「ピグメントブラッシュペン」でガールズプラモをかわいくメイクアップ!
「プラモデルの塗装」というと塗料瓶に入った塗料を用いて筆やエアブラシで色をつける方法をイメージしますが、最も簡単な塗装方法に「ペンツール」があります。今回紹介するステッドラー社製の「ピグメントブラッシュペン」は色数ラインナップが豊富で、プラスチック素材にも使えるというなかなかのスグレモノ。いろいろなジャンルのプラモデルに使って、気楽に塗装を楽しんでみることにしました。
(解説/けんたろう)
「ピグメントブラッシュペン」に新色24色が発売!
ピグメントブラッシュペンは顔料系の水性塗料が充填されたペンツール。塗布後の重ね塗りにも対応しており、ナイロン製で少し柔軟性のある筆状のペン先をしているため塗装箇所を狙いやすくなっています。
色のラインナップが豊富なのはもちろん、そのウリは耐光性。紫外線による色の劣化が起きづらく、塗装した色から変わってしまうことの少ない塗料にもなっています。色自体も下地にもよりますが乗りが良く、発色しやすいのも良いところです。
以前までの36色に加え、今回新色が24色も追加されて全60色になりました。追加色は肌などに使える淡いアイボリートーンやパステルグリーン、スカーレットレッドなど絶妙な中間色が増えたので、ワンポイントで追加する色としても有用なアイテムになるでしょう。
ピグメントブラッシュペン
●発売元/ステッドラー●各330円、発売中
ピグメントブラッシュペンをサポートするアイテムとして、ブレンディングリキッドという製品があります。これはブラッシュペンのインクを溶かす効果があります。塗った部分をぼかしたり、あるいは2つの色を溶かし合わせて混色したりが可能で、深みのある表現をすることができます。
ブレンディングリキッド
●発売元/ステッドラー●1320円、発売中●50ml
ガールズプラモに塗装していこう!
早速ステッドラー ピグメントブラッシュペンを使ってプラモデルを塗装してみましょう。まずはガールズプラモを塗ってみます。広い面積を塗装するのではなく、基本は成型色を活かした部分塗装を行っていきます。肩の力を抜いて、軽くペンを振るっていきましょう。
▲ コトブキヤ製のガールズプラモは色分けもよくできており、ガラッと色を変えるのでなければ広い面積を塗る必要はありません。色分けがしっかりしているからこそペンツールの部分塗装が加点式でどんどん効いてくるわけです
フレームアームズ・ガール ドゥルガーI 〈キャットアーマーVer.〉
●発売元/コトブキヤ●11000円、発売中●プラキット
■肌の塗装
▲ この5色は新色のなかでもスキントーンとして推される肌を塗るのにちょうどいいカラー。白い紙の上に書いてみると、ややピンクがかった色や、ハイライトに使いやすそうな明るめの色などが揃っています。上から、ダスティーローズ、デューン、サンド、アイボリー、ライトサンドで、アイボリーはさすがにちょっと溶け込んでいますが、色のついたところに塗ると下地を透かしながらハイライトとして機能します
▲ ペン先は細目で狙いやすく、おへそのくぼみなどは溝に沿って簡単に塗布することができます。ダスティーローズはこうしたくぼみに使うと影色として機能します
▲ 塗っただけで境目がはっきり出るので、塗布後にぼかすとより自然になります。汚れるのでちょっと注意ですが、指ではらって余分を落とすのが実は効果的だったりします
▲ 一番濃い色を選んだら、それを影色として使います。パーツのフチに沿ってなぞるように扱えば、スミ入れのような立体感を強調する表現ができます
▲ 境目をぼかしたい場合は綿棒も使ってみましょう。指よりは当たりが強くインクを拭う量も多いですが、細かい場所に入っていけます
▲ 腰骨の凹凸がパーツにあるので、それもペンでなぞってみましょう。凹みにふんわり乗せるように、軽くペンを走らせます
▲ その後、指や綿棒を用いてうっすら残るよう拭きとります。もし取りすぎたと思ったらまた色で乗せて、また拭って、と繰り返します
▲ いい感じになったら反対側も同じく塗装しましょう。ぼかす際は塗ったあとすぐ拭ったほうが色が伸びやすく、具合が良く仕上がります
▲ 色の乗っていないパーツより、こうしてペン1本でも立体感を強調することができます。色数や明るさを調整すれば、より陰影の強いグラデーションもできますね
■衣服の塗装
▲ こちらは服装の少しパール感ある部分。奥まった部分にハジーブルーをスッとひと描きして立体感を強調します
▲ チェリーレッドでニーソックスのリボンを部分塗装。ツヤ感のあるパーツは少し色が乗りづらいので、一回目にはみ出してもいいくらいに色を乗せ、重ね塗りで発色させます。はみ出した部分は乾燥後、楊枝などの先端が細かいもので削り落とします
■髪の毛の塗装
▲ プラッシュペンのもう一つのパワーを引き出すのがブレンディングリキッド。今回は塗料皿に取り出して、綿棒などで取り回します
▲ 髪の毛のパーツは凹凸が多いので、まずはパーツ形状の溝に合わせてデルフトブルーをバシバシ塗ってみましょう
▲ その後ブレンディングリキッドを含ませた綿棒で余分なインクを拭っていきます。出っ張った部分を撫でるように動かしましょう
▲ 髪の毛のふさを強調するように束の周りは塗料を少し残すイメージで全体を綿棒で拭っていきます
▲ するとどうでしょう。右側の白紫だった髪の毛のパーツが、左側の青みがかった水色に変化しました
▲ これはブレンディングリキッドによってデルフトブルーが溶け、うっすらとした青色のフィルターが表面に残った結果になります。単に綿棒でこするだけでは色の顔料がはがれ落ちるだけになってしまうため、リキッドの活用法の1つになるでしょう。
■装甲の塗装(スミ入れ)
▲ ガールズプラモのメカ部分にはスジ彫りや段差があるので、そこをペンで強調してみましょう。塗料をディテールの溝に入れるために、はみだしを気にせず多めに塗っていきます
▲ ティッシュで全体を軽くこすれば、スジ彫りなどの溝部分にだけに色が残ります
▲ プラ表面の塗料は乾燥前であれば簡単に擦って落とせるため、スジ彫りや段差の内側などに残しやすく相性が良いですね。この後全体にスミ入れならぬスミ描きをしていきました
■メイク
▲ 顔パーツにもペンツールならではの使い方ができます。印刷の黒をなぞりながら少しラインを出して、アイシャドウのような赤を差してみました
▲ こちらも境目を軽く綿棒で広げて境目をぼかしていきます。端をスタンプするように、こそぎ落とさないように広げます
▲ 好みに合わせてほんのりとアイシャドーをつけました。今回使った色はカーマインですが、色や濃さを工夫すると、よりメイクっぽさが出るので、ギラギラのメイクを作るのも面白いかもしれません
▲ チークも足してみましょう、まずはイラストの照れ表現のような感じでインクを乗せていきます。スカーレットレッドを使って、軽めに点々と当てます
▲ それをまた綿棒でスタンプしてこすり、ぼかして頬の色を鮮やかにしました。髪の毛が重なることを意識して、ちょっとだけ強めにしています
▲ あとはリップ。こちらも自然な色を目指してコーラルを使用。唇の谷間を先に塗ってスミ入れのようにして、あとは上下に乗せます
▲ ここはぼかさず、ペンの境目ではっきりとさせています。ここも色で個性を出せるところですね
▲ そのままの顔もかわいいですが、こうやってペンツールを使えばさらに良くなります。自分の好みのメイクを施して、よりガールズプラモをかわいくしていきましょう
ネイルの塗装にもピッタリ!
PVC製で通常の模型用塗料だとポロッと剥がれるハンドパーツでも、このピグメントブラッシュペンは色を足すことができます。爪のモールドを意識しつつ、少しずつ塗り拡げるだけで簡単にネイルができました。これだけでピグメントブラッシュペンが欲しくなりませんか!?
完成!
スミ入れで立体感を強調したり、フィルターをかけたり、そしてメイクをしたり。ペンツールでは簡単に色々なことができます。特にガールズプラモではメイクでかわいさを上乗せすることで、より自分だけの完成品として仕上がるのでぜひチャレンジしてみてほしいです。
▲ シンプルにスミ入れや影色の追加を行うだけで、かなり立体感を強調できます。それにとどまらず、パーツにあった色を選んで、部分によってすぐに色変えてという作業が簡単かつ最速で行えるのはペンツールならでは強みですね
▲ 上半身のスミ入れはデルフトブルー。スジや段差ならガンガン塗り込んで、ふわふわした部分はそっと凹みにペン先を走らせて……という使い分け
▲ 薄紫属性を青みに振る、ブレンディングリキッドの力。今回はフィルター効果でしたが、ピグメントブラッシュペンを拡張する力はまだまだあります
▲ おへそや腰など、軽く陰影を強調しただけでかなり効果が出る肌部分。スキントーン5色のペンのうち1本でも効果が実感できます
▲ 塗装なし(写真左)の状態と比較。メイクはかなり効果の高い作業で色や乗せる量でかなり印象が変わります。コントロールしやすいペンツールの得意とするところですね
▲ 溝のあるディテールは立体感を強調するのにちょうどいいパーツ。描くようにスミ入れができるので、流し込んでパーツが割れるなどの心配がないところもいいところ
▲ しっぽのモールド、実はペン先をつっこんで掻き回しただけ。奥まった部分も結構届くのは、独特のペン先が効いています
まとめ
キャップをあければすぐ使えて、気楽に使って、後片付けもキャップを閉じるだけの機動力の高さ、なんといっても効果の高さがペンツールの魅力です。ステッドラーのピグメントブラッシュペンはツルツルのプラ面でもそれなりに塗れて、拭うのも簡単。色が鮮やかなのも塗装していて嬉しいところです。まずは1本、紹介した中で気になった部分の色を買ってみて、お手持ちのプラモデルにサラッと塗ってみてください。
次回はスケールモデルを塗装!
ステッドラー製ピグメントブラッシュペンの塗装パワーが活きるのははガールズプラモだけじゃない!? 次回はスケールモデルでピグメントブラッシュペンを使っていきます。新しいアイテム、ウォーターブラシも登場! ペンツールの威力はまだまだあります。ぜひご覧ください!
次回は、10月12日(日)に公開!
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