HOME記事キャラクターモデル『ジュラシックワールド』等で話題の「スピノサウルス」を最新復元!! 実物大の復元骨格にも負けない「リアル」な佇まいに注目【プラノサウルス復元プロジェクト】

『ジュラシックワールド』等で話題の「スピノサウルス」を最新復元!! 実物大の復元骨格にも負けない「リアル」な佇まいに注目【プラノサウルス復元プロジェクト】

2025.08.22

プラノサウルス復元プロジェクト/スピノサウルス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2025年9月号(7月25日発売)

作例「プラノサウルス スピノサウルス」
▲スピノサウルスの生態については議論が尽きないが、他のグループの恐竜よりも水辺での生活に適応していたという点では意見が一致している。時には河口のような水深のある場所で潜水し、水底に潜む大型の魚を捕らえることもあったかもしれない

プラノサウルス復元プロジェクト
第四回 スピノサウルス

 実際の化石や骨格図を基に、BANDAI SPIRITS「プラノサウルス」の骨格ビルドをよりリアルに“復元”する連載企画「プラノサウルス復元プロジェクト」。
 第4回は、今夏公開の映画「ジュラシック・ワールド/復活の大地」や福井県立恐竜博物館の特別展「獣脚類2025」で大きくフィーチャーされているスピノサウルスに挑戦。この10年あまりで変化し続けてきたスピノサウルスの最新復元をご覧いただこう。

G. Masukawa

 模型大好きサイエンスイラストレーター・ライター。恐竜の骨格図は国際的に高く評価されており、世界各地の博物館やイベント、論文を飾っている。主な著書に「恐竜のきほん」、「ディノペディア」(誠文堂新光社)、「新・恐竜骨格図集」(イースト・プレス)。

「プラノサウルス スピノサウルス」パッケージ

プラノサウルス スピノサウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1595円、発売中●約23cm●プラキット

■使用ツール

・ニッパー ・デザインナイフ ・エッチングソー ・彫刻刀 ・Pカッター ・各種ヤスリ ・ピンバイス
ニッパー、デザインナイフ、エッチングソー、彫刻刀、Pカッター、各種ヤスリ、ピンバイス

スピノサウルス骨格ビルド(改造前)

「プラノサウルス スピノサウルス」素組み
▲スピノサウルスの完全な骨格はこれまでに発見されたことがなく、復元の参考となるであろう近縁種でも全身のよく残った1個体分の化石は見つかっていない。従って、スピノサウルスの骨格の復元について研究者の見解が一致したことはない。それでも、近年発見された骨格の研究で、その独特の骨格の様子が徐々に明らかになってきた。
 キットの骨格ビルドは2020年に発表された復元に基づいており、スピノサウルスの骨格に関する現代的な見方をよく表している。繊細な骨格をプラノサウルスのフォーマットで立体化する以上、各部の骨を一体のものとして成型せざるを得なかった部分も多々あるが、全体として骨格の雰囲気をとてもよく表現している。学説によって異なる復元を、パーツ交換で再現できるのも楽しいキットだ。
作例「プラノサウルス スピノサウルス」上半身アップ
▲スピノサウルスの全長は最大で14mに達し、肉食恐竜では最長となる。たいがいの敵は体のサイズを誇示するだけで追い払えただろう
作例「プラノサウルス スピノサウルス」背びれ
▲スピノサウルスの胴椎の棘突起は極端に長く伸びており、巨大な背びれあるいは「帆」を形成している。棘突起は薄い板状になっており、外敵に噛まれたり骨折したりすることも珍しくなかったようだ。スピノサウルスをはじめとするスピノサウルス科は少なからず胴椎の棘突起が伸長していたようだが、これほどまでに高い背びれをなすのはスピノサウルスだけだ。この背びれがどのような役割を担っていたのか、さまざまな意見が唱えられている
作例「プラノサウルス スピノサウルス」前肢
▲スピノサウルスの手の構造はあまりよくわかっていないが、ほっそりした鉤爪があったようだ
作例「プラノサウルス スピノサウルス」尾ひれつけ根
▲スピノサウルスのヒレ状の尾の付け根には横突起がよく発達している。たくましい筋肉を支えていたはずだ
作例「プラノサウルス スピノサウルス」頭部
▲スピノサウルスは円錐形の歯と細長い吻を備えており、魚食性だったと考えられている。額のクレスト(トサカ)は角質で覆われていたようだ

骨格ビルド(改造後)

作例「プラノサウルス スピノサウルス」
▲スピノサウルスの研究は近年非常に盛んで、2014年に「四足復元」、そして2020年にはキットの骨格ビルドの基となった復元が発表されている。今回はこの5年で新たに発表されたさまざまなアップデートを取り入れ、「2025年版」として製作した。福井県立恐竜博物館の特別展で展示される復元骨格と、ぜひ見比べてほしい。
「2025年版」復元はあくまで「2020年版」のマイナーアップデートで、キットとそれほど大きな形状の違いはない。プラノサウルスのフォーマットの都合で一体化せざるを得なかった部分をシャープに作りこむことで、実物大の復元骨格にも負けない「リアル」な佇まいとなった

次ページ──製作詳細

© BANDAI SPIRITS

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G. Masukawa

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