HOME記事ガンダムガンプラ45年間の進化を「RX-78-2 ガンダム」で振り返る!!第1弾「ベストメカコレクション 1/144 ガンダム」から実物大立像までその軌跡を辿る【ガンプラの歴史】

ガンプラ45年間の進化を「RX-78-2 ガンダム」で振り返る!!第1弾「ベストメカコレクション 1/144 ガンダム」から実物大立像までその軌跡を辿る【ガンプラの歴史】

2025.06.13

RX-78-2 ガンダム ガンプラ45周年の進化 月刊ホビージャパン2025年7月号(5月23日発売)

ガンプラRX-78-2ガンダムパッケージ多数

RX-78-2 ガンダム
ガンプラ45周年の進化

 1980年に誕生したガンプラは今年2025年で45周年を迎える。ガンプラの歴史は進化の歴史。そのフラッグシップとなるのはRX-78-2 ガンダムである。第1弾「ベストメカコレクション 1/144 ガンダム」以降、さまざまなスケール、グレードにて展開。そこには各時代のガンプラ最先端技術進化が盛り込まれている。多色成型、スナップフィット、KPS、etc。これまで“78”はいかに進化してきたのか? 歴代“78”ガンプラを振り返りながら、その系譜を振り返る。

構成・文/桑木貴章

※価格は2025年5月現在のものです。


78の進化① イロプラ・スナップフィット

 1枚のランナーに数種類の色を配置できるイロプラ、接着剤不要で組み立てを可能とするスナップフィットは現在のガンプラにおいて欠くことのできない技術である。かつて塗装を前提とした単色成型、接着剤による組み立てがプラモデルの常識であったが、ガンプラ10周年のHG“78”においてイロプラ、スナップフィットをフォーマット化。ガンプラをより組みやすいキットへと進化させた。その後、設計のデジタル化などにより、成型技術がさらに向上。ツインアイまでパーツ分けされるなど、その進化は留まることを知らない。

「ベストメカコレクション 1/144」ガンプラRX-78-2ガンダム
▲ガンプラ第1弾「ベストメカコレクション 1/144」は白のみの単色成型。組み立てには接着剤を必要とした。ここから10年後のHGではイロプラ、スナップフィットまで進化している
イロプラ第1弾「1/250 G・アーマー」パッケージ
イロプラ第1弾「1/250 G・アーマー」

▲ガンプラにおけるイロプラ第1弾「1/250 G・アーマー」。Gファイターはイロプラだが、コアとなる“78”は白単色成型だった

イロプラ ガンプラRX-78-2ガンダム ランナー
イロプラ ガンプラRX-78-2ガンダム

▲ENTRY GRADE版“78”。イロプラ、スナップフィットのガンプラ進化の現在地を体感できるキット

色再現の模索 フルカラーモデル

 ガンプラにおける色再現の方向性として、ランナー状態での塗装済みのキットもリリースされていた。1988年発売の「フルカラーモデル」はベストメカコレクションをベースとした塗装済みキット。さらに2007年発売の「スピードグレード」も同コンセプトで、“彩色済みキット”系統といえる。現在、30 MINUTES SISTERSの顔パーツのほか、他メーカーでも一部塗装済みパーツが散見するが、ガンプラではその初期から塗装済みにトライしていた。ちなみにMG第1弾“78”の左肩エンブレムはタンポ印刷である。

1988年発売の「フルカラーモデル」ガンプラRX-78-2ガンダムパッケージ
1988年発売の「フルカラーモデル」ガンプラRX-78-2ガンダムランナー

▲フルカラーモデルのパッケージはウィンドウが設けられ、塗装済みのランナーが確認できた
画像提供:五十嵐浩司[TARKUS]

スピードグレードコレクション RX-78-2 ガンダムパッケージ
スピードグレードコレクション RX-78-2 ガンダムランナー

スピードグレードコレクション RX-78-2 ガンダム

●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●550円、2007年8月発売●1/200、約9cm●プラキット

スピードグレードコレクション RX-78-2 ガンダム

▲“78”のほか、ゴッドガンダムやウイングガンダムもラインナップされた

78の進化② スケールアップとグレード派生

 1/144スケールからスタートした“78”は初期シリーズにおいて1/100、1/60でも展開。のちに1/144はHG、1/100はMG、1/60はPGへと派生している。スケール、グレード別にそれぞれのコンセプトで“78”を立体化し、その進化系統は多様性を内包している。また、当初、コア・ブロック・システムなどはスケールアップで実現していたが、RGは1/144でもコア・ブロック・システムを搭載。一方、大型化へ進んだ1/48 メガサイズモデルではギミック再現よりも、作りやすさを重視しており、スケール、グレードごとに個性的な“78”を楽しめる。

ガンプラRX-78-2ガンダム大きさ比較
ガンプラRX-78-2ガンダム初期キットの(左から)1/100、1/60、1/72の“78”
▲初期キットの(左から)1/100、1/60、1/72の“78”。1/100と1/60でコア・ブロック・システムが再現されている

78の進化③ ポリキャップとKPS

 ポリキャップは可動時における進化のひとつであった。柔軟性のあるパーツはポージング時の保持力向上のみならず、組み立て後の四肢のパーツ取り外しなどを容易にし、塗装しやすさにもつながった。さらに2000年代になると強度と柔軟性を備えた新素材KPS(強化ポリスチレン)が誕生。高い保持力を有しながら、ポリキャップ減少、またはレスによりパーツ数を減らしつつ、より高度な可動ギミックを可能にしている。また、KPSはリサイクル性にも優れており、昨今のSDGsにも向いた素材となっている。

HGUC(左:2001年版、右:リバイブ版)のラストシューティング
▲ポリキャップ可動のHGUC(左:2001年版、右:リバイブ版)のラストシューティング
KPS採用のENTRY GRADEのラストシューティングガンプラRX-78-2ガンダム
▲ポリキャップレス、KPS採用のENTRY GRADEのラストシューティング。肩に引き出し機構を搭載

78の進化④ インサート成型

 複数の樹脂を一体化して成型するインサート成型は、ガンプラはもちろん、現在のさまざまなBANDAI SPIRITS製キットで採用されている技術である。初期HGにおける赤、青、黄の3色を1パーツで再現した胸部は同技術によるもの。また、1パーツでの可動再現もインサート成型の賜物であり、RGのアドヴァンスドMSジョイント、MGのエモーションマニピュレーターSPなど、色再現のみならず、可動にも多大な影響を与えている。複数の樹脂の一体化は多色成型技術の延長線上にあり、インサート成型もある意味、イロプラ進化の一環といえる。

ガンプラRX-78-2ガンダムRGの内部フレーム
▲RGの内部フレームであるアドヴァンスドMSジョイント。MSジョイントIIからの進化
ガンプラRX-78-2ガンダム初期HGではインサート成型を採用
▲初期HGではインサート成型を採用。可動フレームのMSジョイントIIも採用された
ガンプラRX-78-2ガンダムマイクロガンダム(1994年)
▲ほぼ1パーツで可動や色を再現したマイクロガンダム(1994年)。本体はインサート成型、ハンガーに武器が付属

78の進化⑤ 実物大立像

 実物大ガンダム立像建造は、ガンプラにおける大きなターニングポイントとなっている。立像建造以前、ガンダムの全高18mはアニメ設定、あくまでも架空の存在であり、スケール(縮尺)も仮想でしかなかった。しかし、実物大立像建造以後、18mの巨体は現実のものとなり、“78”は本物からのスケールモデルとなったのである。RGやHG Ver.G30thは、まさに立像をモチーフとしたキット。特にRGには実機考証により、1/144ながら細かな装甲分割が採用された。立像建造以降、“78”はもちろん、ガンプラのリアル志向はより解像度を高めていくことになる。

お台場潮風公園に立ったガンダム立像
▲2009年、お台場潮風公園に立ったガンダム立像。2012年からはダイバーシティ東京 プラザに場所を移した
横浜の実物大“動くガンダム”
▲2020年には横浜で実物大“動くガンダム”が稼働。ガンプラにもなった
お台場潮風公園に立ったガンダム立像ガンプラパッケージ
横浜の実物大“動くガンダム”ガンプラパッケージ

▲お台場、静岡、それぞれの会場でガンダム立像をモチーフとしたHGが発売された。どちらもHG Ver.G30thがベースとなっている

コア・ファイター グレード別バリエーション

 “78”の進化とともに、コア・ファイターも進化を続けている。HGではオミットされることもあるが、機首の長さ、翼の面積など、グレードごとにアニメ設定や航空機イメージなど、さまざまなアプローチでコア・ファイターを立体化。ここでは一部を比較してみる。

コア・ファイター比較
▲HGUCでは非変形モデルが付属。RGは1/144スケールながら変形機構を実現している
コア・ファイター比較2
▲MG版のコア・ファイター。Ver.2.0では翼の伸縮ギミックなども盛り込まれた。Ver.3.0はVer.2.0のものを設計流用している
コア・ファイター比較3
▲1/60スケールのPG版。PGUでは着陸脚が差し替えなしで展開可能となっている

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