『ブレンパワード』のオーガニック・マシン「グランチャー」を可動部の改修や丁寧な工作でシャープで繊細な雰囲気を強調した作例に仕上げる!【サンライズメカニック列伝】
2025.09.23サンライズ・メカニック列伝 第74回/グランチャー【グッドスマイルカンパニー】●田仲正樹 月刊ホビージャパン2025年10月号(8月25日発売)
グランチャー
(『ブレンパワード』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回は2年8ヵ月ぶりに『ブレンパワード』からオーガニック・マシンが登場。アンチボディ「グランチャー」の作例をお送りしよう!
太平洋に沈む謎の巨大遺跡オルファンが生んだ、円盤状物質オーガニック・プレート。そこからは未知の生体マシン「アンチボディ」が誕生するが、そのほとんどが「グランチャー」としてリバイバルし、オルファンに協力する人々「リクレイマー」の戦力として使われる。性能や機能はブレンパワードと大差はないが、操縦するには搭乗者が機体に心を同調させる必要があり、神経が疲労した結果グランチャーに取り込まれ、精神に異常をきたすパイロットも多い。オルファンの意志に従わないブレンパワードとは、産まれた瞬間から憎みあう者同士である。
作例は田仲正樹が私物のキットを投入して製作。良好なフォルムはそのままに、各部の肉抜きや合わせ目を処理し、シャープで繊細な雰囲気を強調。装備の交換をスムーズに行うための可動部の改修など、提案的な要素も盛り込みながら、計2体をリバイバルさせている。
[製作途中状態]
良好なフォルムと精密感のあるディテールを併せ持ったMODEROIDグランチャーは、同ブレンパワードから関節機構の改良が試みられ、作りやすさも向上している。一方で、プラスチックの厚みが感じられるパーツのフチやエッジ、ダボやピン、肉抜きなどが目立つ箇所があり、オーガニック・マシンの生体感や繊細さがわずかに損なわれている。作例はキットのフォルムはそのままにプラの厚みや肉抜きを細かく調整・処理し、同時にABS樹脂製の可動部を強化・改修して完成度を引き上げたもの。読者諸氏におかれては、ぜひ本記事を参考にあなただけのグランチャーをリバイバルさせ、ブレンパワードと並べて楽しんでいただきたい。
[グランチャー/グランチャー カナン・ギモス搭乗機]
発生率がもっとも高いグランチャーが白色の個体で、いわゆる一般機に該当。主人公の勇も、リクレイマー所属時代に搭乗している。またその頃の勇のパートナー、カナンのグランチャーも製作。勇機以前に試作したパーツを組み上げ塗装したもので、工作内容は勇機とほぼ同様。こうして複数の機体が並ぶことで世界観そのものがリバイバルされ、互いの魅力も引き立つのである。
[頭部]
形状は非常に良好で合わせ目も見えなくなるが、後頭部の4枚のプレートにある丸い突き出しピンの跡がやや目立つので瞬間接着剤で埋めている。同時に面出しとヒケの修正をしておくとよいだろう。
[胴体]
首部品の肉抜きはエポパテで埋め、肩付け根のN12、17は塗装後に接着できるように加工。胸部側面の合わせ目を消すと胸のスリットと腹部の塗り分けに細かいマスキング作業が必要となるため、あえて消さないという選択肢もあるだろう。作例は合わせ目を消し、塗装時にはマスキングをしている(「超絶に難しいわけではないが面倒」とのこと)。腰部は各装甲の2段エッジやB3、6のフチの厚さがやや気になるため、それぞれ加工を施した。
[腕部]
肩装甲はフチの2段エッジを消してシャープ化。肩関節ブロックと上腕部は接着し固定。同時に3mmポリキャップを上腕に埋め、ポージングや装備交換の際にヒジ関節ブロックを引き抜けるように加工。前腕のヒジ関節内はスナップフィット用のダボを削り、エポパテで整形。同時にN7をポリ製のボールジョイント受けに交換して関節の付け外しを容易にした。同様に手首関節のN5も、プラパイプを被せたポリキャップに交換。拳はパーティングライン付近のディテールをナイフやスジ彫りツールで彫り直したが、一部のパーティングラインはディテールの一部に見立て、あえて残している。
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田仲正樹(タナカマサキ)
本誌ガンダム班と「宇宙船」誌の映像倶楽部に所属。「鉤爪の機体と赤い機体ももちろん準備中」とのこと。