こと6代目Zも発売中。さらに実車では2020年末に7代目となる新型フェアレディZのプロトタイプも発表。2021年に発売が予定されているので、こちらをプラキットで楽しめるのもそれほど遠い未来ではないだろう。
NISSAN フェアレディZ(Z34)
NISSAN フェアレディZ(Z34)
●発売元/タミヤ●3740円、発売中●1/24、約17.6cm●プラキット
竹内陽亮(ヨウスケタケウチ)
若い頃、クワガタムシの採集に沖縄まで行ったりしてました。夏が来るとついつい山に行ってしまうこの頃ですね(笑)。