【コモリプロジェクト】地殻怪地底獣ティグリス
2021.07.12コモリプロジェクト
モデリングプラカ第2弾
地殻怪地底獣 ティグリス
プロジェクト第二弾に平成の怪獣を据えることは最初から決めていました。昭和と平成を繋ぎつつ、扇のようにどこまでも末広がりをみせていく。そういうコンセプトの元でスタートした企画ですからね。誰がなんと言おうと守りには入りたくありませんでした。
問題はどのアイテムにするかでしたが、こちらもほとんど迷いませんでした。『ウルトラマンガイア』に三度登場したティグリスです。四つ足のシルエットは申し分なくカッコいいし、デザインも重厚かつ斬新さがあります。全身に装甲のような甲羅を持ち、炎のタテガミのような飾りが左右に三つずつ、大きな牙と爪で相手を威嚇しつつも、本当は地球の守護獣であり、侵略を受けた時には勇猛果敢に相手に立ち向かっていきました。まるでシーサーか狛犬のようなどこか憎めない姿に魅了されました。
原型はkyo氏です。以前より氏が製作するドラゴンや怪獣など見ていましたし、その表現力や巧さには大いに魅力を感じておりました。技術という点では申し分がなく、かつ、若い。平成の怪獣を立体化するにはこの勢いに賭けようと考えたのです。その結果がこれ、とてつもないティグリスが現れました。どうです、立体映えする堂々とした体躯。全身の流れるようなラインは、上から見るのと横から見るのとでは随分と印象が異なります。動物のようであり、怪獣のようでもある。僕の想像するティグリスの勇姿を軽々と上回ってくれました。
塗装はあえて粗っぽく施しました。そうすることで荒々しさを表現しようと考えました。顔や背中など甲羅の部分にグレーを、腹周りにはブラウンを一息にドライブラシしました。色味が二つに分かれたところで、甲羅の部分にはブラックやジャーマングレー、シーブルーなど。腹周りには暗め、明るめのブラウンをという具合に少しずつ手を加えていきます。それでもまだ粗さは残したままです。最後に細かい部分を攻めていきます。角、牙、目、爪、そして全体の調整。粗さの中に繊細な部分をメリハリとして加えると見映えが格段に違ってきます。完成したものはどこか日本画を思わせるような仕上がりとなりました。
小森陽一(コモリヨウイチ)
1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S−最後の警官−』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。
本物のスーツを作る素材で
造形師のkyoです。
テレビや映画の特撮番組で着ぐるみ(キャラクタースーツ)を作る仕事をしています。
皆さんも毎週私のモンスタースーツ見ていただけていると思いますが、今回初めて怪獣のガレージキットを作ることになりました。海外向けのメーカーやワンフェスでの原型はいろいろやっていたのですが、怪獣の原型はこれがはじめてです。
今回こだわってみたのは、着ぐるみの材料や技法を使って原型を作ってみようと思ったところです。あえて本物の怪獣の着ぐるみを作る技法で造形すれば、テレビで見る怪獣たちの質感や存在感が出せると思いました。
1/6サイズのフィギアをベースに人間と例えて、それにウレタンを盛り付け、着ぐるみの時と同じように製作から始めます。また、頭は粘土原型をイメージして粘土で造形しました。
実は今回2体のティグリスを製作しています。
1体目は、コモリプロジェクトの円谷ワンフェスや幕張ワンフェスの発表用でまるまる着ぐるみの技法のみで作っています。
2体目のティグリスは、ガレージキット原型用のキットとして、着ぐるみと粘土造形フィギアの両方の技法を組み合わせて作っています。小森先生からもいろんなご提案やアドバイスをいただき、あまりキット化されることが少ない平成怪獣のカッコ良さを追求いたしました。
さらに見ていただきたいポイントとしては、撮影用のウレタンを削り出しして作った独特な雰囲気の感触をぜひ味わっていただけたらとても嬉しいです。
モデリングプラカ レジンキット
地殻怪地底獣 ティグリス
製作/小森陽一
撮影/フライトギア 土井眞一
地殻怪地底獣 ティグリス
●発売元/モデリングプラカ●38500円、発売中●約47cm●レジンキット●原型/kyo
©円谷プロ