プラノサウルス最新作「テリジノサウルス」を「デュオニクス・ツクトバアタリ」に改造!! 最初の復元骨格模型ともいえる作例を見逃すな!!【プラノサウルス復元プロジェクト】
2025.07.17
プラノサウルス復元プロジェクト/デュオニクス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2025年8月号(6月25日発売)
▲命名から日が浅いこともあって、化石やレプリカを用いたデュオニクスの復元骨格はまだ組み立てられていない。
この作例がデュオニクス最初の復元骨格模型ともいえる
プラノサウルス復元プロジェクト
第三回 デュオニクス・ツクトバアタリ
実際の化石や骨格図を基に、BANDAI SPIRITS「プラノサウルス」の骨格ビルドをよりリアルに“復元”する連載企画「プラノサウルス復元プロジェクト」。
第3回は、2025年3月発売のプラノサウルス最新作「テリジノサウルス」を、同じく3月に北海道大学を中心とする国際グループによって命名された新種のテリジノサウルス科「デュオニクス・ツクトバアタリ」に改造。最新キットと最新古生物学の二重奏(デュオ)をご覧あれ。
G. Masukawa
模型大好きサイエンスイラストレーター・ライター。恐竜の骨格図は国際的に高く評価されており、世界各地の博物館やイベント、論文を飾っている。主な著書に「恐竜のきほん」、「ディノペディア」(誠文堂新光社)、「新・恐竜骨格図集」(イースト・プレス)。
プラノサウルス テリジノサウルス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1540円、発売中●約18cm●プラキット
■使用ツール
▲・ニッパー ・デザインナイフ ・エッチングソー ・彫刻刀 ・Pカッター ・各種ヤスリ
テリジノサウルス骨格ビルド(改造前)
▲キットは側面から見たテリジノサウルス科の骨格をよく表現している。テリジノサウルスの骨格は前肢と足しか見つかっておらず、残りはさまざまなテリジノサウルス科のコンポジット*だ
*コンポジット:特定の種の骨格を復元する際に、同一種に属する別個体の標本や、近縁種などの標本を組み合わせること。意図的に行う点で「キメラ」とは異なる。
▲デュオニクスはテリジノサウルスと同様に植物食で、生態系の中では食われる立場にある。カンクウルウに襲われた時には、不器用ながらも鋭い爪が役に立ったはず
▲テリジノサウルスやデュオニクスといったテリジノサウルス科は、恐竜の中でも非常に変わった構造の骨盤が特徴。腸骨は反り返らんばかりに横に向かって広がっており、大きく取られた股関節間のスペースや幅の広い胴体とあいまって、巨大な消化器官のための広大な空間を作り出している。こうした特徴は、大量の植物を消化するのに適しているようだ。あまりにも独特の骨盤を備えているため、テリジノサウルス科がどのような恐竜のグループに属しているのか、1990年代まで統一見解が得られることはなかった
▲テリジノサウルスは手の大きな3本爪が特徴だが、デュオニクスは2本爪がトレードマークだ
▲デュオニクスをはじめ、テリジノサウルス科の骨盤は前方(胴体側)だけでなく後方(尾側)でも左右に大きく広がっている
▲胴体の高い棘突起と「猫背」もデュオニクスの大きな特徴だ。頭と首は未発見だが、今回復元したものとそれほど違いはないだろう
骨格ビルド(改造後)
▲デュオニクスの発見されたモンゴルのバヤンシレ層*では、全長5mに達する巨大な“ラプトル”のアキロバトルや、ここに示した中型ティラノサウルス類のカンクウルウの化石も見つかっている。中型恐竜たちの熾烈な生存競争が繰り広げられていたはずだ。
カンクウルウ(2025年6月11日命名)は、ティラノサウルスの骨格ビルドを改造したもの。頭部や四肢を延長し、首が細長く見えるよう削り込んでいる
*バヤンシレ層:バイン・シレ層とも。モンゴルのゴビ砂漠に露出する白亜紀後期の地層で、半乾燥地域の河川で堆積したと考えられている。詳しい年代はよくわかっていないが、約1億50万年前から約8365万年前の間に堆積したことは確かである
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