HOME記事ガンダム【試し読み】現代ガンダムの集大成「PGU νガンダム」に込められたこだわりとは?設計担当の曽根大地氏と企画担当の稲吉太郎氏が語る。完成見本の撮り下ろしもお披露目【月刊ホビージャパン8月号より抜粋】

【試し読み】現代ガンダムの集大成「PGU νガンダム」に込められたこだわりとは?設計担当の曽根大地氏と企画担当の稲吉太郎氏が語る。完成見本の撮り下ろしもお披露目【月刊ホビージャパン8月号より抜粋】

2025.07.05

PERFECT GRADE UNLEASHED RX-93 νガンダム 開発記録 Vol.1 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)

BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン
設計担当 曽根大地×企画担当 稲吉太郎

【設計担当】曽根大地

【企画担当】稲吉太郎

 ガンプラ45周年における最大の注目アイテムとして2月に開催された「GUNDAM NEXT FUTURE FINAL in TOKYO」で商品化決定の発表がなされ、5月の「第63回静岡ホビーショー」にて光造形による試作が披露されたことで全貌が明らかとなったPERFECT GRADE UNLEASHED RX-93 νガンダム(以下、PGU νガンダム)。PGというカテゴリーのなかでも最大級となったボリュームと仕様が盛り込まれた、まさに現在のガンプラの集大成ともいえるアイテムには、どんなこだわりがこめられているのか? BANDAI SPIRITS ホビーディビジョンにて設計を担当した曽根大地氏と企画を担当した稲吉太郎氏に話を伺った。

(聞き手/石井誠)


PGU第2弾アイテムにνガンダムが選ばれた理由

――ガンプラ40周年に発表さた「PGU」の最初のアイテムであるRX-78-2 ガンダム(以下、78ガンダム)の発売から5年を経て、第2弾アイテムがνガンダムであると発表されました。どのような思いからPGUの第2弾にνガンダムを選ばれたのでしょうか?

稲吉 PGU第1弾である78ガンダムはガンプラ40周年記念アイテムであり、「PG UNLEASHED」という新ブランドの立ち上げということで選ばれたものでした。それから5年が経過したガンプラ45周年という今回のタイミングは、まず第1弾アイテムを超えなければならないという命題がありました。40周年で発表したのがアムロ・レイが最初に乗った機体だったならば、今回のPGUはアムロが最後に搭乗したとされるモビルスーツにすることでガンプラの進化をより大きく感じてもらえるのではないか? そういう思いから、νガンダムを選ばせてもらいました。

――何か技術的な進化を見せるためにνガンダムを選んだのではなく、νガンダムでPGUにトライすることに重きが置かれたということでしょうか?

稲吉 技術的なトライと機体選びのどちらかを重視したというよりも、同時に考えたというのが正しい言い方かもしれません。PGUの進化ということで、78ガンダムの先を見ようとすれば、ガンダムMk-ⅡやΖガンダムという選択肢もありますが、そのなかでもわかりやすく進化を見せられるのがνガンダムではないかというのが大きなきっかけです。また、1/60スケールのνガンダムはこれまでのガンプラではやってきていなかったので、その存在感を今の技術で実現させたいという思いもあり、まさに機体選別と技術的なトライアルが同時並行で連なりあっているというのが企画の入口でした。

――開発はどれくらいからスタートしたのでしょうか?

稲吉 コンセプトなどを含めると5年くらいかかっています。とはいえ、少しずつ準備をしつつ、仕様を煮詰めて実際に開発を行ったのは、後半の2年くらいです。それくらい長期スパンでやらせていただきました。
曽根 商品化するアイテムの決定後、最初に関係者が集まって、いろいろと「これをやりたい」という絵空事を語るところから開発を始めています。そのあとは、開発や設計などの各部署の担当者が月に1回程度集まって「僕らだったらこういう構造をやりたい」、「こういう資材があるから使ってみたい」というものを持ち寄って話し合い、だんだんと実現に向けた解決案や「こういうやり方があるよ」という具体的な話を詰めていくという感じです。私の記憶だと、2023年9月頃に本格的にまとまって、動き始めたことを覚えています。

――曽根さんは設計側として、νガンダムがPGUの第2弾になると聞いたときにはどのような感想を持たれましたか?

曽根 私はRG νガンダムの設計を担当していたということを踏まえて今回の商品設計に関わっているのですが、正直に言うと「本当に1/60でνガンダムをやるんだ? やれるのかな?」と思いましたね。RGのときもそうだったのですが、とにかくνガンダムはフィン・ファンネルが鬼門なんです。RGでさえ接続や固定に苦労したのに、1/60サイズだったら絶対に無理だろうと思っていました。当初は自分が設計を担当するとは思っていなかったので、「やる人は大変だな」と思っていた感じだったのですが、まさかその後、我が身に降りかかるとは想像もしていませんでした。そこからずっと「フィン・ファンネルをどうしよう」と考え続けていましたね。コレクターズ事業部の「解体匠機」のνガンダムはRGと同じくらいの発売時期だったので、あのサイズでどうやってフィン・ファンネルを保持しているのか気になって、当時コレクターズ事業部の開発担当の方に話を聞きに行ったことがあるくらいでした。

稲吉 私は設計を担当してくれるのが曽根さんだと聞いて、実はすごく安心していました。RG νガンダムの設計を担当されていたので、どのようにνガンダムを表現すべきかよくわかっている方ですし、一方で、私が中学、高校生でガンプラを買っていた頃から設計をされ続けている大ベテランの方ということもあって、安心して頼ることができるなと思いました。

曽根 私自身は、担当することが決まってからはずっとフィン・ファンネルの取り付け方が気になっていました。自分ひとりだと解決できない課題なので、社内にいる設計担当の人たちに、フィン・ファンネルを取り付けるにあたってのいい案がないか募集したりもしました。それくらい難しい課題だったと思います。

[次のページ]PGU νガンダムの実現に立ちはだかるフィン・ファンネルの壁 >

ⓒ創通・サンライズ

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