HOME記事スケールモデルFORD GT40 Mk.Ⅱ #2 Bruce Leslie McLaren/Chris Amon

FORD GT40 Mk.Ⅱ 
#2 Bruce Leslie McLaren/Chris Amon

2021.07.16

FORD GT40 Mk.II【モンモデル 1/12】 月刊ホビージャパン2021年8月号(6月24日発売)

1/12カーモデルに対応した実直な仕上げでル・マン優勝マシンを再現

 2台目の作例は畠中浩が担当。MAX渡辺の作例とは打って変わって光沢&ライトアップギミック搭載の実直なカーモデルスタイルとともに、1966年のル・マン24時間レースの優勝車である2号車のカラーリングとマーキングで仕上げてもらった。
 本来であればデカくて精密で超スペシャルなプラキットである「1/12スケール カーモデルキット」。それをスナップフィットにしたMENGモデル製キットはいかなるものなのか、百戦錬磨の月刊ホビージャパンカーモデラー視点によるキットレビューとそれに伴う対応方法なども詳しくお届けしていくので、隅々までじっくりご覧いただきたい。

SIDE

FRONT

▲ヘッドライトがただの透明パーツというのがちょっといただけないということで、レンズのカットを作っておいた。ライトパーツにワセリンで離型処理。タミヤのエポパテを押し付けてプラ棒で作った取っ手を取り付ける。硬化したらゆっくりと剥がし、ワセリンはきれいに拭き取っておく。剥がしたパテにもう一度パテを薄く盛り、ナイフや彫刻刀を使って必要なカットの模様を入れる。その後、ガラスパーツの内側にGSIクレオスの離型剤を塗布してから少量のUVレジンを盛り、作ったレンズカットの型を空気が噛まないよう押し付け、UVライトで硬化させる。型を剥がすとカットがコピーされるので離型剤を拭き取ったあとクリアーで仕上げれば写真のようなライトが完成

ライト内蔵させる

▲ル・マンのマシンはどうしてもライトを光らせたくなる。あちこちに配線を出したくなかったので、それぞれのライト周辺で完結するよう内蔵させた。各部LR44を4個セットしてそれぞれにマイクロスイッチを取り付けてある

▲エキパイの接続部はスジ彫りの追加と市販のリベットを貼り付けている
▲エキパイは十の字のピンになっていたりして非常に組み立てやすい。黒い部分は黒瞬着を使った溶接痕
▲ドアは内張りがボディと当たりやすい。そのままでも一応大丈夫ではあるが、塗装の剥がれにも繋がるため上のように当たる部分を大きく削っておく
▲この車のチャームポイントであるドア。上部の屋根部分、実車はかなり薄くなっているので削り込んでおくと見た目が良くなる

▲シートのリベットはこのようなプレートを軟質樹脂のシートに裏からはめ込むようになっている。形状の都合で穴は開いていないので、大変だが一個ずつ開口しておくとよりリアルになる

▲フロントタイヤ後方は黒線のラインが正解。今回は黒ボディなので目立たないが、どうしても放っておけないので修正してしまった
▲ただし、その加工は楽ではない。実車通りには大変なので、シャシー側を斜めに落としてプラ板でフタをした。黒ボディなので意外に上手く行った
▲修正後の写真。タイヤ後方と前方もプラ板、前方のタイヤとの隙間も気になったのでプラ板を追加して形状を修正してある
▲ワイパーはとても簡単な形状のパーツだったので、資料を参考に基部とブレード以外、すべて作り直した
▲各部が開くのにここだけスジ彫りなことに違和感があったので、あまり効果的ではないがハッチも開閉式にした。ヒンジは実車よりも簡略化したが、実車同様にノブを回してロック出来るように作ってある
▲前後のダンパーは0.5mmプラ板でフタをした後、シャフトよりひと回り大きめの穴を開けてシャフトがきちんとダンパーの中心に通るようにしている
▲ホイールは単なるビス固定から、スピナーのほうに手持ちのビスを固定し、車軸側にナットを仕込んで実車の雰囲気とドライバーを使わなくても取り外しが出来るようにした
▲タイヤロゴとラインはいずれも塗装で表現。ラインはミッチャクロンを塗ってからGSIクレオスのスカイブルーを筆塗り。ロゴはカッティングマシンでカットしたマスキングシートを使って塗装してある

 1/12スケールのカーモデルは作るのが難しそうで、ちょっと敷居が高いですよね。今回製作した「1/12 Ford GT40 Mk.Ⅱ」はその辺を考慮した内容となっていて興味のあったキットでした。要は、スナップフィットが取り入れられていて、古いビッグスケールキットにありがちな組み立ての難しさがかなり軽減されています。とはいえこれだけの大きさの箱車。実際に作ってみると楽な部分と難しい部分がありました。
 スナップフィットに関しては仮組みが楽ですし、強度が必要な部分はビス固定になっているので確実に組み立てられるのですが、さすがにこの大きさなので、ボディの各開閉部分は合わせが上手く行かないことが多かったですねぇ。プロポーションに関しては好き嫌いが分かれるかもです。作例では特にフロントタイヤ後方のラインを大きく変えましたが、一部をいじるとほかも苦しくなるので、どこまで修正するかは難しいところです。
 ちなみに一番大変だったのはフロントカウルの取り付け。車体右側に給油口があるのですが、これが開閉時にそのままではカウルを外すことが不可能なくらい干渉したので、ここは事前にしっかり確認、開口部を広げるなどの修正をしておきましょう。逆にエンジン部分はミニカーチックなディテールではあるものの、エキパイなども含めしっかり組み立てることができました。
 ガラス関係はすべてはめ込みや他のパーツで押さえ込む設計なので、難しい接着に悩まされることはないですね。あとは配線関係。シートなどもそうなのですが、軟質樹脂が多用されています。配線パーツに関しては塗装をしなければならず、そのままだと塗装が剥がれやすいためいろいろなプライマーを試した結果、600番程度のスポンジヤスリで磨いたパーツにミッチャクロンを塗布するのがベストでした。
 いろいろとネガティブなことも書いちゃいましたが、このご時勢にこういうキットが作れるのはとてもありがたいことなので、次も期待したいですね!

MENGモデル 1/12スケール プラスチックキット

Ford GT40 Mk.Ⅱ

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

FORD GT40 Mk.Ⅱ
●発売元/MENGモデル、販売元/GSIクレオス●55000円、発売中●1/12、約33cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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