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【ゾイドワイルド戦記 外伝】
第4話「獅子VS獅子」

2021.07.08

ゾイドワイルド戦記外伝 月刊ホビージャパン2021年8月号(6月24日発売)

【ゾイドワイルド戦記 外伝】第4話「獅子VS獅子」

原作:『ゾイドワイルド』シリーズより/企画:タカラトミー/構成:アーミック/執筆:エッジワークス/協力:ホビージャパン

 Youtubeのタカラトミーチャンネルにて配信中『ゾイドワイルド戦記』より、アニメに描かれていない裏側や前日譚などをまとめた『ゾイドワイルド戦記外伝』。今回は2つのライオン種、バーニングライガーとレジェンドブルーが対決! 大きく改造が施された4体のライガーたちの活躍を見ていこう。

第4話「獅子VS獅子」

 広い平野に位置する共和国軍ワイルドリバー基地。
 そう多くはない起伏に身を隠しながら3機のバーニングライガーが、それを睥睨する。4年前の襲撃で機能停止に至っていた青いライオン種の再覚醒に着手したという情報を受け、彼らはそれを阻止/破壊するべく再びこの地までやって来た。
「始めるとするか」
 ブレイズ大尉の言葉にポーラとハンスが無言で頷くと基地へと向け音もなく駆け始めた。
 見晴らしの良い平野に位置し敵の発見も容易とされた基地であったが、4年前の襲撃以来レーダー網を大幅に強化。以前にも増して見つかりにくい少数編成、かつレーダーにとらえられにくい迂回ルートを取ることを余儀なくされることとなった。補給を受けられない監視網の中、代えの利かない少数で時間のかかる迂回ルートを進む。規格外の性能を自慢とするブレイズ達のバーニングライガーでさえエネルギーが尽きかけていた。
 いくら強力な地球外ゾイドとはいえ、この状態から施設を壊滅させるほどの戦闘をこなして見せるのは不可能だろう。だが、背部に装着した2本の円筒──新兵器であるバイタルチャージャーがそれを可能にした。いわば燃料タンクであるそれは消耗状態にあるゾイドを急速に回復させていく。その瞳に鈍い光を取り戻したバーニングライガーは空になったバイタルチャージャーを次々とパージする。砂煙を上げながら地面を転がっていく円筒を尻目に、生気に満ちた3機のバーニングライガーは基地へと突入していく。

 一度は自らの意思でレジェンドブルーから離れたマンジェル大尉であったが、戦地で大怪我を負い、医療設備の整っている後方基地へと異動になっていた。それが、ワイルドリバー基地であったというのは因果を感じずにはいられない。
 そんなマンジェルは、格納庫の中で沈黙したままのレジェンドブルーを見つめていた。ボルト技術主任によればハード面の修復は完了して久しいらしい。
 ならば何故、と問うまでもなかった。彼もまた自分と同じように心に深い傷を負っているのだろう。
「また来ていたのかい、マンジェル大尉」
 不意にかけられた声に振り返る。ボルト技術主任だ。
「迷惑だったか?」
 ボルトは肩をすくめて見せた。
「そんなことはないよ。けどひと月も眺めていればいい加減飽きてくるだろう?」
 療養中の彼がレジェンドブルーの傍まで足を運んでしまう。忘れたい過去である一方で向かい合わなければならないという葛藤がそうさせていた。無言の時間がしばらく続き、たまらずマンジェルはこう切り出した。
「コイツはもう戦えないのか?」
「そのためのテストの準備をしている。同じ地球外ゾイドであるゼノレックスが一度装着したシザースユニットを彼に装着させることで、因子活性を起こさせるんだ。」
「そんなことが可能なのか?」
「計算上はね。大尉、またあなたが乗ってくれるのですか?」
 天然なのか挑発なのかボルトの言葉に答えを詰まらせる。
ズガガガッ! ゴゴゴゴォーン!
 激しい爆発音と共に建物が大きく揺さぶられた。
「総員戦闘配置、既に基地内に侵入されている!総員戦闘配置!」
 敵襲を告げる警報が鳴り響き、辺りに怒号が飛び交い始める。

「ボルト主任、すぐにテストを始めてくれ」
「すぐにって、この状況で!?」
「この状況だからだ、頼む!」
 戸惑うボルトをよそに、マンジェルはじっとレジェンドブルーを見つめていた。
「これだけの数しかいないの?」
 防衛のために出撃してきたギルラプターLCを踏みつぶしながらポーラが呆れた声を出す。
「襲われることを想定していなかったんだろうさ」
 ハンスが答える。既に防衛隊の半数以上が彼らによって戦闘不能に陥っていた。このままならもう間もなく制圧できるだろう。
「油断するな。なにが起こるか、わからないのだからな」
 ブレイズはそう言いながら、彼らが慢心するようなライダーではないことを承知していた。だが、未だ“青いライオン種”を発見できていない焦りがそんな小言を口にさせた。
 外から激しい戦闘音が聞こえ、その度に壁や天井が激しく揺れる。
「まだか?」
「慌てない! 今やっている!」
 ボルトが声を荒げながらコンソールを叩く。ゾイド因子を共鳴させる。理論こそあれど、今目の前のこれ自体が初めての実践なのだ。それこそ思い立ったその場でやるような作業ではなかった。それでもボルトは滞りなくキーを叩き続ける。新進気鋭の技術屋だという噂に偽りはなかった。そして──
「動いてくれよ、レジェンドライガー!」
 祈るような思いと共に、プログラムの始動キーを叩く音に二人は息をのんだ。

 再び息をつくほどの間をおいても特に変化はなかった。「戦場の環境音」が響き続けるばかり
「……仮説でしかなかったか……」
 失敗を悟ったかのようなつぶやきとともに、建物が今まで一番大きく揺れた。
 ミサイルの直撃でも受けたのだろうか、支柱となる鉄骨が軋み、壁に大きな亀裂が走る。
 それは天井まで届き、大きな塊となって二人の頭上へと降り注いだ。爆風の圧を背中に感じ、天井が落ちてくるのがわかる。

ドガァァァァン!!

「…助かったのか……?」
 濛々と粉塵が舞う中、マンジェルはまだ無事な自分とボルトを確認する。霧のように視界を覆う埃が緑色の灯で照らされていることに気づいた。
 そこには覆いかぶさってマンジェル達を守るレジェンドブルーの姿があった。
「再覚醒は成功だな……」
 ボルトの声色が誇らしげだ。
 レジェンドブルーはその緑の瞳でマンジェルを見つめる。
「俺はもう逃げない。もう一度、力を貸してくれレジェンドブルー」
 マンジェルの言葉にレジェンドブルーは低く唸ると、足を屈めシートへとマンジェルを促す。導かれるままにコックピットに収まったマンジェルは操縦桿を握りしめる。
レジェンドブルーの瞳が強く光った。

「青いライオン種は発見できなかったがこれだけ破壊すれば充分だ。引き上げるぞ」
 そうブレイズが判断した時だった。
ドガガガッガガガガガ──
 轟音とともにシャッターが吹き飛び、何かが猛スピードで飛び出してくる。
 その姿を捉えることが出来たのは、離れた位置にいたポーラだけだった。
「あれは……!」
 何やら増加装備を施されてはいるが、それが4年前に自分が逃した獲物であるとすぐに分かった。
「同じ地球外ゾイドなら今度は負ける理由はないわね」
 ポーラがそう言い終わる前にレジェンドブルーは飛び掛かってきた。そういう格闘には慣れている。バーニングライガー同士での訓練が生きた。ライガー同士での格闘術はこちらが上だとポーラは軽くいなして見せるとレジェンドブルーへと掴みかかった。だが……!
「なんなの、このパワーは……!? これで同じ種のゾイドだというの!?」
 敵の勢いを消すことが出来ず、後へと押し込まれていく。みしりと嫌な音を立てた。
「させるか!」
「待て、ハンス!」
 ポーラを助けようと夢中でハンス機が飛び掛かる、ブレイズの声は届いていない。
「そいつはゼノレックスと同じだ。自分たちと“同じライガー”だと思うな!」
 その気づきを伝えるには遅かった。レジェンドブルーのアサルトエクスシザースがハンス機の身体を掴み上げた。
 そして、岩場へと思い切り投げ捨てる。
「ぐっ!?」
 ハンスから苦悶の言葉が漏れ、バーニングライガーと共にその動きを止めた。
 それと同時に、ポーラ機もまた、エクスシザースの餌食となり、地面へと叩きつけられる。
「一瞬で二人をやるとはな……」
「次は、お前の番だ」
 レジェンドブルーがゆっくりと振り返る。
 ブレイズが、口の端に笑みを浮かべた。
「共和国にも面白い奴が増えてきたな……」

 基地からなんとか脱出したボルトが目にしたのは、青と赤のライガーが激しく交錯している姿だった。
 縦横無尽に走り回る赤のライガーと、圧倒的な力を以て圧し潰そうとする青のライガー。
 人とゾイドが一体となっているとしか思ない両者の動きに、彼は身震いしていた。
 これこそが、あるべき姿なのだと。
 幾度となく繰り返される攻防。その度に互いの傷が一つずつ増えていく。
 満身創痍の状態などとうに越えていた。今戦っていられるのは、両者の気迫に他ならない。
 そして、そんな状況もついに終わりの時を迎えた。

ウォオオオオオオオオオ!!

 ひと際大きな咆哮を上げると、2機が激しく交錯する。
身体を傾かせる、バーニングライガー。
「任務達成不可能と判断、撤退する」
 ブレイズの撤退指示を受けポーラ機とハンス機がよたついた足取りでついていく。
 戦闘力で圧倒したかに見えたレジェンドブルーも限界だった。ゼノエボリューションウェポンユニットに由来するエネルギー消費によって追撃不可能なまでに消耗していた。
 敵の姿が完全に見えなくなったことを確認すると、ようやくマンジェルがゾイドから降りてくる。
「大丈夫かい、マンジェル大尉?」
「ああ、問題はない……」
 傷が開いたかもしれない、だが今の彼には大した問題ではなかった。
 基地は陥落を免れた、トグル整備長の眠る場所を守り切ることが出来た。そして…
「おかえり、レジェンドブルー」

「まいったね、万全の状況で再覚醒させたかったのに…」
「だが、こいつは目を覚ました」
「僕は無茶を通す側の人間だったのに…まぁそれはいいとして、バーニングライガーが3機も集まったのも覚醒と関係ありそうだね。もっと調査を続けないと……」
 ブツブツと独り言に没頭していくボルトを前に
「もっと単純な話だよ」
 マンジェルは言葉を投げた。おそらく聞いていない。それでも誰に向けるでもなく続ける。
「こいつはトグルの爺さんが眠る、この基地を守りたかったのさ」
 レジェンドブルーが鼻を鳴らす。戦闘後の焼けた匂いがその息に押されてそよいだ。

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© TOMY

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