HOME記事その他大森記詩が多種多様な形状のパーツから生み出すオリジナルSFメカ「ラルファクス社 試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」前後で骨格が異なる四足歩行機体の製作方法とは【MIXINGSCAPE】

大森記詩が多種多様な形状のパーツから生み出すオリジナルSFメカ「ラルファクス社 試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」前後で骨格が異なる四足歩行機体の製作方法とは【MIXINGSCAPE】

2025.08.18

MIXINGSCAPE/【スクラッチビルド 1/6】●大森記詩 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)

大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」

MIXINGSCAPE No.020

 彫刻家でありモデラーでもある大森記詩が「ミキシング/キットバッシング」の手法で作り上げたオリジナルSFメカを、その製作プロセスとともにお届けする連載企画MIXINGSCAPE。今回も多種多様な形状のパーツから生まれる新たなフォルムの数々をお楽しみいただきたい。


大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」後ろ足アップ
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」頭部火器

 シャーマナイト系列企業のラルファクス社は、大河戦争で鹵獲・接収された技術を優先的に提供されたことから、自社製人工筋肉システムのさらなる改良に着手していた。さまざまなスタイルの新造・改造機が試作されるなか、モロッサータイプなどの歩兵協働・支援型四足歩行機の更新を目的とした実験機が“ネクフィス”である。シャーマナイトの空中強襲機動軍が、大河戦争における戦績からコントーラ外征戦力としての地位を確固たるものとしたことで、本機でも強襲機への搭載を前提とした展開力が重視された。硬質部位の機体材質を軽量化する一方、外見的特徴ともなっている地形踏破性と衝撃吸収に優れた四肢の実装は、搭載可能な軽/重火器や電子線装備の選択肢を従来機から大幅に拡張するとともに、より簡易化された降下装置に複数機をパッケージした高高度からの空中投下にも成功している。また、より実験的なタイプとして、競合関係にあったHSMを意識した人型に準じるマニュピレーターの仕様を取り入れた機体も存在した。これは、兵装ポイントにさらに一対の腕部ユニットを搭載したものであり、強襲兵との装備共通化や工作活動での運用という汎用性の追求にとどまらず、それまでプランのみであった特定の歩行形態にとらわれない柔軟な機体スタイルの研究が具体化される端緒ともなっている。

大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」俯瞰

大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中1
▲前後で骨格が異なる四足歩行機体だったらどのようにするかと思いつつ芯棒を組んでみます。類人猿系の前傾姿勢もいいですよね。はじめは従来型と同じく胸部の下に機関部を抱えこんでいる仕様も想定していたのですが、人型でやったように四足歩行でも機械式より柔軟に動きそうな脚部を持ったスタイルにしてみようと順次決まってきたところで、機関部は前後をつなぐ胴周りに集約されているという形になりました
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中2
大森記詩ス大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中3クラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中3

▲「ザ・ミニガン」な銃塔は四角のプラケースを弾倉に、上部のフレーム状部分はハセガワのルナダイバーで機体とベースを接続するパーツを使っています。取り付け位置を前脚の真上やその前にすると頭部らしくなるのですが、この機体ではまとまり過ぎてしまい求める奇妙さが薄まってしまうので、後ろにズラした配置にしました

大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中4
▲バイクのフェンダーなどを組み合わせて前部の外装にしていきます。両肩部上のガードは車のバンパーをカットして整形しました。追加装備を取り付けられそうなポイントも付け根に設けています
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中5
▲大幅に小型化された機関部/動力源といったイメージと、シルエットの緩急も合わせて背中にポッド状の部位を取り付けました。円筒形のプラケースにキャラクターモデルのパーツがピッタリ被さったので、これ幸いと採用しています。こうして組み合わせている時に思いがけず径が合ったり、フィットすると嬉しいですよね
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中6
▲機体の暗色は探知装置対策のコーティングがされているイメージで塗ってみました。水色に黄色フチがとても良いワンポイントになってくれているナンバリングデカールは、パーツ面でも幾度となくお世話になっているタミヤのキングタイガーから。反対側にもちょうど色の構成が一緒だったので、同キットから第505重戦車大隊のマークを拝借しました
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」製作途中7
▲脚部のカバー部分はいつもと同じく芯棒にアルミホイルを巻いて量を出し、エポパテを盛り付けてシワを造形しています。1/6スケール想定ということもあり、なるべく軽量化に努めてもある程度の重さになるので、前脚は丈夫にしたいところです。このため、アルミホイルによる荒付け前には、入念に芯棒の接続部をプラ角棒などで補強しました。前脚が関節にとらわれない動き方をしそうで、芯は太いけど量感は控えめという不気味なフォルムになってくれましたが、銃塔から前脚にかけての機体前部は、作業の合間に撮影周辺機器などを調べていた際に見かけたフレキシブル三脚の構造がイメージ元になっています。それこそ三脚歩行メカだったらどうするのか、また課題リストが増えるのでした
大森記詩スクラッチビルド「ラルファクス社-試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”」

1/6スケール スクラッチビルド

ラルファクス社 試作型兵装肢RFL-X1“ネクフィス”

製作・文/大森記詩

全高38.5cm×全福18cm×奥行30cm


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