HOME記事キャラクターモデル唯一のライト級AT「ツヴァーク」が1/35プラキットで登場! キットのポテンシャルをそのまま程よいウェザリングでキットレビュー!【装甲騎兵ボトムズ】

唯一のライト級AT「ツヴァーク」が1/35プラキットで登場! キットのポテンシャルをそのまま程よいウェザリングでキットレビュー!【装甲騎兵ボトムズ】

2025.09.10

X・ATL-01-DT ツヴァーク[ST版]【ウェーブ 1/35】●桜井信之 月刊ホビージャパン2025年10月号(8月25日発売)

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」特撮トビラ

久々にL級ATがプラキット化!
1/35ツヴァークをレビュー!

『装甲騎兵ボトムズ』の登場メカの中で唯一のL級ATであるツヴァーク。クエント編での活躍が印象深くも、立体化機会に恵まれていないモチーフであった。ところが、TVアニメ放送から42年を経た2025年、ついにウェーブが1/35プラキットを発売してくれたのだ。ファン待望の「ツヴァークのサンゴー」を作るは、ベテランの桜井信之。キットのポテンシャルをそのまま尊重して製作し、程よいウェザリングでお化粧を施したツヴァークをレビューする。

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」
▲ツヴァークは、秘密結社が惑星クエントに持ち込んだ試作L級AT。特殊プラスチックを用いることで機体重量を大幅に軽量化。抜群の機動性を誇るものの、そのぶん操縦に相当の熟練を要する。固定武装のガトリングガンを両腕に搭載するほか、ハンディソリッドシューター、砂漠走行用のサンドローダーなどのオプションを有する
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」背面
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」頭部レンズアップ
▲頭部のレンズは、ST版では非クリアーパーツ製となる。作例ではウェーブ H・アイズ等に置き換えて透明化。レンズの奥の絞り風ディテールも精密に造形されているのがわかる
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」前腕ガトリング
▲前腕の先端を引き出してから90度倒すと、ガトリングガン(11ミリ3連装機関銃)が出現。それぞれの砲口がしっかり開口されている
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」靴裏
▲靴裏は設定通りグライディングホイールのない、ツルンとした造形
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ヒジ関節引き出す前
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ヒジ関節引き出し
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ヒジ関節引き出して曲げる

▲本キットのチャームポイントはヒジ関節。引き出し式になっており、可動性能を担保しつつ設定画イメージから逸脱しないように配慮されている

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」とラビドリードッグ
▲今回のツヴァークと並行製作した、同シリーズのラビドリードッグと。設定全長約4.1mのH級ATと比較すると、作中唯一のL級ATである本機の特異な小ささ(設定全長約2.9m)が際立つ。キットはほとんどの部分が新規設計(一部ポリキャップのみ既存シリーズと共通)。2頭身の独特のフォルムを忠実に再現した、ツヴァークの決定版と言って差し支えのないクオリティとなっている
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」とラビドリードッグ仕上げ段階の一枚
▲仕上げ段階の一枚。キットのプロポーションは申し分ないので、合わせ目を消した程度でストレートに製作。そのぶん、油彩で丹念にウェザリングを描き込み存在感を高める方針で仕上げた

サンドローダー装備

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローダー装備
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローダー装備背面

▲劇中で装備していたサンドローダーも付属。履帯部分は転輪と一体成型ながら、ディテールは劇中イメージ通りに造形されている

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローラー固定前
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローラー固定後

▲サンドローダー前方の固定部が可動。それをつま先のダボに引っ掛け、かかとの留め具パーツを取り付ければ装着完了

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローダー腹帯部アップ
▲履帯部には砂漠をイメージした汚しを派手に入れた
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」サンドローダー装備ポージング例
▲サンドローダーが前後に長いため装着状態ではアクションポーズにやや制限が生じるものの、写真程度の角度なら無改造で開脚できる
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ポージング例
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ハンディソリッドシューターアップ
▲専用に造形されたハンディソリッドシューターも満点の造形。キット付属品以外にもツヴァークは劇中でさまざまな装備を持っているので、ハンディサーチライト(第42話)をスクラッチしたり、第51話で装備したヘビィマシンガンや、ストライクドッグと同形状のソリッドシューターなどを他から調達するなどして、待望のキットを全力で遊び尽くしたいところ
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ハンディソリッドシューター持ち上面
▲肩は写真の位置まで引き出すことができる。手首軸も角度のついた差し替えパーツが複数用意されているので、武器の両手持ちがたやすく表現できる
桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」ポージング例2
▲かつてのマックスファクトリー 1/24ソフビキット箱絵風に(ちなみに本記事のメインカットはウェーブ 1/35レジンキットの箱絵オマージュ)。保持力の高いポリキャップと豊富な関節により、こんな派手なポーズも取れちゃうのだ

 ここ数年、新製品ラッシュが続くボトムズモデル界隈。1980年代後半から90年代にかけて、ひたすらATモデリングを追い求めた世代にとっては、夢のようなキットがリリースされ続けています。そして2025年、遂にボトムズ模型メーカーの雄・ウェーブから待望の新キット、1/35ツヴァークが発売されました。
 ツヴァークはもっともキット化に恵まれていないモチーフであり、ウェーブがレジンキットを発売したのは1991年(1/35)と2013年(1/24)、ユニオンの1/60プラキットを同社が引き継いで展開したのも90年代中盤の話と極めて稀であり、ツヴァークの「プラキット」が模型店の店頭に並ぶのは実に数十年ぶりということになります。
 ウェーブの1/35ボトムズシリーズは新製品が発売されるたびに作っていますが、ドッグ系ATは基本構造が同じであるためさすがに見慣れたものの、ツヴァークはあらゆる構造や構成がこれまでのキットとは異なるため、組み立て時の新鮮さとワクワク感は言葉で言い表せません。夢中になって組んでいるうちに、いつの間にか完成させてしまいました。ここまで虜にしてくれるのは、デザインと設計の目新しさだけではなく、同社が数多くの1/35シリーズで培ったノウハウを、さらに進化させたような感動が随所に詰まっているからだと思います。特徴的なサンドローダーもギミック、造形ともに申し分ありません。
 キットの分割も的確で、未塗装でもほぼ設定通りの色分けがされており、肩アーマー側面の白ラインのような、パーツ分割が物理的に不可能な箇所以外はマスキングもほぼ必要なし。マーキングは同社の別売デカールから適度にチョイスし、あまり主張しすぎない程度に貼っています。劇中では最新鋭機のため、当初ウェザリングは控えめにと考えていたのですが、やはりボトムズモデリングとの相性は抜群なので、見映え優先で汚しています。
 機体はダークブルーとホワイトの2トーン配色なので、太モモや前腕のホワイトは油彩数色を使いタッチを描き込むように汚すことで、メインのダークブルーとの色温度差の乖離からくる違和感が出ないように汚してみました。最後に、クエント的な砂汚れを脚周りを中心に施して完成です。
 しかし、やはりツヴァークだけでは寂しいので、同シリーズ第1弾キット、1/35ラビドリードッグも同時に製作しました。こちらは色設定よりも青の色味を濃くし、若干赤の要素も加えて「ほんのり紫より」のブルーで塗装しています。残るウェーブの1/35シリーズにはファッティーが控えているようです。当然そのバリエーションも期待できるはずなので、まだまだお楽しみは続きますね!

桜井信之製作「ツヴァーク[ST版]」

ウェーブ 1/35スケール プラスチックキット

X・ATL-01-DT ツヴァーク[ST版]

製作・文/桜井信之

ツヴァーク[ST版]
●発売元/ウェーブ●4950円、発売中●1/35、約9cm●プラキット


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