『超時空世紀オーガス』より「ナイキック」がMODEROID化!徹底再現された3形態変形を活かし、変形機構で負荷がかかる関節の補強を軸に製作!
2025.08.18MODEROID ナイキック【グッドスマイルカンパニー】●只野☆慶 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)



■エースは特異点の娘
『超時空世紀オーガス』の物語はティナと桂木 桂の「逢瀬」から始まるのだが、直後にオルソンとともに時空振動弾起動を目的とした作戦に赴く。作戦失敗による撤退命令に憤慨した桂は未調整の時空振動弾を起動させ、世界は相剋界に包まれた混沌時空へと化す。
20年後に飛ばされ、エマーンと合流しオーガスを駆る桂木 桂、対峙するアテナ・ヘンダーソンという名の女性はチラム陣営のナイキックを駆るエースパイロット。
実は彼女こそティナと桂木 桂の娘だったのだ。
15年後に飛ばされチラム軍少将となったオルソンを「おじさま」と慕うアテナ。混沌時空の複雑さと相俟って友情と恋慕の情と血筋の因果が複雑に絡み合うのだ。
さて、ナイキックとはチラム軍慣性制御戦闘ガウォークだが、本キットはアテナ・ヘンダーソンの搭乗するコマンダー・タイプを再現しているのだ。3段変形を堪能しつつキットレビューをいたしましょう。
■ドリファンドとガウォーク
メカニックデザインは宮武一貴氏だが、エマーン陣営=ドリファンド(ドリフト・ハンドの略称)で丸みを帯びたデザインに対して、チラム陣営=ガウォークで直線的デザインという具合に定義したようだ。キットを繰り返し変形させてみると「慣性制御戦闘ガウォーク」という概念と相俟って実に見事なプロトタイプだと気付く。コマンダー・タイプを叩き台にマスプロダクトモデルを送り出す作中世界のチラムともリンクする。
今回唯一の改修箇所は股関節基部。パーツC5・C6の股間軸をC8・C9にはめ込むと変形時には力が掛かりたわむ。軸に1mm径の開口を行い1.2mm×5mmの精密ビスで固定した。念のためC3・C4の肉抜き穴に対してプラ棒を入れ接着しておくと、こちらの強度も保たれるのです。もちろん完全な補強ではないので取り扱いには変形の解説書が必須であります。
■塗装
下地はガイアのメカサフ ヘヴィで、凹部にはC71番・ミッドナイトブルーを吹き付け細かくマスキングを施す。ダクトや排気口のフィンにはシルバーのドライブラシをほどよく施した。
■総括
脚部の変形機構、胸部コクピット開閉機構、肩から腕部の構成等、デザインの秀逸さを存分に引き出した設計に驚くと同時に、オルソン・スペシャル作例のタイミングが合致するというご縁も重なり、見えざる時空のうねりを感じる只野なのでした。
【カラーリングデータ】
白部=C311番・グレーFS36622+C20番・ライトブルー(4:1)
青部=C326番・ブルーFS16044+色ノ源マゼンタ+C1番・ホワイト
黄部=UG03番・MSイエロー

グッドスマイルカンパニー ノンスケール プラスチックキット“MODEROID”
ナイキック
製作・文/只野☆慶
MODEROID ナイキック
●発売元/グッドスマイルカンパニー●7500円、発売中●約16cm(オーガロイド時)●プラキット
\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/
驚異の4段変形キットをさらにディテールアップ

プラキット初の4段変形再現!「MODEROIDオーガス」をディテールアップ作例でキットレビュー!【超時空世紀オーガス】
2023年、TV放送40周年を迎えた「超時空」シリーズ第2弾『超時空世紀オーガス』より、主人公機オーガスが待望のMODEROID化。プラキットとしては初のフライヤー、ガウォーク、タンク、オーガロイドの4段変形を完全再現[…]
ⓒ1983 BIGWEST・TMS
只野☆慶(タダノケイ)
各種造形、デザイン、模型製作を生業とする。造形・塗装表現も幅広くウェザリングも得意とするオールラウンダー。