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通常のカーモデル製作手順が通用しない『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part II』のタイムマシンを徹底攻略!竹内陽亮による超絶作例を工作ポイントと合わせてご覧あれ!

2025.05.21

バック・トゥ・ザ・フューチャー PartⅡ タイムマシン【青島文化教材社 1/24】●竹内陽亮 月刊ホビージャパン2025年6月号(4月24日発売)

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part IIタイムマシン

 完全新規パーツで待望のリニューアルを果たした、青島文化教材社の「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart Iタイムマシン」に続き、昨年末に発売されたPart II版を竹内陽亮が製作。完成後はほとんど見えなくなってしまう細部まで再現されたこだわりのパーツ類をカーモデラーならではの緻密さで仕上げた。また、今回のキットはPart II版の最大の特徴である飛行形態を再現しているということで、車体上部だけでなく、下面にも気を配ったディテールアップにも注目していただきたい。

タイムマシン後
バック・トゥ・ザ・フューチャー Part IIタイムマシン車体後部
バック・トゥ・ザ・フューチャー Part Iタイムマシン車体後部

▲ PART II版(左)とPART I 版(右)の車体後部の比較。PART I の小型原子炉は未来のテクノロジーによって家庭用核融合炉、ミスター・フュージョンに換装された

タイムマシン 全体
▲旧キットでは飛行形態への変形をギミックで再現していたが、今回はいさぎよく飛行形態限定の固定モデルとしてキット化。その結果、タイヤハウス周辺や車体下面などのディテールの再現度は大幅にアップしているようだ
タイムマシン 斜め後ろ
未来の少女のホバーボード
▲2015年の世界でマーティーが少女から拝借したホバーボードも付属。ポップなマーキングもデカールで再現することができる
ドアパーツ
▲ドアの外装と内張りの間に0.3mmプラ板をはさみこむことで、ドアとボディの段差が目立たないように調整。ただしドアが外れやすくなるため、その点は注意が必要だ
タイムマシン 運転席
タイムマシン 座席

▲緻密に再現された内装は配線を追加してディテールアップを行った

タイムマシン ドアオープン
タイムマシンの裏側
タイムマシンのドアのパーツ

▲車体下面から見た際のポイントとして、劇中で発光していた円形のディテールと、ドアに3ヵ所ついているライトをクリアーパーツに置き換えた

タイムマシンを下から見た状態

■キットについて
 次々と仕様を変えてバリエーション展開中のアオシマ製タイムマシンですが、今回は『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part II』に登場した未来で改造を受けたタイプとなります。ちなみに今回で同社のタイムマシンはベースとなったデロリアンも含めて3作目の作例製作となりますが、テストショットも含め、何度もこのキットと向かい合うと、いかに高い熱量で開発されているかが、よく分かってきます。当然ながら実車資料を基にキット開発されていますが、それと同時に、忠実に復元された実車レプリカモデルをも参考に細部が作り込まれています。完成後にはあまり見えないような部分まで再現されており、製品としての心意気に、ある意味「日本人らしさ」を感じることが多々ありました。そしてまた、今回も本体とは別にオマケが付属します。劇中で印象的だったホバーボードと、浮かして展示するためのアームスタンドが付属しています。これらを活用することで、より美しくディスプレイ出来そうですね。
■製作手順等
 前作(月刊ホビージャパン 2024年4月号掲載)にも書きましたが、通常のカーモデル製作手順が通用しないキットであります。とにかく細かいパーツが密集するメカニカルパート(室内と後方のタイムマシン部分)を塗装まで仕上げることが先決ですね。その後に、ボディ表面に接着するパーツを確認してから、ようやくボディ塗装に入ることとなります。さて、製作に関してのポイントですが、このキットに関しては、とにかくパーツ数が多いのと、さまざまな形状のパーツを組み合わせる、立体パズルのような設計となっています。そこで重要なのが接着剤の選定となります。表面処理をして塗装したパーツが接着剤のはみ出し等で汚れてしまわない様に、接着剤の量と種類には細心の注意を払って組み立てを進めます。通常のプラスチックモデル用接着剤の他に、粘度の低い流し込み系や、2液混合型のエポキシ系、ゴム系のクリアーボンド、ツヤ出しニス等、さまざまなマテリアルを使用しました。また、ボディ表面に取り付けるパーツは1mmプラ棒等で軸打ち加工を施しておくと、塗装後の組み立てがとてもスムーズになります。というのも組み立て作業はとても気を使う工程で、このキットに関しては通常のカーモデルの3倍くらいの時間とエネルギーを要すると感じました。
■ディテールの見直し
 今回はシャシー下面からの撮影を重視して、下から見える箇所に加工を施しました。ドア内張りに3ヵ所あるライト部分をくりぬいて、四角形のクリアーパーツに置き換えています。また、ガルウィングドアは半開き状態で固定出来るように、ヒンジ部分に差し込むカタチで調整したプラ板パーツを製作しました。シャシー下面の発光部分も円形にくりぬいてクリアーパーツに置き換えています。内装に関しては各所にコード類を追加して密度感を高めています。
■ガルウィングドア
 この車の最大の特徴でもある、ガルウィングドアですが、そのまま組み立ててしまうと、表面のチリがやや合いにくくなり段差が出来てしまいます。ドアパーツと室内天井の内張り部分を組み合わせることでヒンジとなるのですが、ここは0.3mmプラ板をはさみ込むことで、ヒンジはとても緩くなりますがドアパーツの合いは良くなります。
■塗装
 劇中では、さまざまな厳しい環境に置かれ、車体が汚れているような描写も多々あります。個人的にはあまりツヤの似合わない車と感じるため、ボディ塗装後のトップコートは控える方針とします。なのでボディ塗装前の、黒下地の段階で磨き込んで鏡面仕上げとした上で、シルバー塗装を施します。この手順を踏むことで平滑性の高い塗装面に仕上がります。塗装は基本的にMr.カラーを使用します。SM206スーパークロームシルバー2に少量の黒を追加して調整し、ボディ塗装を行いました。この塗料は塗装面も強く、マスキング等も充分可能ですね。細部の塗装は説明書の指示を基準に、映画の登場シーン等も参考にして出来る限り忠実に再現しています。

青島文化教材社 1/24スケール プラスチックキット

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part II タイムマシン

製作・文/竹内陽亮

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part IIタイムマシン
●発売元/青島文化教材社●7040円、発売中●1/24、約18.5cm ●プラキット


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