『ジュラシック・ワールド』でも大人気な「モササウルス」を基に「メガプテリギウス」の骨格を製作しその魅力に迫る!!【プラノサウルス復元プロジェクト】
2025.09.20
プラノサウルス復元プロジェクト/メガプテリギウス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2025年10月号(8月25日発売)
▲しばしば誤解されるが、メガプテリギウスやモササウルスといったモササウルス科は恐竜ではなく、水中生活に適応したトカゲに近いグループである。頭骨の基本的なつくりはオオトカゲ類によく似ており、「海トカゲ」と俗称されることもある。「メガプテリギウス」の属名は「巨大な翼」という意味で、手足の変化したヒレがモササウルス科のなかでも際立って大きいのが特徴だ
プラノサウルス復元プロジェクト
第五回 メガプテリギウス
実際の化石や骨格図を基に、BANDAI SPIRITS「プラノサウルス」の骨格ビルドをよりリアルに“復元”する連載企画「プラノサウルス復元プロジェクト」。
第5回は『ジュラシック・ワールド』で大人気となった海生爬虫類モササウルスの近縁で、和歌山県有田川町で尾を除くほぼ完全な骨格が発見された「メガプテリギウス」を製作する。
G. Masukawa
模型大好きサイエンスイラストレーター・ライター。恐竜の骨格図は国際的に高く評価されており、世界各地の博物館やイベント、論文を飾っている。主な著書に「恐竜のきほん」、「ディノペディア」(誠文堂新光社)、「新・恐竜骨格図集」(イースト・プレス)。
プラノサウルス モササウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1870円、発売中●約29.6cm●プラキット
■使用ツール
▲・ニッパー ・デザインナイフ ・エッチングソー ・彫刻刀 ・各種ヤスリ ・ピンバイス
モササウルス骨格ビルド(改造前)
▲モササウルス属は最大かつ最後の種であるモササウルス・ホフマンニイ、よく似た姿だがより古い時代のモササウルス・ミズーリエンシス、ほっそりとしたモササウルス・レモニエリの3種が知られている。M. ホフマンニイは部分的な骨格しか見つかっていないが、残る2種はほぼ完全な骨格がいくつか知られており、それらの情報を組み合わせることでM. ホフマンニイも復元可能だ。キットの骨格ビルドはそうして復元されたモササウルス・ホフマンニイの骨格を非常によく表現している。一方でメガプテリギウスはモササウルス・ホフマンニイと比べるとヒレが大きい上、小顔でほっそりした体型のようだ。製作にあたってはプロポーションの変更がカギとなる
▲映画『ジュラシック・ワールド』ではすさまじい巨体の持ち主として登場したモササウルスだが、実際の全長は12mほどのようだ。メガプテリギウスは全長7mほどで、さまざまな特徴から、中~小型の魚の群れを襲っていたと考えられている
▲メガプテリギウスのヒレはモササウルスとよく似ているが、体に対してはるかに大きい。小回り重視だったようだ
▲メガプテリギウスは眼窩が大きく、視覚もよく発達していたようだ。有田川町で発見された化石には、歯のエナメル質がよく保存されていた
▲メガプテリギウスはモササウルス科のなかでも特にモササウルスと近縁で、骨格の基本的なつくりはよく似ている。胴体はあまりくねらさず、尾びれを主に使って泳いでいたようだ。胴椎の棘突起の特徴から、肉質の背びれを持っていた可能性も指摘されている
骨格ビルド(改造後)
▲メガプテリギウスの骨格は尾のほとんどが失われていたが、それ以外はほぼ完全な状態で、しかも関節がつながった状態で保存されていた。モササウルスとのプロポーションの違いに注目だ
次ページ──製作詳細
© BANDAI SPIRITS